45・ヘタレな勇者は女の子に手を振る。
パーティはダンスと晩餐会の二本立て形式だそうだ。
御仕度・・大変だね。
ほとんど朝からかかってたようだった。
アリス様も出席されるという。
なんと男装で王女のパートナー役だそうだ。
よくココのダンスなんてできるね。
ふ~ん・・王女のダンスレッスンにつきあってたのか・・。
まあ、オレ達は蚊帳の外だね。
どこかから魔王の顔を拝みたいところだ。
拝めなくて当然な立場なんだよな。
タダの従者でしかないんだから。
そう思ってたんだけどココの魔王は戦闘好きだそうで
令嬢方の護衛に余興で対戦させてみたいという話が来た。
この別荘にはちゃんと闘技場まであるんだそうだ。
令嬢は8人。代表を一人ずつ。
トーナメント方式。
参加者には参加賞。優勝者と準優勝者に褒賞あり。
まあ、その後のパーティの話のネタかもね。
オレラのトコの代表はモチロン勇者アリスさま。
彼女が一番強いからね。
他の騎士たちがちょっとビビってたからでもあるけど。
その他大勢なオレラも観客になることが許された。
時間は午後2時開始。
試合の持ち時間は30分くらいかな。
勝敗判定は魔王国の騎士らしき人物。
判定基準は『死ぬか戦闘不能かギブアップ』だそうだ。
ありゃりゃ殺しちゃってもいいのぉ?。
万が一死んだ場合の判定であってなるべくなら殺すな!と
お達しが来てたそうだ。
まあ、コレは余興だそうだからね。
他の組み合わせは結構時間がかかってたけどアリス様の試合は
ほとんど瞬殺で終わった。
二回戦も同様だった。
でも、オレは見ていなかった。
ほとんど記憶にすらない。
なぜかって?魔王に釘付けになってたんだよ!。
ユウリちゃんを膝に抱いて寛いだ雰囲気の魔王・・・
初めて見る顔じゃあ無かった!
それに似た顔を一年間同じクラスで眺めてもいたんだ。
以前、友人の兄の高校生勇者が召喚された時に巻き込まれた。
あの時は神殿と魔王城だけしか見ていない。
ココの世界が二度目に来た異世界だったなんて分かるかよ!。
頭の中身を踏んづけられたようなショックを受けてる間に
アリス様の優勝が決まっていた。
転入生な美少女元魔王はドコに行ったんだろう?。
彼女はアノ魔王の〔姉〕で先代の魔王だった。
連絡が取れれば魔王に話を付けてもらって帰還を助けてもらえるかもしれない。
でもココにいないとなると・・
魔王に話を持って行けるようなツテなんか無いしなぁ・・
王女は自分の事しか頭に無いから無理だと思う。
アリス様・・優勝者でも近くで話すなんて無理・・だよな。
魔王と勇者が親しくお話・・なんてパターンはそうそう無い。
ほら、褒賞をもらってるけど渡してるのは大臣ですらない。
どーすれば・・・
目に入ったのはユウリちゃんだった。
あの子の母君は王族だって言ってたよな!。
魔王になんとか繋ぎをお願いするなんてことは・・
混乱した頭で考えていたら勇者はユウリちゃんに気が付いたようで
軽く手なんか振ってやがる!
おい!ヤメロ!!誰が一緒に居るか見えてないのか?!
そうしてユウリちゃんはポンと転移してきた。
ニッコリ笑って「ぱぱ!。」と言った。




