表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
河童  作者: 黒井 羊
2/2

河童{2}

 チキン南蛮の専門店は駐車場の台数が少ない。由利はすぐ近くの有料駐車場に停めた。こうした方が行列を気にせずにゆっくり食事ができる。

 宗久は初めて食べる南蛮酢だけのチキン南蛮に驚いている様子だ。あまり大きくない店内はゆっくりとおしゃべりをするのには向いていない。由利と宗久は食べ終えると勘定を済ませすぐに店を出て近くのファミリーレストランに移動した。

 食事は既に済ませているので、二人はドリンクバーとケーキのセットを注文した。

「チキン南蛮の進化ってラーメンの進化とよく似てるな。」

 宗久は突然ラーメンとチキン南蛮を比較した。

「何その比較、即席ラーメン思い出したりしてないよね。チキンとラーメンだから。」

 由利は宗久に突っ込んでみた。

「甘酢のチキン南蛮とタルタルのチキン南蛮はもう別物だな。醤油ラーメンと豚骨ラーメンぐらい違う。」

 宗久の言葉を聞いた由利は〈こいつ社交辞令じゃなくて、頭ん中にあることそのまま喋ってんだ。〉と嬉しい反面、それ以上にムカついた。

「〈チキン南蛮も美味しいけど久々に由利と食べたらもう最高。〉とか言わない訳。」

 由利は宗久を睨んで笑いながら言う。宗久は由利には必要以上に気を使わない。同時にそれは由利にとっても気が楽になる。

「うまかったよ。」

「そんだけ。」

 宗久が短く言うので由利も同様に答える。


 由利は宗久と付き合い始めてあまりにも冷静なのに驚いた。知人で人生の先輩でもある藤川弥生に相談すると、

「ストレス解消になるように言いたいことを全部言ってみたら。感情をその都度ぶっつけてみたらいいじゃない。それで会うなら最高よ。」

 由利は弥生が興梠修一郎のことを言っているのだと即座に理解した。修一郎と弥生のドタバタが由利は羨ましい。そんな光景を思い出しながら窓の外に視線を向けていると、

「思い出に耽っているの。」

と宗久の声がした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ