72・ヘタレな勇者は実験体(モルモット)。
中央の島への船は帆船だった。
魔力で動く船、つまり魔道具な船もあるのだけれどソレは
まだ大きなモノは無いのだと言う。
その小さ目の船で港の外まで曳航してもらっていた。
タグボートだね。
島の多いこの地方を周る航路があるそうで乗客は巡礼の人達
だけじゃあなかったね。
中央の島はココからは遠くないそうで三日ほどだそうだ。
途中で二つほど別の島に寄るらしい。
海は穏やかだった。
風も順風、船は気持ちよく海を進んだ。
魔物の嫌う塗料が船には塗ってあるんだそうで近づいて来ても
回れ右して去っていく。
でも、これは陸上の魔物にはあまり効かないとかで海上限定な代物なんだと言う。
「研究してはいるようなんだがまだ実用にはなってない。
まあ、完成したらオレ達の仕事も楽になるかもな。」
エディさんは神殿の街と巡礼路の守備が仕事だ。
オレ達に付いてくるってのはイレギュラーな仕事だね。
どうもお世話をかけてスンマセン。
みんな気持ちよく船旅を楽しめたんだけど一人だけ例外が居たんだ。
ジークは盛大に船酔いしてたんだよ。
回復魔法を掛けても原因が揺れる船だからすぐに元の木阿弥だ。
ココにも酔い止めの薬があるようなんだけどまさか船酔いするなんて
思わなかったから準備してなかったよ。
委員長がゲームにあった常時回復するリジ〇ネみたいなのは無いのか?
と聞いて来た。
う~ん・・そういうのはパパ勇者には聞いてなかったよなぁ。
だってオレはココに来るまで回復魔法なんてできなかったし。
なので色々手探りながらやってみることにした。
ヒヒヒ、実験体はお前だ!ジーク!。
あー・・成功はしたよ。
ユウリちゃんが。
まあ、それを見てその他大勢なオレ達もできるようになったんだけどな。
威力と精度もやっぱりユウリちゃんが一番だね。
やっぱり規格外だよなぁ。
こんなにイロイロやらせちゃったって魔王さまやパパ勇者に知れたら
オレ達ってどうなるんだろう?
な・・なんか無事には済まない気がしてるんですけど。(汗。)
最後の晩に嵐が来てしまった。
この季節はほとんど嵐なんか来たことが無いんだそうだけど。
来ちゃったものはどうしようも無い。
ジークはリ〇ェネな回復魔法が効いてるのに青い顔だ。
船はもうコントロールなんか効かないようだ。
少しでも揺れを緩和したいと思って風魔法の結界を張った。
ジークも手伝ってくれた。
もちろんユウリちゃんも。
でもユウリちゃんはまだ小さいからね。
睡魔には勝てなかった。
子供に深夜労働なんて無理だよね。
有り難いことにユウリちゃんが眠ってしまっても結界は壊れなかった。
オレ達はソレを維持すればイイだけだったのでなんとか朝まで頑張れたよ。
でもね・・ちょうど水に浮かんだ風船みたいなモノだったから
吹き流されてしまったんだ。
さて・・ココは一体ドコなんだろうね?
まあ、海の上だってコトは分かるんだけどさ。




