第十章...『師弟特訓にて』
「!!!」
真由美は攻撃を不死身スライムで防ぐ。
「はっ!!」
隙を逃さずサーベルを突き立てるが、それも向こうの不死身スライムに止められる。
「さすがね!!!
私の弟子、冷火!!」
「師匠こそ!!!」
こうした両者とも攻撃を与えられない展開が続く。
10分後...展開は動き始めた。
「いでよ!!!
我が太陽の神!!
太陽神ラー!!!」
「ゲッ!!!神!?」
「ほら、どうしたの?
私は本気の一割も出してないわよ!!」
「なら...!!!
いでよ!!
蛇の王!
『アポビス』!」
地面が割れ、蛇と人が融合した化け物が現れる。
「でも!
神の前では無力よ!!
行け!!!
《ゴッドフェニックス》!!!」
「きゃああああああ!!!」
スライムが焼き払われ、アポビスが灰になった。
「どうしたの?
このままじゃあ負けるわよ!!!」
「...なんてね。」
「?...!!!」
振り返るとそこにはもう一体の使い魔がいた。
「行け!!!
ボウガニアン!!!
《地獄送りのボウガン》!!!」
「!!!!!!!」
しかし不死身スライムにより無力化される。
「スライムの存在を忘れないの!!」
「しまった!」
購買部でドーナツを買い、のんびりと食べ歩いていた私と遊斗は訓練用グラウンドでトレーニングを行う真由美さんと最近弟子宣言をした期待の新人(?)の冷火ちゃんを発見したんだけど....
何?この激しい接戦!?
「ふぅ...ふぅ...」
冷火は汗を拭う。
対する真由美は悠々と紅茶を飲んでいる。
「諦めた方がいいんじゃない?」
「まだです...!
まだ私は...!」
冷火は召喚魔法を唱え始めた。
膨大な魔力が消費されていく...
「(まさか...神を呼ぶ気なの...!?)」
雷雲が突如として辺りを包み始め、そして空から竜が降臨した。
「冥界の王『オシリス』!!!」
「すごい...!」
「神を呼んだなんて!!!」
「おめでとう。」
真由美はおしとやかに手を叩いた。
「行け!!!
オシリス!!!
雷の矢でスライムの壁を焼き払え!!!」
オシリスの攻撃でスライムが消滅する。
「なるほどね。」
真由美はサーベルを投擲して弾込めをしているボウガニアンを両断した。
「一対一の神のガチンコバトル、始めましょ...。」
真由美の目に闘志が宿る。
「本気で行かせてもらうわ。」
真由美は呪文を唱え、ラーと一つになる。
「(師匠の本気モード...でも神を呼んだ私には負ける気がしない!!!)」
「神なんて焼き尽くしてあげるわ!
行け!!!
《ゴッド・ブレイズキャノン》!!」
ラーの口から光の塊が発射される。
「迎え撃て!!!
オシリス!!!」
二つの攻撃が激突する...と思いきや。
「きゃああああああ!!!」
あっさりとラーの攻撃がオシリスを上回り、やられてしまった...。
「なん...で?」
服がボロボロに焼け焦げた冷火がフラフラと立ち上がった。
「まず、神を呼んだ所までは褒めてあげるわ。
でもね...。」
真由美はマジな目になる。
「人間の世界に階級があるように、神にも階級制度があるのよ。」
「なっ!?」
「神にもランクがあるっていうの!?」
「あなたの呼んだオシリスは神の中でも最低ランクよ。」
「そんな...!?」
「そして.....ラーは最高ランクなのよ!!!!!!」
「ラーが最高ランクだって!?」
「そうか...だから真由美さんは最初からランクを気にして....あえて最高ランクのラーで戦っていたのよ!!」
「そう。
さすがね、恭子。
その条件で瞬時に私の戦術を読むなんてね。」
「...降参です。」
「素直でよろしい。」
真由美は神を元の世界に戻した。
「神を召喚できるまでに成長したなんて...師匠として、最高よ!!!!」
真由美は目に涙を溜めて喜んだ。
「(絶対私には真似できないわ...。)」
「(ボクがあんなトレーニング、毎日受けてたら過労死するぞ...マジで)」
二人はすごすごと現場から立ち去った........。




