>>1-夏-
日常ストーリー
私の住んでいる駅から高校までは片道1時間半。
対して距離があるわけじゃないのに畑が広がるような場所にあるから電車は1時間に2本しかない。
電車を乗り継いで最寄りの駅から徒歩20分
遮るものなどほぼ無い為が少し強くなった日差しがこれでもかというほど肌や衣服を照らしてくる。
天気がいいのはいい事。
雲一つない空がこの上なく広がって風が吹けば夏の匂いを運んでくる。
そう、風が吹けば…
「あっ…つい…」
風がなければクソ暑い。
オマケに衣替えまでまだ1ヶ月ちょっとある。現在私は冬服だ。
校則上膝下まである冬用スカートは足に絡みつき紺色のブレザーは少ない日差しを集めやすい冬仕様、夏に近くなった今このコンビは最悪である。
「なんだってこんな暑いのよ…」
最寄り駅から離れ半分に差し掛かった通学路には入学式には桜前線かと思うほどの美しく咲いていた桜並木は、現在強い日差しから優しく守ってくれる木漏れ日の傘を作り上げている。
もう一つあるはずの道が本来の通学路だが、暑い日はこっちの方が幾分涼しい。そう思い、この道を通ったのは失敗だと後に後悔した。
「おぉ!高崎〜おっはぁー!」
「うわ…」
後ではなく、現在進行形だと訂正させていただく。
「荒山うるせぇww」
「高崎おはー」
「龍崎と同じ意見。おはよう藤野くん、ハイン、幸弥くん」
「「「おはよ、高崎」」」
第一声に引くような声を出したのは
荒山 小前。電車オタクで五月蝿いのが常である。私がつけたあだ名が
『歩くスピーカー』
笑いながら荒山を突っ込んだのは
龍崎 彰。元々同じ美術部でスターライブで更に仲良くなった。つるみ友達で口が悪いけど気立てがいい。
ふたりを無視して挨拶したのは
藤野 日向。龍崎や私とと同じで美術部。家が近所だと知り何かと相談に乗ってもらっているお兄ちゃん的ポジ。
声をかけて反応を返してくれた2人は
灰本 健。松浦 幸弥。
2人は卓球部で龍崎を経由して仲良くなった。チャラそうに見えてしっかりしてる灰本くん通称『ハイン』と真面目そうに見えて緩い性格の松浦くん通称『幸弥くん』は真逆に見えて趣向が似ているようでとても仲良くしている
朝からこのメンバーは、楽しいが疲れること間違いなしだと悟りを半ば強制的に悟りを開きつつ、私はパーティに加わった。
話しながら歩いて数分。
ようやくついた。
『都立春野宮高等学校』
ここが、私達の学校。
そして、君と私が出会った場所
この頃は、お互いに気づかなかった
自分の探す声の持ち主がこんなに近くにいたなんて…
前振りですね