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63代目竹取の翁  作者: 相戯陽大
讃岐の造一族の起源
7/10

浦島太郎の帰宅

その後赤ずきんは家よりも先につるじいさんのところへ行き、シンデレラ邸のメイドになってから今までの全容を説明しました。それを書き留めたのがが現在語り造が持っている独自の竹取物語、そして語り造の前に現れた桃太郎と名乗るおじいさんの昔の話。


話は戻って現代。


「まさか、あの竹取物語が全て実話だったなんて…」


「俺もびっくりだ。まさかこの世界で昔話になっているなんて思っても見なかった。千年の間に変わっていったようだけどな。」


「それに、あの玉手箱は開けると未来に飛ばされる箱だったなんて誰も思っても見ませんよね…」


数十年もの間赤ずきんを探し続けて今ではおじいさんとなった桃太郎と千数百年間の重荷を背負っている語り造はそんな話をしながら讃岐の造の家に向かっていました。千数百年、立て直しはしたものの1度も場所が変わっていない家でした。


「時代は変わったのか…」


「どんなに変わっても、僕は先代の意思をついでいるつもりです。」


「赤ずきんの世話をしてくれたんだ、つるじいさんと同じ心を持っているのはわかる。」


夕方、讃岐の造の家。洋服を来た少女が無気力に布団に横たわっていました。


讃岐の造は代々、不老不死の体に苦しむ一人の少女、明実を預かっていました。ある日老いることがなくなった明実は、首を切っても、体を燃やしても、海に沈んでも苦しくなるだけで死ぬことができない。家族はみんな死に、孤独に千数百年を生きてきました。だから讃岐の造は代々、子供に夢を与えるために、どんな生物でも殺せる毒を作る研究をしてきたのです。


讃岐の造の名を負った人は誰でも思っただろう。夢を与えるためとはいえ毒を作るなんてできない、と。しかし、現に死ぬことができずに嘆き悲しんでいる子供がそこにいる。だから今の今まで毒の研究が続いている。語り造はそう考えて今まで生きてきましたが、今日でそれからも解放されるのです。


「ただいま、明実。」


「…造、そのおじいさん、誰?」


「赤ずきん、俺だ。会いに来た。」


その声を聞くやいなや少女は跳ね起き、おじいさんに飛びつきました。


「おいおい、千年前もそうやって玉手箱を開けただろ?」


「桃太郎さん…私、あの後探したんだけどどこにもいなくて…狼も、お母さんも、桃太郎も…ずっと1人で…!」


「俺も赤ずきんほどではないけど1人で生きてきた。ずっとお前を探していたんだ。本当に無事でよかった…」


「ありがとう…」


こうして現代の讃岐の造の家で2人は再会を果たしましたとさ。めでたしめでたし。


いえ、まだ終わりません。2人はまだ千数百年で世界があまりにも変わりすぎた理由の真相を知らなかったのです。

とりあえず第一章完結です。第一章はかぐや姫と桃太郎を軸にした日本昔話中心のお話でしたが、第二章は西洋の童話を軸にしようと思っています。思っているだけでまだ書いていないので、少し時間が空きます。

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