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マーカス、まさかの2戦目

 夕食の時間も迫った領地の伯爵邸のサロン。


 マーカスからお忍びの許可をもぎ取った私がご機嫌で食堂へ移動しようとしていた所、まさかのニューチャレンジャーが現れた。ダリアである。


 マーカスにしてみれば、まさかの2ラウンド目の開始だ。


 え? え? これどうなるの? と、マリーと2人で思わず両手を握り合ってダリアとマーカスを見つめてしまう。

 まさか私とマリーが事情を知っているとは思ってもいないであろうマーカスが、非常に気まずそうにこちらをチラチラ見ている。


 というか、この分だとダリア、既に何回かマーカスにアタック済みだな……?


「ダリア、こんな所でやめなさい。それに何度も言っているでしょう。私の気持ちは変わりません」


 やっぱりか!!


「でもマーカスさん、さっき奥様に言い負かされてましたよね」

「え?」

「いつも私を子供扱いされますが、その私より年下の奥様に正論かまされてましたよね? やはり、人間と人間の関係に年齢差というのはあまり深い意味を成さないのではないでしょうか?」

「それとこれとは話が別でしょう。私とダリアの年の差には非常に大きな問題があると思いますよ」


 まぁ……30歳差は大きいよね。実際マーカスが何歳なのかは知らないけど、旦那様のお父様の時代から家令を務めていたと言う話なので、やはり50前後にはなっていると思うし。


「そんな事を言ってしまうと、陛下と側妃様も問題だという事になってしまいますよ」


 あ。

 そういえばそうだ。陛下と側妃様には確か30歳近い年の差がある。


「まさかそんな! そんな事考えた事も無いですよ!!」


 マーカスは額に汗をかきながら、大慌てで否定する。

 そりゃそうだ、仮に陛下と側妃様の関係を問題だなんて言ったとしたら、そっちの方が大問題だ。

 不敬罪まっしぐらである。


 マーカスの返事を聞くと、ダリアは満面の笑みを浮かべて続けた。


「では、年の差なんて問題にもなりませんよね? 良かったです。さて、私とお付き合いするのに後何が問題ですか?」


 おおぉ……ダリアが凄いグイグイ行く。


 さてはダリアのお父さん、娘のこの資質を見越して伯爵家へ送り込んだな!?

 ダリアがこの調子でグイグイ行けば、旦那様など赤子の腕を捻るがごとく簡単に押し負けてしまいそうだ。

 非常に良い読みをしている。

 惜しむらくは、娘の性癖を把握していなかった所か。


「ダリアのお父上の子爵様にも申し訳が立ちません」

「父は説得済みです、ご安心下さい」


 カミングアウトは済ませたらしい。


「私の仕事は激務で、王都と領地の往復です。家族には不憫な思いを……」

「任せて下さい、解決します」


「だ、ダリアちゃんみたいに若くて美人な子にこんなおっさん似合わないでしょう!! 最近はお腹だって出て来たし……」

「それがいいんじゃないですか。マーカスさんの魅力は私が分かれば十分です」


 マーカスは真っ赤になって絶句する。

 普段余裕があるおじさんがグイグイ押されてんの可愛いな。


 ーーヤバい、私まで新たな扉を開いてしまいそうになった。


「こんなおっさんの……どこがそんなに良いんですか……」

「お時間を頂ければ、夜明けまででも好ましい所をあげられますよ?」

「…………」

「「…………」」


 マーカスだけでなく、つられて私とマリーまで真っ赤になってしまった。


「他、何かございますか?」


 そう言って凛と立つダリアは、一瞬たりともマーカスから目を離さない。

 一方のマーカスは、顔どころか耳や首まで真っ赤になって口をパクパクさせている。……これは勝負あったなー。


「……無い様ですね。では、本日よりお付き合い開始という事で。不束者ですがどうぞ宜しくお願い致します」


 そういうとダリアは満面の笑顔で、それはそれは美しいカーテシーを決めた。


 ダリア姐さんカッケェェェーー!!


 私とマリーは2人のお邪魔にならない様にとそそくさとサロンから脱出した。

 後は若い二人に任せて……って、1人若く無いわ。


「奥様! いいもの見ましたね!!」


 何だかマリーはツヤツヤしている。


「……そうね。いいもの見せて貰ったわ」


 こうして私達2人は食堂に向かい、


「なんでそんな格好されてるんですか!??」


 と、この邸の使用人達に問い詰められるのであった。

お読み頂きありがとうございます。


ブックマークや評価等頂き、作者、本当に感謝の気持ちでいっぱいです!

明日からも毎日投稿する予定なので、どうぞよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] ダリアさんど真ん中への豪速球かっこいい! 特等席で見ていた二人はそりゃあもう楽しかったでしょうね。
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