1/8
#持ち物検査(涼子 vs 玲央風イケメン)
校門前、
5月の高い空。
初夏を感じさせる、少し汗ばむ陽射し。
その中で――
軽いノリの男子生徒がいた。
玲央風イケメン。
にかっと笑いながら、
無駄に爽やかに鞄を差し出す。
「俺っち問題ないっしょ~?」
冷たい無表情で迎えたのは――涼子だった。
ぱらぱらと鞄を開き、
無駄なくチェック。
そして、
涼子の手が止まる。
取り出されたのは――
ポケットサイズのミニゲーム機。
瞬間、空気が張り詰めた。
イケメンくん、慌てる。
「い、インテリアっすよ!?マジで!」
涼子、きっぱりと告げた。
「……持ち込み禁止物、没収。」
イケメンくん、焦りまくる。
「え、俺イケメン枠っすよ!?ワンチャン……!」
だが、涼子の表情は変わらない。
「イケメンでも、アウトはアウトです。」
その一言で、全てが終わった。
イケメンくん、魂抜けた顔で列から離れる。
周囲、生徒たち(ざわざわ)
(……イケメンでもダメなんだ……!)
列の緊張が、一気に高まった。