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9.0話 植物の①

腹ごしらえを済ませた俺たちは、ひとまず街中の路地でこれからどうするかを話し合った。


もう一度山の中へ入り、モゴイタケを探すか、

それとも、暗くなるのを見越して今日は辞めておくか。


俺の正直な意見としては、やはり危険が少ない明るい時に行った方がいいと思っているが、依頼をした少女に必死さというか、何か焦っているような印象を受けたのでこれが最善とも言えない。


しかし、それで死んでしまっては元も子もない。


せめて、あの時みたいに能力が使えるなら今すぐにでも山へ行くのだが・・・。


結局俺は能力の発動方法も、その能力の内容も分からずじまいなのだ。


「はぁ、、、。どうやったらあんな力が出るんだよ・・・。」


思わず口を出たその言葉に、ポーラが思い出すように話し始めた。


「そういえば、陸歩さんが能力が使えるようになったとおっしゃってた時、私何故か

『あ、ほんとだ。』って思ったんですよね。


本当になんでか分からないんですけど、

なんかこう、刀にオーラが見えたというか、、、。」


・・・・え?


「マ、マジで?あの時能力使えなかったのに?なんで?」


「い、いやいや、私にもわからないですよ!

結局、陸歩さんが情けなくこちらへ走ってくる時にはそんなオーラ、感じなかったんですから。」


情けなくって、、、。ちょっとずつ言葉に棘が出てきたな・・・。


しかし、この情報はかなり大事だ。発動条件を理解するためのヒントになるかもしれない。

あの時聞こえた声に関係がある可能性も出てきた。


となれば、これは色々試す必要があるな。

俺の中に一つの仮説が生まれた。


「うん。いいことを聞いた。ありがとうなポーラ。」


「え?・・・あ、はい。どういたしまして?」


いきなり礼を言った俺に若干困惑しているようだ。


「よし、とりあえず依頼を続けよう。

もしかしたら急がないといけない可能性もあるからな。


それに、俺が能力を使った時は絶対絶命のピンチだったんだよ。

もしかしたらそれが鍵かもしれん。だから敢えて危険な状況に身を置いてみるんだ。」


そう。あの時の俺は、モンスターに襲われ身も心もボロボロな状態で山賊に狙われて、その声を聞いたモンスターがこちらへ走ってきている。という状況だった。

まさに絶対絶命だろう。声が聞こえたのも、まさにこの瞬間だった。


「なるほど・・・。でも、もし違ったら陸歩さんかなり死ぬ可能性高くないですか?」


・・・・。


確かに。能力のことで頭がいっぱいで、もし違った時どうするか考えてなかった。


どうしよ・・・・。



「ま、まあ?いざとなれば逃げればいいし?きっと大丈夫でしょ。俺、相手の攻撃避けるの得意だから!!当たんなければ死なないって!」


謎の自信がある俺に


「そんなこと言って、死んだの誰ですか?」


と、ポーラが納刀の仕草を見せてきた。


こいつ、ほんとに容赦がなくなってきたね。


いや、いいことなんだけどね?


〇〇〇〇〇〇〇〇


結局、俺たちはこの後再度山へ入ることにしたが、武器がないと始まらないということで武器商人を訪ねていた。


「相変わらず高ぇな、、。ほぼ買えないものばっかりだ。」


今の俺たちが買える武器といえば


トンカチ、タケヤリ、メリケン、ロープくらいしかない。


しかも、一つのみだ。俺かポーラ、どちらか片方しか持つことができない。


もちろん。武器は俺が持つし、ないよかマシだろう。とこの中で1番使いやすそうなタケヤリを買うことにした。


「商人さん。タケヤリを一本ください。」


「あぁ?こんなモンでいいのかい?もの好きもいるもんだなぁ。」


と商人は不思議そうにしながらそのタケヤリを取りに行った。


なら売るなよ。と言いたい気持ちを抑え、しばらく待つ。


「・・痛っ!」


しかし、待ってる間、急に左足の太腿が痛くなった。まるで何かに叩かれたように。


「な、なんだ?」

誰かに叩かれたのか?とも思ったが、後ろには誰もいない。ポーラは並べられた武器を見ている。


「??」


結局なんなのかわからないまま、商人が戻ってきた。


「ほらよ。かなり前に趣味で作ったやつだからすぐ折れるかもしんねぇが、その分安くしてやるからよ。大事に使えよ。」


そう言ってタケヤリをこちらに差し出してきた。

俺もそれを受け取ろうと手を伸ばすが、


「痛ぇっ!!」


先程よりも強い痛みが同じところを襲う。


「ん?おい、兄ちゃん早く受け取ってくれよ。それとマネも。」


「わ、分かってるさ。今受け取るから。」


しかし、


「ひんっ!」


やっぱり同じところに痛みが走る。

やけわかんねぇっ!!


「ポーラ、受け取ってくれ。」


よくわかんないが俺が取ろうとすると痛みが走るので、ポーラにお願いした。


すると、ポーラには痛みがないらしく俺を痛い奴を見る目で見つめてくる。


え、演技じゃねえからな?!


とりあえず、マネを渡しその場を後にした。



「陸歩さん。商人さんの前で恥ずかしくなかったんですか?私は恥ずかったです。」


「だから、わざとじゃないんだよ。なんかそれを取ろうとしたら、左の太腿の裏を叩かれたみたいな痛みが生じるんだ。」


そう言いながら、自分の左半身を見る。


そこには刀しかついていない。



・・・刀?


いや、まさかな。


別に、そういえば生前怒った先生に鞘でケツを叩かれた時と痛みが似てるなーとか思ってないけど。


・・・試して見る・・・?


「・・・ポーラ。そのタケヤリをもう一度俺に渡してくれ。」


「・・?わかりました。」


差し出されたタケヤリを、俺は自分の刀を見ながら受け取ろうとする。


次の瞬間、俺の腰に下げられた模造刀が、勢いをつけて俺の太腿を叩いた。


「いだぁっっ!!!」


そのまさかだったよ!

この刀なんなの?!自我でもあんの?!


それを見たポーラも驚いたように


「え、今、その刀動きましたよね。しかも、かなり強めに陸歩さんを叩いてました、、?」


とまじまじと俺の刀を見ていた。


この刀、俺が武器を持とうとすると攻撃してくるのだ。

多分、能力使った時からだよな。


だって、今までこんなことなかったんだもの。


・・仕方ない。タケヤリはポーラに持ってて

もらおう。いざという時は自分でも戦えるようにな。


「というわけで、色々あったがもう一度山へ行くぞ。頑張って死なないようにしよう。」


「あまり、死ぬ可能性の高いことはしてほしくないんですが、、、。」


「大丈夫だって。

ポーラも変な木の実食べたりするなよ?」


「し、しませんよ!前はお腹ぎ減ってたからっ、、!!」


そんな感じで、騒がしくも危険な探検が始まった。


〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇


「それにしても、すごいですね、、、。」


俺たちが山(むしろ森かもしれん)へ入って数十分、昨日俺が能力を使った場所まで辿り着いた。

相変わらず、おかしな光景だ。


周りには木しか見えないのに、その場所だけは緑がなく、禿げたみたいになっていた。


「これのおかげでだいぶ見晴らしが良くなったな。しかし、どこまで続いてんだ?これ。」


見る限り、この先に木は生えていない。あるとすれば、今だに血溜まりができており悪臭を放っていることくらいだ。


「とりあえず進もう。」


そして、昨日は行かなかった道を進んでいく。


「木の枝一本すら落ちてませんよ。

ほんとに、陸歩さんがやったんですか?ってくらい、半端じゃないです。」


「それは俺が1番言いたい。本当に俺がやったのかって。」


改めて、能力についてポーラと話していると


遠くの方に人の姿が見えた。あの人も何かの

依頼で来てるのだろうか。


しかし、人がいるのは心強い。ダメ元だが、協力をお願いしよう!


そう思い、近づこうとしたが

その女性と俺たちの間の林から、狼のようなモンスターがぞろぞろと出てきた。


あれは、あの夜俺がケルマに助けられた時のモンスターだ。


たとえあの人が強いとしても、1人だと危険すぎる。

俺たちは急いでその女性の元まで走り、大声を出す。


しかし、あまりにも距離が遠過ぎる・・!


女性はこちらに背を向けたまま動かない。

そして、モンスターたちは一気にその女性へ襲いかかった。




が、もうダメだ。と思ったその時、

地面から蔦のような物が無数に伸び始め、モンスターたちを縛りあげる。


さらに、捕縛したモンスターの前に植物の蕾のような物が現れ、その先っぽを開かせた。


次の瞬間、遠くからも聞こえていたモンスターたちの唸り声が次第に小さくなっていき、やがてピクリとも動かなくなった。


一体、何が起きた、、?とあまりの強さに驚いていると


「・・・!!陸歩さん!後ろ!!」


「え?」


気づいた時には遅かった。

先程モンスターたちを縛り上げていた蔦が、今度は俺を縛りあげる。


「んなっ!?まさか、気付かれっ!?」


すると、蔦は勢いよく俺をその女性の元まで運ぶ。


「あんた、何者?ずっとこちらを見てきたけど。」


そしてその女性は縛られた俺を睨みつけてきた。


え、こわ。なんかめっちゃ敵意剥き出しじゃん。


「い、いや!俺はあなたがモンスターたちに襲われそうだって思って!助けようと思ってたんです!」


「・・・本当に?」


「マ、マジです。」


「・・・そう。」


すると、蔦の力が弱まり俺を解放してくれた。


「だったら、早くどこかへ行って。」


相変わらず冷たい態度だ。

こんなんじゃ協力なんか頼めるか。


しかし、俺たちは命がかかってるんだ。

このめちゃ強い人がいてくれれば、生きて帰れる確率がめっちゃ上がる。


ダメ元でも、お願いする価値はあるんだ。


「あ、あの。お願いがあるのですが・・・。」


「・・・なに?申し訳ないけど、私、男の人嫌いだから。これ以上話しかけないで。」


おおぅ・・・。お願いすることもできず拒絶された。


やっぱりダメかぁ。しくしく。


「・・・。」


しかし、その女性は俺の姿をまじまじと見つめてきた。


な、なによ。怖いって。


「・・ん?なんですか?」


「・・・あなた、ひょっとして転生者?」


「え?」


〇〇〇〇〇〇〇〇


なんか携帯が重くなったので一旦ここで更新します。


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