23・ヘタレな勇者は気圧される。
エリクサーは女性勇者に効いたそうだ。
医師も神官もビックリしたと言う。
まあ、アレってホントは異世界の神さまのレシピなんだって
製作者の神官が言ってたからね。
魔力で合成された毒でも人の造った毒なんて神さまのレシピには
対抗できなかったってことだろう。
もっと無いかと医師も神官も言ったそうだけどコレは簡単に
譲ったりできないからなぁ。
ココのモノとは効果が段違いの回復薬を少し渡しておいた。
ソレもココだと上級薬なハズだからね。
数日後にギルドに護衛(みはり?)付きの女性が訪ねてきた。
〔次〕の召喚者の勇者だったよ。
面談室を受付嬢に貸してもらってオハナシした。
オレ達の世界の勇者の道場「体育館」でもかなり上位に行きそうな実力者だね。
勇者なんか足元にも及ばないよ。
だから・・そんなに気圧されてんじゃねぇよ!!
彼女も召喚は初めてじゃあないそうで前回は魔王と戦ったと言う。
「負傷はしたんだけど戦闘では勝てたのよ。
でも、最後の最後で逃げられてしまってねぇ。
まあ、あの世界の勇者がちゃんと見つかったから後は彼がなんとかするでしょう。
神官が重傷な体を治してくれたんでこうして無事な体に戻れたのよ。
でもまさか戦闘ではなく毒でやられるなんて思ってもみなかったわ。
アノ薬は貴重なモノだったと聞いたんだけど。
なんとかお礼をしたいと思って・・。」
オレ達が、というか勇者が普通に強かったら
あなたは召喚されてなかったでしょう。
毒を盛られるなんてこともなく平和に過ごされてたハズです。
オレ達のせいとも言えると思うんです。
ですから薬のことはお詫びくらいに思って頂ければ結構です。
今でも勇者としてどころか冒険者としてすら一人前とは言えませんからね。
城の方々に勇者はダンジョンで行方不明ってことにしてもらってるんです。
アナタの勇者としての活動のジャマはしません。
ココに居るのは勇者じゃあなくてタダの冒険者と思って頂きたいんです。
「勇者としての活動・・ね。
王女は悪い人ではないとは思うけど王よりも魔族に対して
偏見のようなモノをお持ちのようね。
私が戦った魔王は王という気概にあふれたヤツだったわ。
王女は王族だと言う気概をまだお持ちでないみたい。
縁談の進み具合がまだどうなるか不透明なんだけど状況によっては
魔王と戦うことになるかもしれないわね。
もう覚悟くらいはできてるから気遣いは要らないわ。」
無理矢理召喚されたんでしょうになんで魔王と戦うなんて気になったんです?
王女は王族の義務ともいえる政略結婚がイヤで王には内緒で
独断な召喚をしたそうですが。
「前回は助力してくれた人達がいて元の世界に帰ることが
できたんだけど・・なんというか力を持て余してたの。
私の世界は魔王と戦った後では平和すぎてね。
だからと言って異世界にそう簡単に渡れる訳もないでしょ?。
だから召喚はなんというか・・・嬉しかったわ。
ココの魔王はそれほど悪いヤツとも思えないんだけど戦ってみたいと
思ってるのは確かなのよ。」
あー、これだからあのコンビニバイトな神さまは召喚経験者の
フォローの為に「体育館」を造ったのか・・。
どこかでガス抜きをしないと持ってる力を使いたいって
気持ちを抑えられなくなるかもしれないから。
ココの魔王に勇者の彼女は敵うんだろうか。
試合・・とかは多分させてくれないよな。
魔族でも王さまなんだもんな。
以前会ったことのある魔王を思い出してあんな風に戦いたがる
魔王ばかりじゃあないよな・・と思う魔術師くんなのでした。




