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第42話:船団の到来〜略奪船は、超豪華リゾート客船へ強制改装です〜

巨大海獣が「巨大な抱き枕」へと作り替えられ……。 沿岸部がかつてない平和に包まれていた頃。


水平線の彼方から、黒煙を吐き出しながら突き進む、鋼鉄の装甲船団が姿を現した。


「野郎ども、全艦突撃だ! あの呪われた大陸から、宝を全て奪い尽くせ!!」


海洋国家『バルバドス』の略奪船団。


彼らは強奪することこそが唯一の生きる術であり、誇りであると信じて疑わない。 蛮族の末裔たちだった。


その数は数十隻。 一斉射撃で小国一つを地図から消し去るほどの威力を、秘めていた。


だが、殺気立つ彼らの旗艦の目の前に。 一艘の小さな手漕ぎボートが、ぷかぷかと現れた。


「こんにちは。遠くからわざわざ、お疲れ様。波が高かったでしょ?」


ボートに乗っていたのは、いつもの聖職者服に。 なぜか水仕事用のエプロンを重ね着した、レオンだった。


「なんだこの小僧は!? 恐怖で頭がイカれたか!」


「貴様のボートごと、海の藻屑にしてくれるわ!!」


船団長がギザギザの剣を抜き、砲撃の合図を出そうとした、その時だった。


「うーん……外装は錆びだらけだし、船底にはフジツボがびっしりだね」


「これじゃあ燃料効率も悪いし、何より船員の皆さんの衛生状態が最悪だよ」


「働く環境として、あまりにも非効率すぎるなぁ」


レオンが深く溜息をつき、空に向かって指をパチンと鳴らした。


【略奪船・機能変更:ロイヤル・リゾート・モディファイ】。


その瞬間、船団を取り巻く因果律が。 レオンの魔力によって、強引に上書きされた。


黒ずんでいた船体は、一瞬にして眩いばかりの純白に塗り替えられ……。 殺伐とした砲門からは、こともあろうに「最高級ココア」が、ドロドロと溢れ出した。


鉄の甲板は、裸足でも心地よい最高級のチーク材へと変わり。 ボロボロだった帆は、大気中のマナを吸収して自動で推進する。 最新鋭のウィング・パネルへと、進化を遂げた。


「な……な、なんなのだ、この部屋はぁぁぁ!?」


「なぜ私の汗臭い寝室に、オーシャンビューと羽毛ベッドがあるのだぁぁ!!」


船団長が、自分の旗艦が「超豪華クルーズ客船」になった事実に絶叫する。


だが、レオンの「お改善」は止まらない。


「客室には全自動の指圧マッサージチェアと」 「二十四時間食べ放題のビュッフェカウンターも付けておいたよ」


「長男として家計を助けるために海賊になった皆さんも、これでゆっくり休めるね」


「……あ、ああ……。俺は、一体、何を奪いに来たんだったか……?」


数分前まで血走った目で剣を振っていた海賊たちが。 気づけばふわふわのバスローブに身を包み……。 シャンパンを片手に、デッキの寝椅子に沈み込んでいた。


「もう……略奪なんて、重労働すぎてやってられないわよ……」


「これからは、この船で観光業をしながら平和に暮らしたい……」


船団長は、最上階デッキに新設された黄金のジャグジーに浸かりながら。 幸せそうに白目を剥いて、降伏を宣言した。


「うん、船は綺麗に、そして快適に使うのが一番だよね」


レオンの「ちょっとした清掃作業」により。 海洋進出を目論んでいた新大陸の脅威は、一日にして……。 「超豪華リゾート船団」へと、ジョブチェンジしてしまったのである。


こうして、海を越えてきた野蛮な力さえも。 レオンの圧倒的な「生活の質」へのこだわりの前に……。


あっけなく、骨抜きにされていくのであった。

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