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第5話 マスター
物語はものすごくわかりにくく聞こえるが、簡潔にいうと山本亜美には組織以外には言えない事情があり、その事情をマスターは知っている。という事である。
少ししてから神主の白い装束を着たマスターがカウンターから出てきた。そして木製の床にチョークで魔法陣を描いていく。
「お嬢ちゃん、それではこの魔法陣の真ん中に座ってくれ。ーーーーー呪印を解く。」
山本は困惑する。
「ちょ、ちょっと待ってください!これを解くのは無理ですよ!?傀儡界の使徒が一日で組んだものです!解けるはずがありません!」
それを聞いて愛斗は力のこもった声で言う。
「まぁまぁ、そう慌てなさんなぁ、、、このお兄さんに任せとけば問題なしだぜ。」
その信頼しきった愛斗の言葉を聞き、本人はフッと笑い、
「そうだよ嬢ちゃん。僕はねぇ、ちょっと特殊な家系でね、、、君はしってるかなぁ、、、陰陽道って、、、」
彼女は大きく目を見開いた。
「僕の名前はね、安倍健太という。陰陽師の家系の子孫、数少なくなってしまった、陰陽師の教えを受け継いだ人間だ。今じゃもう、ただのバーのマスターなんだがね。」