48・ヘタレな勇者はヨロヨロ歩く。
何も聞こえなかった。
見えてはいた。
ユウリちゃんがジークに取りついてペシぺシ叩いてた。
揺すっていた。
ジークは反応しない。
ほんの小さな魔力だったはずだ!
まさか・・そんな!
自分がフラついてるのが分かる・・一歩が遠い・・膝がふるえる・・
そして跪いてジークにヒールを掛ける。
掛ける・・何度も・・・何度も・・・何度も・・・
掛ける・・・何度も・・・何度も・・・何度も・・・
だれかが止める声が聞こえたような気もしたけど無視した。
掛け続けた・・・
魔力の底が見えた気がしたので体力を魔力に変換した。
掛け続けた・・・
そうして意識は途切れた。
殴られたような気もする・・・。
気が付けば風の吹く草原にいた。
ポチポチと白い花が咲いていた。
風の吹いて行く向こうにジークが居た。
なんだかヨロヨロと歩いている。
待て!待ってくれ!!行くな!!!
オレを置いて行くな!
草原の向こうにキラキラと長いリボンのようなモノが見えた。
でもソレは見てはイケナイモノだとなぜか思った。
見るな!見ちゃダメだ!!絶対振り向くな!!!
「なんで?なんでダメなんだ?
オレ・・あの向こうに行かないとイケナイ気がする。」
訳なんか分かるかよ!
でもダメなんだ!絶対ダメだ!!
引きずるようにジークの腕を取って回れ右!をした。
でも足が急に重くなる。
重い・・・オレの足もコイツも・・・でも・・
あのキラキラリボンが何なのか分かってる気がした。
逆らっても多分無駄かもしれないとも思う。
でも・・それでもコイツをこのままあの向こうには行かせたくない・・
誰でもいいからコイツを助けてくれ!
コイツは元の世界に帰らないとイケナイんだ!
こんな所で・・魔王のイタズラみたいなモノでこんな目に遭うなんて・・
不意に何かに捕らえられた気がした。
まるで魔力のヒモがからんでしまった時のような、、
蜘蛛の巣に引っかかった虫になった気がした。
なのに逆らったらマズイと言う気もする。
混乱してる頭に響いて来たのはユウリちゃんの声だった。
『ぱぱ!!!。』




