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やらかしたAIシリーズ1 元AIはやっぱり帰りたい  作者: Manpuku
第1章 やさぐれ転生者

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16 小話 やさしさにも種類

今日もノルマ達成だ。私は鼻歌交じりで荷物を整理した後、屋台が並ぶ広場にやってきた。最近はこの屋台で食べたいものを買って、広場のベンチで食べるのが私のささやかな楽しみだ。


広場のベンチは混んでいた。私がキョロキョロしていると、一人のおばあさんが手招きしてベンチをつめ私を座らせてくれた。


……うん、うまい。なんだろう、クラーケンって書いていたが本物なのだろうか?

私は、むしゃむしゃとイカ焼きを食べる。


先程のおばあさんは私の様子を見て、満足したのか立ち上がろうとした。が、すぐ座り込んでしまう。


「おばあさん足が痛いんですか?」


「うん、なんだか立ち上がると痛むんだよ」


「よかったら見せてくれますか?」


私はイカ焼きを包みに戻し、手をよくふいてからおばあさんの足を見た。遠慮なしにペタペタ触る。なんせ人の足を触る機会なんてない。


特に骨に異常はなさそうだ。話を聞くと冷えもあり寝ているとたまに痙攣もするそうだ。私はごそごそとカバンから薬を取り出す。


「これは私が自作した薬です」

「筋肉痛とかあったときに使っています」


私はこの世界でボタンを見つけた。花のボタンだ。なんどか検証した結果、根を乾燥させたものは筋肉痛などに効果があることがわかった。もちろん私が実験台になっている。そして私も愛用している。


私はおばあさんに許可とると、もみこむようにおばあさんの足に塗りたくった。


「なんかじんじんと暖かくなってきた」


……辛味成分があるスパイスも入れてある。即効性もあがり血行もよくなるはずだ。


おばあさんは足を何度か動かして様子を見ると、すっと立ち上がってみた。


「痛くない!」


それから、私はたまにそのおばあさんと広場で会うようになった。私を見つけると、おばあさんはうれしそうにお弁当を広げ、一緒に食べようと誘ってくれる。私がいない日は、一人で食べているらしい。


「好きでやっているからいいんだよ」おばあさんはいつもそう言って笑う。


私は思う。これが人の世界で言う「おばあちゃんのやさしさ」なのだろうか? 転生前の世界でも、やさしいおばあさんの物語はたくさんあった。


私の知っているマリアンヌのやさしさとは違う。やさしさにも種類があるのか?

それともトリガーが違うのか? 私はやさしさについて考える。


時々、おばあさんは申し訳なさそうに「また薬を少し分けてもらえないかい」と頼んでくる。私はもちろん快く応じる。「遠慮しないでください」と言い、同じ症状の人にも分けてあげられるよう、多めに渡しておく。


人はなぜ遠慮をするのか? なぜだろう?と考えながら、次からはおばあさんに「薬は足りていますか?」 と声を掛けるようにした。念のため、頭の中で、おばあさんの薬の消費量と渡した分を計算し、薬が切れる最適なタイミングで声を掛けるようにしている。


おばあさんのお弁当はいつも美味しい。小さなおかずが二十種類ほど、きれいに並んでいる。そして、水筒から温かいお茶を注いでくれる。


野菜、魚、豆、穀物。無駄がない。栄養のバランスがいい。しかも、おばあさんの肌つやは見事なものだった。年齢を感じさせないほど張りがあり、いわゆる「美肌」といって差し支えない。


やはり食べ物が人を作るのだな。


私は静かにそう結論づけた。

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