19/25
また、
「 いやですよウ、 また ―― 、 」
オトイのあきれたようなこえがして、にゅう、と白い手が目の前にあらわれた。
また、ヒコイチは、うごけない。
女の白い手の指先がのばされ、目のまえでその細い指先がひらひらとふられる。
首のうしろどころか、からだはいま、ぜんぶが寒気におそわれ、震えている。
『 喰われなくてよかったな 』
ゲンのことばがよみがえり、目の前の指先がぐうとのびると、白い指は黒色にかわるとかたちもかえ、棘をはやした。
―― このまま、目玉を突かれる
思ったが、動くことはもちろん目をとじることもできない。
ちりちりちりちりちりちりちりちりちり
ちりちりちりちりちりちりちりちりちり
ちりちりちりちりちりちりちりちり
ちりちりちりちり
「 っつ!? 」
とつぜん頭の中で鈴が鳴り、がくん、と目がさめた。




