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サ終後の先  作者: 白姫
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冒険の始まり

 翌日、サーベルに僕も冒険者になりたいと言うと喜んで冒険者になるための手続きをしてくれた。

 冒険者の証である冒険者カードを見つめながらサーベルと冒険者ギルドを出る。

「これでアークもブロンズの駆け出し冒険者だ!先輩冒険者である俺がサポートしてやるからな!」

「ありがとう。サーベル」

 手続きは簡単な自分の名前と血の契約という聞くに何らかの魔法的な契約ですぐに終わった。

 カードは自分の情報が書いてあるだけの簡素な手のひらサイズの金属のプレートだった。

 金属プレートを眺めていると二人組が声を掛けてきた。

 見るとホーリーとウィザーだった。

 ホーリーは出会って早々に皆に頭を下げた。

「すみません昨日はご迷惑をお掛けしました。依頼が終わって気が抜けていました」

 サーベルとウィザーは別に気にしていないと返すとホーリーは僕に改めて頭を下げた。

「ウィザーから聞きました。アークさん、昨日は助けてくださりありがとうございます」

「いえいえこちらこそ助けてもらったのでお互い様です」

 そんなやり取りをしているとサーベルが手をたたき止めた。

「それくらいにして今日はアークの冒険者デビューだからお礼兼ねて俺らでサポートしていこうと思う!今日からアークはパーティーの一員だ!」

 ウィザーとホーリーがぱちぱちと拍手を送る。

「今日の依頼内容は実はすでに受注してきた!依頼は簡単な”モンスターフラワー”の討伐依頼だ」

 どうやらさっき僕が冒険者の手続きをしている時に受注していたらしい。

 モンスターフラワーは【アーオリ】にも出てくる序盤の弱いモンスターだ。

「確かにモンスターフラワーなら駆け出しの冒険者であるアークさんでも倒しやすいモンスターですね」

「いいと思う」

 ホーリーとウィザーもサーベルが受注してきた依頼が良いと肯定する。

 実際に戦ってきていて経験豊富な彼らが言うのだから間違いないだろう。

「よし!そうなったら昨日みたいにならないようにしっかり準備しないとな!アークの装備とかも俺が責任もって選んでやるから任せろ!」

 自信満々にサーベルが言う。

(これなら初の依頼は安心だな)


「はぁ…はぁ…」

 息を切らしながら草木が生い茂る森の中をひたすら走っていた。

 目の前に大きな大樹を見つけると僕達はそこに身を隠した。

「みんな無事か!」

 サーベルが皆の安否を確認する。

「僕は無事だよ」

「はい、無事です!」

「無事」

 どうやらみんな無事にここまで逃げられたらしい。

「なんであんなのがいるんだ。すまないなアーク。初任務なのに…」

「いいよサーベル。あんなのがいるなんて誰も予想できなかったから…」


 数分前。僕達は順調にモンスターフラワーを討伐していた。

 モンスターフラワーは牙があり、二本の触手が生えた腰ほどあるハエトリグサみたいなモンスターだ。

 最初は手間取ったが攻撃方法がつるを振って攻撃するだけなので慣れれば簡単に僕でも倒せた。

 依頼の討伐数は多いがパーティーみんなで協力してあとは一体だけだった。

「ロックアワー」

 ウィザーの周囲の小石が浮き上がりモンスターフラワーに飛んでいく。

 モンスターフラワーは石に気を取られて背後に隠れている僕には気が付いていなかった。

 ウィザーが気を引いているうちにモンスターフラワーに近付き剣を振った。

 牙の生えた頭?らしき部分が切り飛ばされモンスターフラワーは力なく倒れた。

「よくやったアーク!これで依頼完了だな!」

「ああ。みんなもお疲れ様」

 僕のもとにサーベル達が集まってくる。

「最後綺麗に決めたな!」

「お疲れ様です。アークさん」

「良かった」

 初依頼の僕をみんなが褒める。

「みんなもありがとう。サポートしてくれて」

「よし!無事依頼も達成したし後は帰るだけだな!帰る時も気を抜かずにいこう!」

 そうして僕たちは森の中を歩いていた。

 すると突然、先頭を歩いていたサーベルが立ち止まった。

「どうしました?サーベルさん?」

 ホーリーの言葉にサーベルは自分の口元に指を近づけて"静かに"のジェスチャーをした。

 サーベルは周囲を見回し確認すると静かに皆に近づき話す。

「右前方の森の奥から音が聞こえる。何かがいる」

 その言葉を聞いてよくよく耳を澄ませて見ると確かに僅かに草が不自然に擦れる音がする。

「静かにしてやり過ごそう」

 サーベルの言葉に皆が同意すると全員その場でしゃがみ息を潜む。

 音は僕達の右側を移動し右後方に向かう。

(そのまま過ぎて行くか?)

 そう思っていると音は次第に大きくなっていった。

「まずい!全員撤退!前に向かって走れ!」

 サーベルの言葉に皆が一斉に前方へ走り出す。

 それに反応して徐々に音の近づいてくる速度が上がりそれが遠くから姿を現す。

 全身が岩石で覆われている巨大な人型モンスター。 '"ゴーレム"だ。


 そして現在。僕たちは巨大な樹木の裏に隠れていた。

 疲れ知らずのそのモンスターはゴリラの様な四足歩行で僕達と同じ速度で迫り、あのまま体力勝負では勝てないと判断してまだ距離のあるうちに木の裏に息を潜めてやり過ごそうという魂胆だ。

(あの距離で獲物を見失わずに追いかけるなんて難しいはずだ。このまま隠れていれば諦めてどっか行くだろう)

「あれはゴーレム。前に本で読んだ」

 ウィザーが小声であのモンスターの正体を全員に共有する。

 僕達は小声で話し合う。

「ゴーレム?町で聞いた事無いモンスターだな」

 サーベルの言葉にウィザーが返す。

「サーベルが聞いた事無いのも当然。あれはここから遠く離れた砂漠地帯でしか出現しないモンスター」

「そのゴーレムってモンスターは俺達で倒せるモンスターか?」

 ウィザーが頭を横に張る。

「わからない」

(ゴーレム…確かに【アーオリ】でも砂漠地帯でしか現れないモンスターだ。いや…確か一度だけ【アーオリ】でこの辺に出現した事があった!)

 【アーオリ】序盤にゲーム内の依頼で近くの森にいないはずのゴーレムが出没したという討伐依頼があった。

 序盤の依頼だしスタートダッシュガチャで引いたSSRキャラで苦戦無く終わったのであまり印象に残っていなかった。

(今回は初依頼の僕と言っちゃ悪いが【アーオリ】でRキャラの三人。ゲームならある程度育成していたら戦えない事も無いが三人はまだ駆け出し冒険者と言っていたからまだそこまで強く無い。これはゲーム序盤からアイテム使用無しRキャラ縛りで戦っているようなものだ)

「戦闘は避けるべきだと思う」

 僕の言葉にサーベルは頷く。

「ゴーレムの強さを知らない以上、俺も戦闘するのは危険だと思う。ゴーレムもあれから来ないし今のうちに」

 サーベルの言葉を遮りゴーレムが巨大な樹木の横から顔を覗かせる。

 岩石に覆われた頭から覗く二つの真っ赤な目が僕らを見下す。

「戦闘は避けられないか!全員戦闘態勢!」

 サーベルの言葉に全員が武器を構えた。

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