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5話 敬語は不要

これからこの作品は1日〜2日毎に更新します。


しかし、2日経っても更新されない時は多忙の時期ということを理解ください。




ポーラさんの能力もわかり、ケルマさんと共に過ごした壮絶な夜も、いよいよ終わりを告げようとしていた。


一面真っ暗だった世界が、わずかな日の光によって明るさを取り戻してゆく。

それと同時にケルマさんが嬉しいことを口にした。


「さぁ、ついに見えて来たぞ。今回の目的地が。」


そう言って指差した方向を見れば、確かに建物らしき物が見えてくる。

そのことにより、自然と体に入っていた力がようやく抜けた気がした。


「ようやくですか、、。めちゃくちゃ疲れました、、、。」


どうやらポーラさんもヘトヘトのようだ。


あなたは気絶してただけなんだから弱音吐かないでください。


と出かけた言葉を慌てて飲み込む。


「ひどいじゃないですかぁー!!」


おっと、どうやら口に出ていたらしい。


ポーラさんのポコポコパンチを受けながら、間も無くたどり着く街へ心を躍らせる。


「そういえば、君たちは共にいるのにお互い敬語を使っているのか?」


若干痛みを感じ始めたところで唐突にケルマさんに尋ねられる。


言われてみればそうだ。ポーラさんは一応、人間よりは上の存在だからと敬語を使っていたが、一緒に旅をしようと約束したから、もう敬語である必要はないわけだ。


むしろタメ口のほうがいいまである。


ケルマさんの言葉を聞き、ポーラさんも何か思うことがあったようで



「あの、実は私もその方がいいかなって思ってたんです。やっぱり仲間だったらタメ口の方がそれっぽい感じがするし。


でも、今まで私ずっと下の位にいたのでどうしても敬語が抜けなくて、、、。


だからせめて、陸歩さんは私にタメ口で話してくれませんか?私としても、その方が嬉しいです。」


言葉の中に、あの世界での苦労が垣間見えた気がするが、いきなりタメ口になれと言われても少し違和感が残るだろう。何かきっかけがあればいいのだが。


「もし、難しいのであればお互いの悪い所を言い合ってみればどうだ?そしたら、自然と敬語が抜けると思うんだ。」

ケルマさんが助け舟を出してくれる。

なるほど。それは確かにいい案かもしれない。


「え?陸歩さんの悪い所ですか?


うーーん・・・・・まだ出会ったばかりだし、私ここに来てから寝てばかりなので、ありませんね。」


ちょっとだけ嬉しかった。自分で言うのもアレだが、ここまでポーラさんを守って来た自負はある。

まぁ、能力のおかげでそもそも狙われないんだけどね。


「じゃあ、陸歩さん。私の悪い所を遠慮せずに言ってください。大丈夫です。直せるように努力しますから!」


ポーラさんが次を促してくる。

大丈夫ってお墨付き貰ったから、別にいいよね。


「ポーラさんの悪いところは、、、」








「ずっと寝てばかりで俺をなんもない世界に一人にさせたまま長時間放置しその理由も昼寝でありそりゃ能力くれたりこの世界に連れて来てくれたことは感謝してるけど自分だけなんか能力開花させてるし俺の能力分かんないしここに来てからも寝てばかりだし力が使えないから1人で戦わないといけないし危険が迫ってるって起こそうとしても起きなくて寝起き悪すぎるしあんま胸大きくないしなんかポンコツだしそれに━━」


「わ、わかったわかった。もういい。それ以上は可哀想だ!」


はっ!言いすぎた。あまりにも思うことがあり過ぎて我を忘れてしまった。

ポーラさんは一見ニコニコと微笑んでいるが、俺にはわかる。心の中で泣いている。


若干俺の嫉妬や別に悪くないことも入っていたような気がしたが、溜めていた不満が一気に出てしまった。


どうしましょ。ちょっと気まずい空気になっちゃった。

ここは訂正しなければ!!


「あの、違くて、なんといいますか、その。」


ダメだ!本音過ぎて訂正のしようがない!終わった!


もう旅は終わりだと1人嘆いていると


「べ、別に傷ついてないですから、、、!」


いや泣き目になってますやん。ちょっと溢れてますやん。


「先ほどの言葉、しっかりと受け止めました。今後、しっかり直せるように尽力します。


ところで、どうですか?敬語、外せそうですか?」


うーん。めちゃくちゃ良い子なんだけどな。寝てばかりでちょっとポンコツなんだよなぁ。


でも、逆にポンコツな位がちょうどいいかもしれない。隙があった方がタメ口で話す罪悪感みたいなものもないし。


なんか後輩ができたみたいで、俺もちょっと嬉しいし。


「・・・あぁ。まだちょっと慣れないけど、タメ口でいかしてもらうわ。ポーラさ、、ポーラも、近い内にタメ口で話してくれよな。」


少しどもりながらも、なんとかタメ口で話すことができた。


「っ!はいっ!頑張ります!」


それを聞いたポーラは嬉しそうに笑った。


・・・なんかいいな。これ。


敬語を使わなくなったからか、お互いに今まで感じていた遠慮というものがなくなり、真の意味で仲間になれたような気がしたのだ。


「よし。ならば私にも敬語は不要だ。昨夜共にモンスターを討伐、撃退した仲だからな。」


ケルマさんが言いながら手を出してくる。


「わかった。じゃあ、ケルマ。」


そう言って俺も手を差し出し、握手を交わす。

ゴツゴツして、たくましい手だった。


こうして俺に、異世界始めての友達ができた!

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