表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/25

《番神様》はいなかった

申し訳ございませんが、《番神様》の設定については『山男』を流し読みしてみてください。。。



 旅といっても、ヒコイチの場合は楽しむためのものではない。

 ただ、くいつなげそうなところをめざし、あしをむけているだけだ。

 

 このごろは、さかえた所だとすぐに、そこを仕切っている『親分』だとかの下っ端に目をつけられ、挨拶にこい、だとか、筋を通せ、といって『組』につれていかれそうになったり、金をわたせ、とすごまれる。どうやらひとめでヒコイチも《そういう》部類の者だと見抜かれるようで、目立たぬようにしていても、新参者だといやでも目をつけられやすい。



 なので、こんどはしばらく山奥の方へいってみようとあしをむけたのだ。



 まだ行ったことのないその山のいりくちには、《番神様ばんがみさま》がいなかった。

《番神様》というのは《山神様やまがみさま》と人の間で《番》をする不思議な力をもったひとたちのことで、もちまわりで《山神様》のきげんをとり、なだめ、年に一度のまつりを取り仕切る。

 ヒコイチの育った山には、その《番神様》の家系がとだえ、代わりにその家の名を配した像を山の入口であるところにかならずまつってあったのだが、それがない山があるのだということも、ながい旅でもう知っている。


 そして、そういう山は、たいてい荒れている。




 べつに、『山賊』が多いとか道が崩れているというわけではなく、山そのものが荒れているのだが、それはヒコイチが山育ちだから肌でそう感じるだけで、旅の途中その山をこえるだけでは、そういうことを感じる者はいないかもしれない。


 

 この山にはいるときにも《番神様》はおらず、奥にすすむにしたがって、《荒れている》というよりも、なんだか落ち着かないという感じをヒコイチは受け続けていた。


 だから、あんな小さな音もすぐ耳についたのかもしれない。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ