26・ヘタレな勇者は逃げられない。
今日は相棒と神殿に来ている。お祈りに。
召喚主たちがオレ達を帰還させられないのはハッキリした。
勇者な彼女は元の世界よりココのほうがノビノビできるそうで
別に帰れなくてもイイと思ってると言う。
でもオレは・・オレ達は帰りたいと思ってる。
以前、異世界に行った時にはソコの世界の神さまに助けていただいて帰還できた。
勇者たちがお願いしてくれたせいだとは思うけどね。
お祈りが神さまに届くのがレベル次第だとは思えないけどできることは
レベルを上げることとお祈りくらいだ。
なので神殿には時間があればお祈りに来ている。
でも帰還を願うというのはココの神さまへの信仰とは違う気が
どうしてもしちゃうんだよ。
ココの神さまには申し訳ないような気持になるんだけど
他に道が分からないからね。
そんなある日神殿前の広場で事件が起きた。
馬車が暴走して広場に突っ込んで来たんだ。
広場は満員って訳じゃあなかったけどソレナリに人出のある日だったから
もう大変!パニックだ!!。
オレは魔力のヒモを網のように展開して暴走を食い止めた。
相棒の勇者には雷魔法を使わせて馬をマヒさせた。
なんとか止まったのでホッとしたんだけど周りはケガ人で溢れてた。
なので端から回復魔法をかけた。
神官さん達もとんできて救護に当たってた。
騒ぎが収まって来たのでソソソッと帰ろうとしたらしっかり
神官さん達に捕獲されてしまった。
えーと・・ゴメンナサイ・・・
神殿の業務妨害になっちゃったんでしょうか?
そうではなかった。
騒ぎを収めたことへのお礼だった。
でもあんな場面に出会ったら、何かできるんならやるよね。
「冒険者の方はあまり神殿にいらっしゃることはないんです。
アナタ方は時々いらしてますよね。
何か願いがおありなんですか?」
実は故郷へ道を探しています。
ココに来たのは我々の意思とは関係のない転移です。
ギルドの方のオカゲでなんとか生活できてますが帰るには
もう神頼みくらいしか思いつかなくて・・・
「遠い所なんですね・・故郷・・。
転移の事故ですか・・・この辺りはあなた方の知ってる場所ではないとなると
元の場所も特定できないってことですか。
・・・神託をいただくには申し訳ないと思いますがお布施を頂かないと
お受けできないことになってます。
それでもその神託はヒント程度だったりするのですが・・
試してみますか?」
なんか微妙に誤解してくれたようだけど細かいことまでバラすって
訳にもいかないよね。
一般人は神託を受けようとはしないそうだ。
お布施のお金もかなりの金額だしホントにヒント程度なので
ガッカリすることも多いらしい。
でも、オレ達って他に手もないしねぇ。
ダンジョンの宝箱で手に入れたお金のほとんどを
お布施に出すハメになったけど、冒険者の稼ぎもあるからね。
お願いすることにしたんだよ。
そうして神託をいただいたんだ。
やっぱりヒント程度だったけど。
ソレは幾つかの言葉だった。
「勇者・魔王・王女・縁談」
う~ん・・城の事情とは離れていたいと思ったんだけどねぇ。
ココへの召喚理由の王女の縁談からは逃げられないらしい。
魔王・・・やっぱり戦わないとダメなのかね?
勇者はとてもじゃあないがそんな実力なんて無いんだけどなぁ。




