表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
かえせといわれてかえれたはなし  作者: ぽすしち
 朝

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/25

喰いやすく



 足のしたにあるよどんだあおい水をみていて、すこしずつ思い出す。

「 山・・・で。 ・・・なんだか、糸が・・・蜘蛛の糸があるくたびにつぎからつぎにかかってきて・・・」



「そこでもう捕まっておったのよ。だが、その糸を『どけて』寺にかくまい、そのまま『かえして』やろうと思ったのだが、《水神みずがみ》が、それは許さん、とまた手をつけてきおった」

 男の声はわらっていて、そういやサゲンがおまえのことをほめていたぞ、とおもしろそうにつけたした。


「・・・『さげん』?」

 ゲンさんのことか。

 ということは、うしろのこの男は、きのう帰ってこなかったウゴウだろうか。



「あいつがヒトを気にいるなど、めずらしいことだ。まさかいっしょに飯まで食うとはな」


 言ってうなるようにウゴウが荒い鼻息をだしたとき、ぐい、とヒコイチの片腕がひっぱられた。つづいて腕と逆になる足がひかれ、動かなかった頭がとつぜん上にひきあげられた。



「ああそうか。ひきちぎった方が、喰いやすいか」


 うしろからウゴウのわらいごえがあがり、こんどは逆の腕が引かれ始めた。

 おまけにまきついた糸が手足の肉をしめつけはじめる。




   か え せ




  あしもとの水の中から、ひとの声のような音がそう命じた。






  

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ