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伝説の詐欺師、サラリーマンはじめました。

作者: おむすびころころ

なろうラジオ大賞2をきっかけに、初めて小説を書いてみました。

初めてなので拙い点が多いと思いますが、良かったら読んでみてください。

「え、サイバー攻撃!?」


水森が詐欺師を離れ、サラリーマンを始めてから300回目の朝。


出社すると、『紺野警備会社』はてんやわんやの大騒ぎだった。


「データの身代金を要求されている!」

「誰か、何とかしろ!」

「専門家の伝手があるので、俺、呼びます!」

「でかした、頼む、堺!」

水森の後輩・堺は、急いで部屋を出て行った。


しかし呼ばれたIT技術者は、「要求額を払わないとデータは戻りませんね」とあっさり述べた。

泣く泣く要求に屈し、1000万円が払われた。

2ヶ月前のことだ。





「例の攻撃後、客が離れている。経営もかなり厳しい。」

社長の言葉に、30人の社員は皆黙って頷く。


「実は、この前堺君が連れてきた方の会社、『橘サイバーセキュリティ』が、うちに買収話を持ちかけてきた」


社員は皆、思いがけない話に目を見開いた。

優秀な堺は真っ先に冷静さを取り戻し、悪くない話だと思いますと答えた。

水森は悩んだが、私も賛成ですと述べた。


「では正式にこの買収話を受けようと思う。3000万円で買ってくれるそうだ」


これが、2週間前の話。





そして今水森は、ドバイにいる。出張として――、ではない。


「2年かけて仕込んだ甲斐がありました! 詐欺師ネイビー、痺れる演技でしたよ!」


水森が上機嫌に話しかけた相手は、紺野社長ことベテラン詐欺師のネイビー。


「流石の計画だった、伝説の詐欺師アクアよ。今頃橘は、買ったはずの紺野警備会社を探し回っているだろう!」




橘サイバーセキュリティは、表はIT企業だが、裏では詐欺やサイバー攻撃を行う犯罪グループだ。

水森は2年前、ここをターゲットに決めた。


「橘は俺に恨みがありますから。詐欺師から足を洗ったと聞けば、勝ち逃げは許さないと仕掛けてきて、罠にかかると思ったんですよ」


水森は、自分が足を洗ったと見せるため『会社ごと作った』。

紺野警備会社は『存在しない』。


社員は皆協力者だったが、橘は予想通りスパイを潜り込ませてきた。堺だ。彼だけは敵の刺客だった。



橘が、敵を屈服させ配下にすることを好むとを知った水森は、自らのいる会社を買収させることにした。得意のサイバー攻撃を待ち、負けた振りをした。会社ごと屈させるために橘が買うよう、仕向けたのだ。



『存在しない会社を売るために』。





翌日。漸く気づいた橘は、放心状態で叫んだ。


「どこから騙してた! 詐欺師を辞めたのも嘘か!? ただサラリーマンを始めてみただけだったんだな、くそ!」

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― 新着の感想 ―
[一言] 時事ネタと作品を融合させ、その上で規定の文字数に収めるのは凄いなと思いました。 特に自分には推理や人の裏をかくような話が、なかなか思いつかないので羨ましく思いますし、とても初めてとは思えませ…
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