表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
名参謀ロクフォール&異世界転生がネコ様達により、いつのまにかキャンセルされていた件  作者: 高領 つかさ (TSUKASA・T)
異世界転生がネコ様達により、いつのまにかキャンセルされていたようです?
8/31

8 ねこ様達の各担当 1 しま王子はいやし担当



 ねこ様達はまったりと平和に日々を過ごしているのだけれど。

 一応、ニンゲンに対して、それぞれねこ様達には担当があるのである。

 その担当というのは。

「ぼくはいやしたんとうなんだよ!」

 そう、まずはしま王子。

 いやし担当である。

 ニンゲンに対して、傷があろうとフライング・ボディアタックをかまし、撫でてもらいたいときにはころりんと横になり。

 ニンゲンの都合と時間をまったく考慮せず。

 パソコンがあれば、キーボードに乗り。

 タブレットを見ていれば画面の前に座り込み。

 扉の外(もちろん、硝子で安全に囲われている)に出たければ、ニンゲンを誘導していつでもあけてもらい。

 ねむくなれば、ニンゲンの上に乗り。

 ニンゲンがノートパソコンの前で持ち帰り仕事をしていれば、確実にキーボードを襲って仕事を遅らせ。

 ニンゲンが座っていれば、ひざに乗ってニンゲンが動くことができないようにする。

 それが、いやし担当、しま王子の仕事である。

「ぼくって、いそがしいんだよ!」

 しま王子はいやし担当として、常にニンゲンの動向に目を光らせ、ニンゲンがよこになれば腰の上に乗り、洗い物をしていれば背中からおやつをさいそくする。

 そうして、常にニンゲンをみはっていそがしくしているのだ。

 ときどき、何かと走り回っていたり。

 いっぱい、いっぱいねていたり。

 一生懸命、ふすまをひっかいていたり。

 トイレで砂をかきかきしていたりもするが。

 基本的に、しま王子はいやし担当としてがんばっているのだ。


 そのしま王子の最近の特技は、ころりんおなかだしこうげき、である。


 まず、順番として床にころりんところがる。

 ニンゲンが歩いている先に転がるのがベストである。

 次に、にょーんと横にのびる。

 ここでまず、ニンゲンがひっかかり、屈み込んで毛を撫でてくる。

 そうくればしめたものだ。

 ころりーん、ところがって、額とかあごのしたとか、首のうしろとか。

 かきかきしてほしいところを全部かかせると、ここで必殺技。

 ころりん、くりん攻撃である。

 いままで、左の方をかかせてあげていたとしたら、次は右側にくるりん、ところがるのだ。

 ニンゲンは、これで右側もかきかきしなくてはいられなくなる。

 何か時間がせまっていようと、ニンゲンの都合はすべてねこ様の彼方である。

 ねこ様の魅惑の毛皮がニンゲンの前に立ちふさがる。

 そう、ニンゲンは勝てないのだ。

 下僕として、いくらでもねこ様の思い通りに、毛を撫でてかきかきしてしまう。

 もふもふには勝てないのである。

 そして、―――。

 最終兵器、はらもふ。

「ぼく、ニンゲンにおなか撫でさせてもへいきだよー?」

 ころりん、とさらにのびーっとなって。

 魅惑のおなかをさらすのである。

 これが、ねこ様の場合は基本NGだ。

 大抵のねこ様達は、ころりんと転がられたあと、魅惑のもふもふおなかを無防備にさらされることがある。

 あるが、しかし。

 それをチャンスとは思ってはいけない。

 よくしつけられた下僕であれば知っていることだが。

 「ねこ様のころりんとさらしたお腹を撫でてはいけない」のである。

 大事なことなので、ここは脳に叩き込んでおきたい。

 もし、これを忘れて魅惑のおなかに手を伸ばしたときには。

 シャッ!と、ねこ様の鋭い爪が襲ってくるであろう。

 それが基本であり、ねこ様魅惑のもふもふおなかはさわってはいけないのだ。

 だがしかし。

「いいよーん、どうぞー」

 ぼく、いやしたんとうだもんね!と。

 しま王子がくるりん、のびーっところがり。

 無防備なおなかをころりんとさらす。

 白くてもふもふなおなかが、…―――。

 ニンゲンが、あごしたからかきかきして差し上げていて、つい、つい。

 白い毛皮にもふもふなおなかを、―――つい、…――――!

「いいの?おなかさわっちゃうよ?」

 のびーっとしたまま、寝転がって撫でられているままのしま王子に、ニンゲンが思わず問い掛ける。

 それにも、毛皮を撫でさせて、のんびりしているしま王子である。

 ――ぼく、ニンゲンいやしたんとうだしー!

 それに、ニンゲンのかきかき、きもちいいよね!と。

 おそらく、段々と暑くなる季節。

 ころりん、ところがって。

「うわ、いっぱい毛がとれる!」

 ブラシ、ブラシ!とブラシを手に取り毛を梳き始めるニンゲンだが。

 つまりは、換毛期。

 ねこ様の毛がたくさん、たくさん、山ほどぬけかわるその季節。

 ――あついしー、ニンゲンがかきかきするときもちいいかもー!

 ブラシで毛が抜けると、毛が梳かされて気持ちいいのだろう。

 あついから。

 そんなこんなで、しま王子は新しい必殺技をニンゲンにひろうしていたりするのだ。

 ニンゲンの前で、ころりん。

 からの、くるりん。

 さらに、ねこ様のひらき、という名のおなかもふもふざんまいアタック!

「ニンゲン、ぼくがいやしてあげるんだもんねー!」

 ころりん、と気持ちよく転がって今日もまた撫でられている。

 そんなニンゲンいやし担当。

 しま王子の一日である。―――――





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ