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音楽響く異世界で  作者: 熊田猫助
第一楽章「幼少期」
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5.異世界の学び

軽く?説明回っぽい感じです。


読んでくださっている方に感謝を。


突っ込み等があれば気軽によろしくですorz


「はい、じゃぁ今日はここまでにしましょうか」

「はーい」

「はい、ありがとうございました」


机に向かう俺とルゥの後ろに陣取っている母が、手を一度軽く叩いて授業の終わりを告げた。

母が部屋から出て行った後、俺は机に突っ伏す様に項垂れ、ルゥは軽く伸びをした後、勉強道具の片付けを始めている。

俺はそんなルゥを横目に見ながら、そういえば、ルゥ事、前世の妹と再会してから結構時間がたったなぁ等と考えていた。


トントン拍子というか、気が付くと決まっていた俺の進路には文句は無い。

この世界でも歌が歌える事は素直に喜ばしい事だ。


俺はこの世界で唱える者、唱者を目指し、ルゥは奏でる者、奏者を目指す。


この世界でもまた兄妹二人で同じ音楽の道を歩める事に、感謝している。


それにしても、と、今現在の俺の服装をチラリと見た後、隣のルゥを見る。


俺達二人が再会した次の日に、直ぐオーダーメイドで作られたドレス。


さすが一つの町の領主を務める程の裕福さか、そこらへんの行動力の速さには正直驚きを隠せなかった。


普段着用なのでそこまで豪奢という訳ではないが、質素ながらも品の様な物を兼ね備えた……、って、俺にそんなドレスの批評をするようなセンスは無い!

とにかく、黒を基調としたお揃いのドレスを着ているわけで……、お揃いというからには勿論男の子の筈のルゥ事、妹まで。


もうすぐタリア叔母さんとルゥがこの家へやってきて一年が経つが、当初の混乱はどこへやら、完全にルゥの女装が定着していた。


まぁ俺の中でもすでに定着しているので人の事は言えない。

慣れとは恐ろしい物だ。


まぁそれが不快になる何てことは勿論無く、身内の贔屓目と取ってくれて構わないが、正直どこをどう見ても美少女である。


現在六歳という幼さも手伝ってはいるだろうが、まぁそれは一先ず思考の隅に。



取り合えず、今現在の俺とルゥの目標はこの世界でいう音楽の専門学校である『メロディアス音楽院』に入学する事である。


正直な話、これはさほど難しくは無いらしい。


勿論ある程度の選り分けというか、試験もある事から、来る物拒まずという訳ではないが、ある程度の才能を見出されれば殆ど二つ返事で入学を許される。

そしてさらに入学に優位な条件が、両親のどちらかが奏者など、音楽に関する職に就いている事。

これにより、俺とルゥは圧倒的に有利なのだった。

しかし、その分プレッシャー等を受ける事は否めず、有名な音楽一族等になると尚更その期待感などが半端では無いらしい。


因みに、我がベリウス一族は由緒ある音楽一族であり、そして、俺の父は何を隠そう婿養子。

祖父母は既に他界している為、一族の長は、我が母親、マリア・ベリウスその人である。


ルゥは三歳から英才教育を受けていたらしいが、俺はそんな事は無く、ここチェロの町にある普通の学塾(小学校の様な物)に通わせる予定だったそうだ。

幼い頃から音楽に興味を持ってはいたが、自ら魔器、楽器を触ろうとしない俺に、無理強いはしたくなかったらしい。

メロディアス音楽院は途中入学も認められており、学塾卒業後の十二歳から途中入学者と、七歳からの入学者に分かれるので、途中入学をさせるつもりだったのだが、急遽俺が唱者になりたいと言い出したので、昨年から大慌てで英才教育が始まったのだ。


国家運営であるメロディアス音楽院では、次代の奏者や唱者、更には魔器の製造、魔曲作家の育成等幅広く学ぶ事が出来る。


才能とは持って生まれた物だけの事を指すのでは無く、自らで学び、育む物であるべきだという、理念を礎に、国内外問わず、広く門を開いているらしい。

こう聞くと素晴らしいと思うが、学院内では壮絶な競争社会が形成されているという噂である。


それを学院も奨励しており、自らで学ぶ事、自らを高める事を放棄した者は容赦なく学院を退学になるそうだ。


正直不安であるが、好きな物の事だ。

頑張ろうと思う。


昨年から始まった英才教育は、まず読み書き等の語学から始まった。

字の読み書きが出来ないのでは正直お話しにならない。


入学の必要最低限の条件と言っても差し支えないのだ。


それは一先ず、一年たった今、何とか形にはなった。

試験は簡単な読み書きの問題と簡単な面接。

そして、才能の選り分け、実技である。


入学希望者は、魔曲を一曲、試験官の前で披露する事。

それで入学できるかどうかが決まる。


実技は我が父であるジョンに指導を受けている。

こっちは正直、苦痛など感じる事もなく楽しいの一言。


今は様々な音楽を聴き、どの曲を選択するかを選んでいる所である。


そして現在、座学の方はというと、魔楽史というこの世界の歴史を勉強中である。

これは入学後の予習の意味合いが大きいので、それほど母も力を入れてはいなかったのだが、読み書きの方が思ったよりも速く終わったのと、俺もそれなりに興味があるので頑張っているが、特にルゥが想像以上に進みが早く、母も張り切ってしまい、結構な速度で進んでいる。


楽しい事は楽しいのだが、まだ読みが怪しい俺には正直長時間の文字とのにらめっこは疲れるの一言だ。


良く出来る妹を持つとお兄ちゃんは大変だ……。


負ける訳にもいかないので頑張るしかない。



「……ここ、なんて読むんだっけ?」

「うん?えっと、そこは、聖王国だよ」

「そうか、ありがとう」


うん。

良く出来る妹を持つと、お兄ちゃんは大助かりだよ。



俺達が生まれたこの異世界。


名前を、アルフィーネ。


広大な大陸に自然豊かな世界である。


そして、アルフィーネに存在する国家、聖楽国クレッツェンド。

聖なる音楽に守護された、音楽大国である。

アルフィーネ大陸一の大国であり、一番の発言力を持っているらしい。


近隣諸国との関係は極めて良好。

俺達が現在学んでいる歴史によると、大昔には人間同士の争いが絶えなかったが、共通の敵がいる今、人類は一つに纏まっている。


敵、とは言っても現在はその動向は沈静化しており、平和その物である。


その人類共通の敵にとって有効なのが、この世界では魔法と同義語である音楽の力である事が先の大戦で証明されており、音楽大国であるクレッツェンドが発展し、発言力を増していったのは必然だった。


そして、出来ない兄に、出来る妹、妹の発言力は上がり、妹に頭の上がらない兄と言う構図が出来上がるのは必然であったのだ。


そんなこんなで、俺達兄妹の勉学と音楽に溢れた日々と、離れていた時間を埋める家族、兄妹としての時間は平和に過ぎてゆくのだった。



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