表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/7

5・企み

保坂太一郎・高山小五郎・大浜孫兵衛の悪童組3名だが実家の嘆願もあったが、流石にこれは許されずひと月の謹慎となった。


酒屋の親父や客が篠原大之進を襲撃する話しを聞いており、「刀先に抜いたのは3人組である」っと、目撃していた町の者や神社の神主らの証言が多数あったからだ。

あと人目が多すぎて事件を隠蔽出来無かったと言う訳だ。

だが、ひと月の謹慎でもかなり軽い処分だ。

3人組の親が金をバラ撒き、あらゆるコネを使ったのが効いたようだ。


「これが3人の良い薬になれば良いのだがな・・・」

心の広い石田様はそう考えて居るようだ。

同僚達の見解はより悪化すると見ている。

俺も同意だ。嫌な予感しかしない。

同僚達から周囲に気をつけるようにと言われている。


この下らない騒ぎのおかげで、同田貫に小さい刃こぼれが生じてしまった。

しばらく研いでも居なかったので、下町の刀屋に研ぎに出す事にする。

同田貫は刀袋に入れ手に提げて居るので、腰には無銘の美濃物を差している。

あの同田貫のずしりとした重さが腰に無いので何とも頼り無い。 

(最初は重くて閉口したがな、人間慣れとは面白いな)


*****


「ちくしょう!あの野郎!痛えんだよ!俺の指切りやがって!奴の指全部切り落として殺してやる!」


「俺なんて親父の直胤持ち出してたのがバレて、大目玉くらったわ!」


「あの大阪新刀は見せかけ剛刀だったのか?はりぼてか?と笑われておるわ!」


部屋を抜け出した謹慎中の3人は着流しで、刀も持って居ないので町人に見える。

まぁ、謹慎中なので町人に寄せ変装している訳だ。


舟宿の2階で外を見ながらクダをまき、昼間から浴びるように酒を飲んでいた。


その目の前を篠原大之進が横切った。

「おっ!?、あいつ何処に行くんだ?」

「つけてみるか?」

「おうよ!」

3人は距離を空け大之進を付けた。

少し歩くと高州堂と言う刀屋があり、そこに入って行った。 ここの店主と息子は自ら研ぎを行うのでなかなか儲かって居る。

腕もかなり良いので人気の刀屋だ。


四半刻ほどすると大之進は店から出た。

「あいつ何か用事だったのか?」

「聞いてみよう」

「よし!店行くぞ!」


「おう、おやじ邪魔するぜ!」

「これは保坂様・高山様・大浜様、いつもご贔屓にありがとうございます」

「おう、ところでさっきの篠原だが何しに来た?」

「お腰の物の研ぎでごさいます。細かい刃こぼれが生じたらしいです」

「おい!高州堂よ!貴様が俺たちに売った刀がその刀に折られたんだよ!知ってるか?」

「そうだ!どう言う事だ!」

「俺達を馬鹿にしてナマクラ売りやがったな!」


「いえ、このお刀は同田貫ですので致し方ないと存じます」

「何だと!そのタヌキってのを見せてみろ!」

「いえ、他の方のお刀なのでご遠慮ください」

「うるせぇ!」


バギッ!


「ぎゃ!」

店主が床に叩き付けられ刀を取られる。

「おい、重いな!」

鞘から剣を抜き出した。

「おい!目釘抜き!と木槌!」

頬を抑え口から血を流した親父が、目釘抜きと木槌を保坂に渡した。


「何だこの野暮な刀は?」

「こりゃ浅葱裏(あさぎうら)だな!」

「田舎もんのあいつにピッタリだ!」


銘を見ていた保坂が、ふと何かを思い付いたらしく、いやらしい笑みを浮かべた。

「おっ!太一郎何か思い付いたか?」

「おおよ!とびっきりだ!おい、親父ちょっと来い、耳かせ!」


「・・・・・」


ただ保坂太一郎の話を聞いた親父は真っ青になる。

「いえ!それはいけません!!」

「何だと!」

「そっ、それだけはいけません、とっ、とても冗談ではすみません!!おやめください!!」


「父上どうされました?」

奥から息子が出て来た。

保坂太一郎はその息子の髷を掴み引き寄せ、腕に同田貫を突き立てた。


「ぎぁぁーー!」

息子が痛みに声をあげる。


「なっ、何をなさる!!」

「うるせぇーー!俺の言う事聞かねえなら殺す!今すぐこの場で作業しろや!」」

保坂太一郎の目は血走っている。

もう正気の目ではない。

顔の出来物から瘡毒を病み脳にまわっているのだろう。


刀屋は息子の傷口の手当てをして、奥の部屋に行きたらいに荒砥石をのせ、刀を和紙で巻き作業に入った。

刀が好きでこの仕事をやっていたが、これはお刀を穢す行為だ。

(これを最後に刀屋は廃業しよう。)

高州堂の主人は心に誓い、心で刀に謝罪しながら作業を進めた。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ