20・ヘタレな勇者はボロクソ言われる。
一応お金入りの洗濯物袋のことはギルマスには報告した。
大体の場所も。
まあ、ギルマスでも城の中のことなんか詳しくないだろうから
役立たずな情報だろうけどね。
オレ達はランクが上がった。
見習い護衛をした商人さんとベテランさん達が上げても大丈夫だと
言ってくれたんだそうだ。
ありがとうございます。
一人前にはあと一つのEランクだね。
でも登録してから一ヶ月くらいしかたってないから気を付けないとな。
なるべく目立たないようにしておこうと思ったのに
ギルマスが邪魔してくれる。
どうやらオレって弟子に認定されたようで何かにつけてシゴキたがって困る。
当然のように勇者も付き合うハメになっている。
コイツは魔法使いじゃあないんですけど。
「勇者は大抵が全属性が使えるからな。
オレにシゴカレとくのもイイと思うゾ。
大体コイツはカンも悪いし進歩は遅いしコントロールも下手クソなんだ。
勇者でなかったら弟子をクビにしてるところだ。
お前はコイツのカバー要員なんだからもっとガンバレ!」
勇者はボロクソ言われてたけどそれでもコイツは頑張ってココまで来たんだよ!。
得物を持つことすら大変だったんだ。
勇者の補正が効いてても努力がなかなか結果にならない
面倒なヤツだとオレも思う。
それでも頑張ってるんだよなぁ・・
あれ?弟子?
そーか・・出来は悪くてもコイツは大先生に弟子認定してもらってるんだな。
・・・よかったな。
でもギルマスが直々にシゴイてくれるので微妙に目立ってる。
ギルドの訓練場には見物するヤツラまで出てきた。
どうやら期待の新人扱いになってるみたいだね。
ボコボコにされてるだけなんだけど。
受付嬢はニコニコと上機嫌だった。
「オカゲでギルマスが仕事をサボらないので有り難いわね。
なにかというと仕事をほっといて自分の趣味に走ってくれるから
捕まえるのが大変なのよ。
まあ、ギルドにいる限りは仕事の山から逃がさないけどね。」
も・・もしかしてこの受付嬢ってギルマスの天敵なのか?
あー・・でもコレって追及しちゃダメだよね。
笑顔のコワイお姉さんは逆らってはイケナイ人だもん。
ギルマスにシゴカレつつ冒険者の仕事を続けた。
師匠なギルマスが同伴して魔獣の退治に連れて行かれたりするので
もうメチャクチャでーす。
ランクアップしなくてイイから師匠の顔を見ない日が欲しいよう。
そんなある日、馬車で師匠に連れて行かれたのは王都の外れの
貴族の別荘(?)な屋敷だった。
そうしてソコには二人の人物が待っていた。
王様と王女だったんだ。