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「私はバグか?」祝福された世界で、元AIの少女はエラーを吐く  作者: Manpuku
第3章 遺跡の歩き方

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47 断章ログ 魔導船開発

断章ログ: 魔導船開発(試作1~4号機)


【記録:Development_Magical_Devices_088】


************************************


開発目的:

ミスリルの軽量かつ高耐久な性質を活かし、魔法陣を組み込むことで自律的飛行・潜航能力を持つ魔導船の開発。

空中および水中の長距離航行が可能で、魔力供給源としての結晶核を搭載し、戦闘・探索・交易の多目的運用を想定。


手順概要:


1. ミスリル板材の精密加工と魔法陣の彫刻。


2. 魔力供給結晶の埋設および回路化。


3. 試作船体の組み立てと基礎浮力・推進テスト。


4. 飛行試験および潜航試験。


5. データ記録と改良点のフィードバック。


テストパイロット選考


誰がテストパイロットになるかもめると思ったが、すんなり私(Sue)に決まった。

全神経を集中し、予測プログラミングで一番に大きな声で挙手したのが良かったのだろう。

一緒に魔導船を作り上げた仲間たちがうらやむような眼差しで私を見つめる。

非常に申し訳ない、大人気ない気持ちになった。

この名誉を甘受しながら、魔導船のテストパイロットとして皆の期待に応えたい。

ここに魔導船のテストパイロットの誓いの言葉を記す。


*********************

誓いの言葉


この船とともに誓う。

空を恐れず、海に沈まず、未知に心を閉ざさぬことを。


船よ、我が声を聴け。

魔法陣よ、我が意志を刻め。


ドワーフたちが築き上げた誇りが、

魔法陣と出会い、ミスリルがその橋となった。

鍛冶の火と精霊の息吹が交わり、

我らの手で「夢」は形を得たのだ。


風を越え、闇を裂き、未来へ辿りつくまで、

我が魂はミスリルのごとく揺るがぬ。


これはひとりの飛行ではない。

すべての創造者への敬意と、希望への航海である。


魔導船テストパイロット Sue

*********************


1号機


飛行試験中、魔法陣の過熱により船体表面に亀裂発生。操縦席下部に周辺に部分欠損。

テストパイロット(私)は高度42.7メートルから自由落下するが、物理法則に従い地面衝突が予測されたが、外部介入(精霊)により軌道修正。個体損傷なし。


2号機


魔法陣を多重化、冷却魔法を全体に組み込み推進系魔法陣を再設計。

飛行は成功するも、推進力不足で紙飛行機のように滑空。

船内はマイナス38.5度に達し、テストパイロット(私)は意識消失。

船底の風力魔法陣が自然着陸を補助。発見時、私の手は舵を握ったままであった。


3号機


推進力強化・竜骨を調整し船体軽量化を実施。

飛行中、魔法陣の共鳴が暴走し船体が光の帯のように発光。

テストパイロット(スー)は光のトンネルに吸い込まれる感覚を経験し、気圧変化による意識消失。

船体自動安定装置が作動し着地。着陸時に軽度の外装ひびが発生。気圧対策が必要。


4号機


近郊の海までの飛行テストをクリア(543キロメートル、42分18秒)。


飛行中、ミンカとドワーフたちは一言も発さなかった。

船内には、風を切る音だけが響いた。

彼らは船を楽しんでいるのか?この空景色に息を呑んでいるのだろうか?

ぜひとも、美しいこの船で空の旅を楽しんでもらいたい。


海にて潜航試験を実施。水圧による船体の一時的な「たわみ」は、柔軟ミスリル合金が吸収。

自律魔法陣が姿勢を補正し、浮力魔法陣が潜航安定化に寄与。


深度679.3メートルで操縦席前のガラスに亀裂が発生。船内に浸水。

精霊たちの「気づかい」により、外圧から船体を守り、内圧を最低限に保つことに成功。

急浮上を試みるが、水深55メートル付近で船内が完全に浸水。

私は舵を握ったまま意識を失うが、精霊たちが自動浮上魔法を作動させる。

船は水面まで浮上。のちに完全排水と救助が行われた。

ミンカとドワーフたちの迅速な修理により、無事帰還。


帰路も、彼らは静かだった。

……人は感銘を受けると、きっと言葉を失うものだろう。


なお、テスト飛行後の海で食べる弁当は格別だった。

次回はルルや他のドワーフたちとも一緒に弁当を食べたい。


試行回数: 4回(現在5号機の開発が進行中)


結果


飛行および潜航は概ね成功。

長時間運用時に魔法陣の魔力消耗が予測より早く、魔法陣の並列化を思案する。

高速移動時の空気・水圧抵抗により、船体形状最適化の余地あり。


観察コメント


推進力、速度、耐久性、魔力消耗、船内G管理,船内温度管理のバランスが今後の課題。

魔法陣の過熱、共鳴暴走、結晶核の消耗など、偶発的現象が性能に直結。

精霊の介入や自律補正魔法陣の作用が、試作成功に不可欠な要素であることを確認。


パイロットにはG耐性と水泳が必須らしい。

……どちらも持ち合わせていなかったが、私はどうにかなった。

パイロットは船を最後まで信じることが一番である。


結論


基本設計の方向性は確立。

各試作で得られたハプニングデータは、今後の魔導船開発の貴重な指針となる。


付記


将来的には自律航行AI魔導陣の組み込みと、群制御航行による艦隊運用も視野に入れるべき。


開発の言葉


「船を信じる力により、新たな航路は生まれる」


****************************

【記録:Development_Magical_Devices_090】(試作5号機)

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改良要旨:

1~4号機の「墜落・氷結・暴走・浸水」というハプニングデータを全反映。

魔法パイプラインの並列化と流線形船体の採用により、空中・水中の統合運用を最適化。


試行結果:

完全成功。高速飛行、深海潜航ともに安定し、自律補助システムにより操縦負荷は「ほぼゼロ」を達成。性能限界をクリアした魔導船の完成形。


観察コメント:

特筆すべきは、機体の完成度とは裏腹に、次のテストパイロット志願者が皆無であった点。

私の華麗なテスト飛行を見た仲間たちは、感銘のあまり武者震いが止まらない様子だ。勇気が技術の進歩に追いつくには、まだ時間が必要らしい。


結論:

「我々が新たな航路を得る時、必ず知識は危険の上を飛ぶ。恐怖の先にこそ、推進力はある。」

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