6・怒
次の7話が最終話になります。
17時にアップの予定しております。
高州堂に同田貫を預けひと月たった。
今日が出来上がりの日だ。
この腰の軽さが何とも頼り無かったが、それも今日までだ。
ドスドス・ドス・ガッ!
足音と共に障子が開く。
勘定方の部屋に何者かが現れた。
皆も驚き振り返る。
保坂達、悪童組だった。
(そう言えば今日から謹慎空けだったか?)
「篠原!ほらよ!おまえの安刀、刀屋から持ってきてやったぞ!」
大之進に刀を投げた。
嫌な予感しかしない・・・
周りの者も固唾を飲んで見守って居る。
大之進は刀を抜くと刀身は頼んでもいない、極上の研ぎが行われていた。
くすんだ肌も美しく化粧されている。
(見事だ!ん?)
柄がガタ付く・・・
目釘を抜き柄を取ると無惨に削られた同田貫のナカゴが現れる,
タナゴ腹風に削られご丁寧に銘は正国の正だけ残して削られ、正の上にには“村”と切られていた。
大之進は怒りで顔が青くなる。
周りの者の顔も青い。
3人だけは大之進の驚いた顔を見て、ヘラヘラ笑っていた。
「何を騒いでおる!」
組頭の石田様が見かけぬ御仁を案内しながら部屋入って来た。
3人組と俺の顔と周りの様子から、3人組が何かやらかしたと感じ取った。
その視線が大之進の持っているナカゴに目が行き絶句する。
「村正に仕立てるとは!こっ、これはなんじゃ!やって良い事と悪い事の分別も付かんのか!」
石田様が悪童の3人組を怒鳴り付ける。
石田様の案内して来た武士が口を開いた。
「その刀はその方の物か?」
「はい」
「間違い無いな?」
「御座いません」
「うむ、引き立てい!牢にぶち込んでおけ!」
「お待ち下さい宮入様!これには訳がございます!」
「石田殿、訳はあろうが無かろうが、この今の状態の判断は1つじゃ。徳川家に対する反逆じゃ!目付として見過ごせん事柄だ」
篠原大之進は宮入の率いていた武士に、左右の腕を掴まれ連れて行かれた。
▪️▪️▪️▪️
大之進が幕府の直参にも関わらず、反乱分子の討幕派と言う事で牢に入れられて4ヶ月経った。
篠原の家の門は封印され見張りが立っている。
「・・・太一郎さすがにやり過ぎたのでは無いか?」
「・・・これはかなり不味い、高州堂まで殺るのは不味いぞ」
「うるさい、うるさい!テメエらも同罪だ!オタオタするんじゃねぇ!」
「おい!親父!客の話を聞いてんじゃねぇ!」
3人組は船宿の2階で飲んでいた。
刀屋の高州堂は辻斬りにあって死んだ。
犯人は保坂太一郎だ。
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咲はショックの為寝込んだ、石田様は知り合いを駆け回り大之進の潔白を訴えている。
3日前に一連の件に責任を感じ、篠原大之進の祖父と母が自害した。
それを聞いた大之進の顔はいつに無く厳しかった。
その1ヶ月後、篠原大之進はやっと釈放された。
お構い無しになったが、同田貫はお取り上げとなった。




