9・ヘタレな勇者はリバースした。
勇者のヤル気をキープするのに少し刺激をしてみたいと思った。
なので騎士と兵士の魔物討伐の見学をお願いした。
オレは実は魔物を倒したことがある。
以前、異世界に迷い込んだときに「冒険者体験ツアー」を
クラスの皆としたことがあるんだ。
まあ、護衛付きのお遊びみたいなもんだったんだけどね。
薬草なんかの採取の仕事だったんだけど当然のように出てきた
魔物にウィンドカッターをぶち当てたら勝っちゃったんだ。
嬉しくて気分が悪いという変な状態に陥っちゃったんだ。
まあ、初体験ってそんなものかもしれない。
勇者はまだ人を殴った事すらなかっただろう。
ココにくるまでは。
訓練で色々やらせたから多分自分じゃあできると思ってる。
だけど魔物でも殺すとなるとソレは結構高い壁だと思う。
今すぐヤレ!とは言われないだろうけど自分がしなきゃいけないことが
どういうことか分かってもらわないとな。
見学だけで分かるとは限らないけど。
場所は森と草原の境目だった。
森から魔物を追い立てて草原で仕留めるそうだ。
追い立て役の勢子と仕留め役の連携が肝心らしい。
魔物は熊みたいなヤツだった。
火魔法が苦手なヤツだそうで勢子は魔法使いだった。
モチロン兵士が護衛についている。
やっぱりココの魔法使いも格闘とか剣術は苦手らしい。
大先生は例外だろうね。
森から出て来た時はもう大分ダメージが入っていた。
騎士と兵士がトドメを刺すべく奮闘した。
だけどまだ余力が残ってたらしい。
コチラ側にも負傷者が出始めていた。
なのでオレは端から回復魔法を飛ばした。
触れてかけるのが一番だけど近づくのはオレだと危険すぎる。
勇者は震えてた。無理もない。
だってオレ達の世界の熊だって巨大な代物なのにココのは
魔物でもっと大きかったんだ。
でもオレにしがみつくなよ!
魔法を飛ばしにくいじゃねぇか!
土魔法で飛ばした槍のダメージが大きかったのか騎士たちの
攻撃が効いたのかは分からなかった。
なんとか終わったら勇者は向こうを向いていた。
どーやらリバースしちゃったようだ。
まあ・・しばらくは放置だな。
回復魔法を飛ばした兵士たちが礼を言って来たけどソレは
味方なら当然の事だよね。
触れて掛けられなかったのを詫びた。
すみません・・魔物にビビっちゃって近づけませんでした。
魔法を使うヤツは後衛だから無理に近づかなくてイイんだと
反対に慰められてしまった。
実戦は怖い。
ほとんど見てるだけだったけど・・
勇者に見せるためだったハズだけどオレの方が
見学しておくべきことだったかもしれない。
チョッピリ立ち直りを見せた勇者と一緒に城に帰った。
刺激が強すぎたかもしれない。
でもアレはこの先にあって避けられないコトだと思う。
コノ異世界に居る限りは・・。




