私、つまらないです。
『私、つまらない女だ。』
未有菜は、寝る前に今日の出来事を振り返っては、こう思った。
それが、最近では毎日 思うようになり寝つきが悪くなった。
自分で気付くのは時間が掛かる。
それは相手から教えてもらうのではなく、自分で気付かなくては意味がない!
いや、気付いているのに気付かないフリをしたのかもしれない……
そう、私は自分のしたい事を一番に考えていないから!
相手の言う事を素直に聞いて、自分の考えを押し殺していたからだ!
『だけど、分かったところで今からどうする?』
未有菜はベッドの上で一生懸命 これからの自分を考えてみた。
『やっぱり私には無理! 今が大事だもん!』
考える時間も短く、未有菜はスヤスヤと寝始めた。
次の日。
未有菜が行きつけのカフェ“Time”
時間も忘れさせてくれる…
この場所が誰にも邪魔されず、自分を素直にさせてくれるので、お気に入りの空間。
ミルクティーを飲みながら、未有菜は店長の雪菜ママに話した。
「私、つまらない女だと思うんです。」
それだけの一言なのに雪菜ママは、本当の母親のように優しい眼差しで私を見つめて、
「人間なんて、つまらないよ? だって、本当に皆んなが皆んな やりたい事をしてる訳じゃないんだもん! 一割も居るのかな? その一割に入れないと思ってるから、皆んな諦めた顔してるんだよ。』
やはり未有菜は、雪菜ママの全てを知っていると思わせる発言に納得してしまった。
だが、そんな暗い顔の未有菜を雪菜ママは
「でも、その事に気付けている人はもっと少ないと思うよ! だから未有菜ちゃんなら これからの人生、素敵なことが待っていると思うよ!」
何故か占い師みたいに当たりそうな雪菜ママの言葉を信じてみたくなった。
もっと聞きたくなって、その為には何をしたら良いのか聞いてみた。 すると……
「やりたいことリストを作るだけ!」
『それで叶うのなら、皆んなしているのでは?』と勝手に思いながら、私はそのアドバイスにとりあえず、感謝し、お店から自宅に帰宅した。
「 やりたいことか……」 そんな簡単では無い。
やりたいことが思い付かず、発想を変え、好きなことを書き出してみた。
一.カフェに行くこと
二.ミルクティーを飲むこと
三.雪菜ママとの会話
それ以上は何も書けなかった……
それ以外を楽しめていなかったからかもしれない。
未有菜は一つの答えに辿り着いたのだ。
『私を変えるためにはココから始めよう!』
次の朝。
未有菜は何故か笑顔だった。
いつも、やる気の無い会社の上司に、こう告げた。
「私、脱・つまらない女を卒業します! そのためには、この会社を退社させて頂きます!」
あまりに突然だったが、上司も渋々 了承してくれた。
そして、無職になった未有菜はある所に電話を掛けた。
「もしもし、雪菜ママ?」
電話でも伝わるほど未有菜は明るく、またしても笑顔だった。
それは、諦めの笑顔では無く、これから自分のやりたいことを自らが決め、前向きに考えている人としか出来ない笑顔なのだ。
これからの未有菜の人生が輝くに違いないのは言うまでもない。