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妖狐の恋情  作者: レイヤードのレイヴン
3/8

第2話 大好き

 更新遅れて申し訳ありません。


 リアルが忙しくてなかなか執筆できませんでした。


 暇なときにちまちま書いてようやく完成しました!


 最後の方は甘くしてみました。砂糖に注意してくださいw

 白のシャツの上から灰色のジップパーカーを羽織はおり、黒のハーフパンツを履いた姿になった俺は、リビングに置かれている白いソファーに寝転がってテレビを見ながらくつろいでいた。


 台所からは食材を切る音や炒める音が聞こえてくる。


 俺は寝転がりながら、夕飯の支度をするエプロン姿の母さんに目を向ける。


 うーん、穂香に告白してたから帰りが遅くなったって、正直に言うべきだったかな……。いや、言ったら色々と聞かれてめんどくさくなりそうだし、寄り道してたってことにしておいた方がいいか。


 俺は母さんからテレビの画面へと視線を移す。まぁ、いずれ話せばいいよな、告白のことは。


「ただいまー」


テレビをなんとなく眺めていると、黒いスーツを着た男性がリビングのドアを開けて入ってきた。


 耳に少しかかるくらいの黒髪に、平凡というには結構整っている顔立ち。170cm程度の身長に、痩せている訳でもないが太っている訳でもない普通の体格。


 どこにでもいそうな普通の人という印象を受けるこの男性は、式咲和哉しきざきかずや。俺の父さんだ。


「「おかえりー」」


 二人揃って父さんを出迎える。


 父さんは、ふぅ、と一息吐いた後ネクタイを緩めた。


「もうすぐ飯できるから、待っててくれ」


「うん、わかった。それじゃあ、着替えてくるね」


 そんないつものやり取りの後、父さんはリビングを出て階段を上り、自分の部屋へと向かっていった。


「よし、できたな。優斗、はしとかコップとか並べてくれ」


「ん、わかった」


 俺はソファーから体を起こし、伸びをする。


 さてと、やりますか。


 俺は欠伸あくびをしつつ台所に向かった。










 俺がテーブルに箸やコップを並べ、母さんが料理が盛られた皿を並べ終えた後、半袖の白いシャツと黒のハーフパンツに着替えた父さんが降りてきた。


 三人揃ったところでテーブルの周りに置かれた椅子に座り、食卓を囲む。俺の隣に母さんが座り、正面には父さんが座った。


「「「いただきます」」」


 いつもの食前の挨拶を済ませ、目の前に並べられた料理を口へと運ぶ。ちなみに今日の献立は唐揚げにポテトサラダ、それに味噌汁と白飯だ。


 世間話や愚痴ぐちなどのとりとめもない話をしながら、和気藹々わきあいあいと夕飯を食べていると、


「おい、優斗」


 母さんが真剣な表情になってこっちを見た。


 え、もしかして怒ってる? 俺怒らせるようなことしたっけ? 全く身に覚えがないぞ……。


 まさか、帰りが遅くなった理由が嘘だってばれた? いやいや、まさかそんなわけ――


「帰りが遅くなった本当の理由は?」


 あった。普通にばれてた。


 母さんは俺を睨みつける。目付きの鋭さ故か、目力が凄まじく思えた。気弱な人なら視線だけで殺せるんじゃないか?


 父さんはどこか心配そうに、母さんに睨まれている俺を見つめていた。


 ……隠し通すのは無理だな。


 別に隠すような内容じゃないから、言っちゃってもいいんだけど……いざ言うとなると、やっぱり恥ずかしいわけで。


 俺は恥ずかしさを紛らわせるため、深呼吸をする。


 ゆっくり息を吸い、ゆっくり息を吐くと、幾分か落ち着いた。


「……実は、その……放課後に告白してて……」


「告白って、もしかして、異性に『好きだ』って言う告白?」


 と父さん。


 俺の言ったことが予想していたこととは違っていたのか、父さんと母さんは目を丸くしている。


「ああ、その告白」


「だっ、誰に告白したんだ!?」


 俺が告白した相手が余程気になるのか、母さんは興奮しながら詰め寄ってくる。


「その……穂香に」


 言ってしまった。


 ……まぁ、いずれは言おうと思ってたことだし、いいか。言うタイミングが早くなっただけだ、うん。


 あー、でもやっぱり恥ずかしいな……。いくら両親とはいえ……。


「……それで、どうだったんだ? 結果は……」


 父さんと母さんは神妙な面持おももちで俺を見守る。


 食卓は自分の心臓の音が大きく聞こえるほど静まり返っていた。さっきまでの和気藹々とした雰囲気が嘘みたいだ。


「……うまくいったよ」


 息苦しさを感じてしまいそうな空気の中、俺は口を開いた。


 言った瞬間、顔が熱くなっていくのを感じた。


「……マジで?」


 きょとんとしながら言う母さん。父さんも同じような表情で俺を見つめている。信じられない、とでも言いたげだ。


「うん……マジ」


 俺は頷く。


 ……何だか公開処刑のような気がするぞ、今の状況。……気にし過ぎか。


「……よ……」


 よ?


「良かったじゃねぇかっ!」


「良かったね」


 母さんは輝くような満面の笑みを浮かべて、父さんは穏やかに笑って祝福してくれた。


 てっきり冷やかされたりするかと思ってたけど、普通の反応で良かった。


「告白かぁ……何だか昔を思い出すね」


 父さんは昔を懐かしんでいるような、どこか穏やかに見える顔をしながら母さんを見やる。


「……」


 母さんは耳まで真っ赤になりながら俯いていた。こんな風になってる母さんは初めて見るような気がするな。


 父さんにとっては懐かしいことでも、母さんにとっては真っ赤になる程恥ずかしいことだったのか? 告白は。


 ……そういえば、父さんと母さんはどうやって知り合ったんだろ。


 ふと、そんな疑問が脳裏に浮かんだ。


 どこにでもいそうな普通の人としか思えない父さんと、『鬼神』と恐れられていた(らしい)母さん。


 そんな二人が、一体何がどうなったら、夫婦になるんだろうか。


「そ、そういえば、父さんと母さんって、どうやって知り合ったんだ?」


 俺は恥ずかしさ取り繕うように訊いてみた。


 ただ単に気になったから、というのもあるけど。


「うーん……確か僕が――」


 父さんがそう言いかけたとき、


「か、和哉! よ、余計な言ってんじゃねぇ!」


 母さんが怒号じみた声で父さんの言葉を遮った。


 もしかして、照れ隠しなのか? 顔真っ赤だし。


「優斗、な、何も訊くんじゃねぇぞ」


 母さんは顔を火が出そうなくらい赤くしながら俺を睨み付ける。目付きは鋭いけど、あまり……いや、全くと言っていいくらいに迫力がなかった。


 何も訊くな、って言われると、余計に気になるな。母さんのあんな反応を見たら尚更だ。


 ……けど、無理に訊く訳にはいかないな。ホントに訊かれたくなさそうだし。


 ま、いいか。父さんと母さんの出会いは確かに気になるけど、今すぐ知りたいって訳でもないしな。


 俺は止まっていた箸を再び動かし、料理を口に運ぶ。うん、美味い。


 話を強引に切り上げた母さんは、顔を赤らめたまま黙々と箸を動かしていた。


 母さんがそんな風になってしまったせいか、食卓はさっきよりも静かだった。











 食事を済ませ、リビングでしばらくだらだらした後風呂に入り、歯を磨いて、後は寝るだけになった俺は、自分の部屋のベッドの上に寝転がりながらゲームに興じていた。


「ふわぁ……」


 ゲームをしながら大きな欠伸あくびをする俺。


 なんか眠くなってきたな……。そういえば、もう結構遅い時間だよな。


 俺は枕元に置いていた携帯電話を開く。


 時刻は既に十一時半を過ぎていた。そりゃ眠くもなるか、こんな時間なら。


 もうそろそろ寝よう。明日学校あるし。


 ゲームの電源を切り、携帯電話を枕元に置き、明かりを消す。そして重力に身を委ねるように枕の方へと倒れこむ。


 目を閉じ、眠気に身を任せようとしたそのとき、枕元に置いた携帯電話が鳴った。


「……?」


 俺は眠気のせいか少し重くなった体を起こす。誰だろ、こんな時間に……。


 部屋の明かりをつけ、携帯電話を手に取る。相手は――穂香だった。


 ……え? 穂香? 珍しいな、あいつがこんな時間に電話かけてくるなんて。


 穂香はいつも十一時くらいには寝ている。だから今みたいな時間に電話やメールが来ることはまずないはずだ。


 なんで電話がかかってくるのか気になるけど、とりあえず出るか。


「もしもし」


『あ、もしもし。ごめんね? こんな時間に……』


 穂香の声音はどこか申し訳なさそうだ。


「いや、別にいいけど……。珍しいな、お前がまだ起きてるなんて」


『うん……寝る前に、その、どうしても言っておきたいことがあって……』


「ん?」


 どうしたんだ? 改まって。何だろ、言っておきたいことって……?


『あの……その……ありがとね』


「え?」


 言っておきたいことって、このことなのか? 俺何かお礼言われるようなことしたっけ?


『私のこと……受け入れてくれて』


「それって、妖狐のことか?」


『うん……』


 よっぽど心配してたんだな。自分が妖狐だっていうことを知られて拒絶されることを……。


 妖狐の姿になった穂香を見たときはホントに驚いたし、少なからず恐怖心をいだいた。だけど、一緒に育ってきたと言えるほど長い付き合いだから、俺はあいつのことを、恐ろしい妖怪なんかじゃないって信じられるし、受け入れられる。


 それに俺は――


「……俺は、その……妖怪とか人間とか関係なしに、お前が好きだからさ。妖狐だから、とか、そういうの気にしなくていいって」


 言ってて滅茶苦茶恥ずかしくなる。けどホントの気持ちだ。


『ん……ありがと。私も……き』


「え?」


 今なんか聞こえたけど、なんて言ったんだ? 声小さくてよく聞き取れなかったけど。


『だから、その……私も、だ……き』


「だ?」


 また聞き取れなかったのでもう一度訊き返す。


『わ、私も大好きって言ったの! ……何度も言わせないでよ……ばか……』


「……」


 俺は次の言葉が出てこなかった。


 大好き。


 その一言が、頭の中で何度もループしていた。


 心臓は病気だと思ってしまいそうなくらいに早鐘を打ち、顔や耳は信じられないくらいに熱を帯びている。


 お互いに黙ってしまい、空間を沈黙が支配する。自分の心臓の音がやけに大きく聞こえる。


『そっ、それじゃ、お、おやすみっ!』


 穂香のどこか焦りを含んでいるような声と同時に電話は切れた。


「……」


 しばらくぼーっとしていた俺は、電話が切れてから遅れて我に返る。


 ……と、とりあえず、寝よう。うん、そうしよう。


 そう思い、俺は明かりを消してベッドに寝転がる。そして目を閉じて寝ようとするが……寝られなかった。


 穂香の言葉が耳から離れない。


 俺は穂香のことを考えて悶々(もんもん)としながらベッドの上をせわしなく動く。


 ……明日どんな顔していればいいんだろ。いや、そもそも顔を見ることができるのか?


 考えれば考えるほどまともな考えが出来なくなっていく。心臓の鼓動もさらに加速していく。


 恋愛って、こうもドキドキしたり悶々としたり、色々考えたりするものなんだな……。

 最後の方、どうだったでしょうか? 甘かったですか?


 少しでも甘いと感じて頂ければ幸いでございます。


 ちなみに私は書いている最中悶えそうでしたw

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