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13話 持ち帰り、売り飛ばし、吹き飛ばす

ポーラにモゴイタケを四つほど持たせ、俺は1人でコンガルムの死体を引っ張る。


そして、巣から街までは(推測だが)5キロほど

ある。


ひぃひぃ声を出しながら、どうにかあと2キロのところまで来ることができた。


「き、休憩、、、。」


さすがに腰と腕に限界を感じ、コンガルムから手を離した。


「お疲れ様です。めっっっっちゃゆっくりでしたけど、よくここまで1人で引きずって来れましたね。」


ポーラは若干引いたような感じを出しつつ、感心したような声で言った。


てか、俺も言わなかったけど別に手伝ってくれてもよかったからね?

言わなくても手伝ってくれるかなーって試してたんだけど、全く手伝う気なかったよね。


じーっとポーラを見つめて見るが、気付くはずもなく首を傾げていた。


「よし、ポーラ。交代しよう。大分運んできてあげたからあとはよろしく。

さ、そのモゴイタケを渡しなさい。」


そんなポーラのアホ面に、何故か無性に腹が立ち交代することを要求する。


「えぇ!?街まで運んでくれるんじゃない?ですか?!

私1人だと無理ですよ!」


「うるさい!俺はもう疲れたんだ!

いや!もう動きたくない!」


「なんでいきなりそんな駄々っ子みたいになるんですか・・・。」


なんだかポーラがうわぁ・・・といった表情で俺を見てる気がするが、当たり前のように無視をする。 


「・・・もぅ。わかりましたよ・・。

運べばいいんでしょ?運びますよ。」


やがて観念したのか、モゴイタケを俺に手渡しコンガルムの腕を持った。


「ふんんんんんっ!!!!!」


必死な形相で巨体を引っ張る。

俺もその姿を見て頑張れー頑張れー。と応援してやる。


だが、残念なことに巨体はあまり動かなかった。

 

・・・そろそろいいかな。


ポーラの辛そうな顔が見られて若干疲れが取れたので、もう一度変わってやった。俺優しい。


「お疲れ。ほんじゃ行くぞー。」


ゼェゼェ息を切らすポーラにモゴイタケを再度預け、俺はまた街へと少しずつ前進していった。

その道中に気付いたことだが、ポーラの俺を見る目に少しだけ尊敬の念を感じた気がする。


〇〇〇〇〇〇〇〇


あれからまた数時間、俺たちはようやく街の付近までたどり着いた。


ここへ来るまでに、色々なモンスターに襲われたりもしたが、なんとかすべて撃退した。


「やっと、やっとだ・・・。マジで大変だった・・・もう俺働きたくない・・・。」


「やっぱり陸歩さんすごいです。こんなに重たいのをあそこから運んでくるなんて・・・。」


尊敬します!と俺に手を合わせるポーラ。

・・・はは。褒められて悪い気はせんな。


「もし俺によく頑張ったなと思うなら、ちょっと鑑定士みたいな人を見つけて連れてきてよ。


もう動きたくないからさ。」


そう言った俺に、任せてください!と飛び出して行くポーラ。


ここで一瞬忠犬みたいで可愛いと思ったことは内緒だ。


しかし、大分汚れてしまったな。


俺はコンガルムの血や、モンスターに襲われた際についた土とか泥がたくさん付いていた。


あーあ。俺のお気にの居合着が、、、。

着替えなんか持ってないからしょうがないんだけどさ。


そんな感じでポーラを待っていると


「おい!そこのお前!」


なんか叫ぶ奴が現れた。全く、誰だか知らんが怒らせてトラブル起こさないでくれよ。俺は疲れてんだ。


「おい!聞こえないのか?!お前だよお前!」


おいおい、無視すんなよ。だから余計に怒るんだろうが。

ほら、今もこんな感じで・・・。


・・・え、俺?!


「お前!無視しやがったな!そんなボロボロな格好して偉そうに!


ふん。まぁいい。

それより、そいつはどこで倒してきた?」


「こいつ?あぁ、コンガルムのことか?

それなら山頂の巣穴を見つけて倒したぞ。」


植物女がな。


「へへっ。なるほどな。そしてお前はこいつを倒した挙句、ここまで律儀に手で運んで来たと。

ならば、今お前に体力は残ってないな?」


おいおい。そこではいそうですねと答える馬鹿がいると思ってんのかよ。

あと、説明ありがとう。


しかし言われたことはめちゃくちゃ図星なので、俺はまたピンチに陥った。

なんとか誤魔化さないと、、、。


「ふ。そんなことはないぞ。俺はやろうと思えば今すぐにでもお前を吹き飛ばせるんだぜ?


だからそれ以上近づかない方がいい。」


「ははっ。おもしれぇ冗談だ。なら何故やらない?

まさか俺の姿を見て、何もされないと本当に思ってんのか?」


そう言いながら腰に付けていた剣を抜いた。


「お前は知らねぇかもしれんけどな、俺は賊の中でもかなり有名なんだぜ。

わざわざ名乗ってやる必要もねぇがな。


とにかく、吹き飛ばせるものならやってみろ。もしできないのなら、そのまま俺の餌食になれ。」


・・・驚いたな。思ったよりも観察眼がしっかりしてる。わざと一歩近づき、俺が何もしなかったことではったりだと見抜いたらしい。


これじゃ俺の脅しも全く効果が無いわけだ。


しかし、マジでどうしよう。あれ。ヤバくね。

俺もう立てないよ。疲れたもん。今こいつと戦ったら多分負けるよ。だって俺の模造刀だもん。しかもこいつ大分手練れだよ。なんかわかるもん。

え、俺死ぬの?まさかの人間に?

えー。死ぬならドラゴンとかそういうのに殺されたかったな、、、。


「おやぁ??いつになったら吹き飛ばしてくれんのかなぁww

まさか、本当に何も出来ねぇのかなぁ?ww

ほら、死んじゃうよ?いいの?早くしないとさぁ!!」


こいつ、、煽ってくんなよ!俺煽られるのが1番嫌いなんだよ!


「へへへっ!お前もういいよ。ありがとな。わざわざこんなマネになるモンスターを連れてきてくれてよ。

そんじゃ、バイバーイ。」


あ、オワタ。俺、死んだわ。



『ちょっとー!私のりっくんに何してるのー?』


ガギンッッ‼︎


あれ?何か変な音が、、、。


「は、、、?

なんで、刀が浮いてんだ、、、?」


俺の目の前で、俺の模造刀が男の剣を受け止めている。

いや、てかなんで浮いてんの?!


「じ、邪魔すんな!どけ!」


それでも男は強引に模造刀を弾き飛ばした。


すると、男の腹がガラ空きになったのでせめて腹パンでもして気絶させてやろうと俺は拳を突き出した。




瞬間、男の体が宙に浮き、やがて空高くまで飛んでいき森の中へと消えてしまった。


はて、、、。今、何が起きた??


自分でも何がなんだか分からず、頭の中が?でいっぱいになる。


あ、そうだ!模造刀!


そして刀の方を見るが、しばらく浮いた後俺の腰に戻り、またうんともすんともいわなくなった。


ちょうどそのタイミングで、ポーラと知らない男が近づいて来たのだが、つい先程起きた現象を伝えることはできなかった。





「おぉ!本物ですな、、、!これを、あなたが、、、?」


知らん男はコンガルムの死体と、俺のことを交互に見て興奮気味に尋ねてくる。


「はい!運んできました!」


それにポーラが元気よく伝える。

決して倒したとは言ってないのが地味に律儀だな。


「ほう。それは素晴らしいっ!では、少々お待ちください。今すぐマネをお待ちしますので!!」


そして男はもう一度街の中へ駆け出して行った。


「よかったですね!これでマネがたくさん手に入りますよ!」


「あぁ。良かったよ。これで武器が買えるし、宿にも泊まれる。


・・・けど、俺たちはまだ依頼の途中だ。マネを貰ったらすぐに少女の元へ急ぐぞ。」


「はい!わかりました!」


元気よく返事をし、男を待つポーラ。

うん。


・・・やっぱ忠犬みたいだ。



その後、帰って来た男から10万マネを貰いコンガルムの死体を引き渡した。


それを確認した俺たちは、ホクホクになりながら少女を探すのだった。


それにしても、あの時の力は一体何故・・・?

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