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ほしかったハイブランドのバックを手に入れてしまった

作者: さとう あか

 ある日のことだった。


 彼氏の部屋に行った時、「はい、これ前に忘れてた」と言って渡してきたものが私のものではないバックだった。


 そう、私が欲しいと思っていたDのロゴが印象的なバック。私が欲しいと思っていたあのDの新作バック。三十万と少しするあのお高いバック。


 すぐに自分のものではないとわかった。もう、この彼氏の家に出入りしている女。つまり、浮気相手の物だと思ったのだ。私のものか、その浮気相手のものかもわからないなんて。そんな怒りが湧き上がってきた。


 湧き上がってきたが、目の前の彼氏が私の物だと思ってこのDのバックを差し出してきている。だったら私がもらってもいいんじゃないか?だって、これは前から私が欲しがっていたものだし、お値段で諦めてしまったから彼氏が気を利かせてプレゼントしてくれたんじゃない?なんて都合のいいことを0.1秒にも見たない時間で考えた。つまり、欲に負けたのだ。


 「ごめん!ありがとう!!」


 そう言って欲しかったあのブランドのバックを受け取った。


 なんで、あんなことを言ってしまったのか。


 私の物ではないとわかっていたのに。


 でも、これ私が前から欲しがっていた物なの。


 雑誌で新作が出たと特集された時から欲しいって思って、買った人たちがSNSにアップしているのを見て欲しいって思って。


 きっと、彼氏は普段の私の言動や反応で察してくれたんだと思う。多分、おそらく。


 私が辛いものが苦手だって言っていたのに辛いラーメンの店に連れて行ったり、グロいのが嫌いだって言っていたのにそれ系の映画見に行こうと言っていたりして私の気持ちに疎い人だけど。


 きっと、今回は私の気持ちを察してくれたんだ。きっと。


 そんな風に溢れそうになる罪悪感に蓋をした。


 だってこれ、本当に欲しかったんだもん。ちょっと持って買い物行くくらいでバチは当たらないよね? そう思って私はそのバックを持って買い物へ出かけた。


 するとどうだろう。自分でも驚くくらいにテンションが上がった。


 欲しかったハイブランドのバックをもち歩くくらいでこんなにテンションが上がるものなの!?という新たな発見をしてるんるんで買い物をしてチェーンのカフェで一休みしていた。


 すると、会社の友人にであった。


「それ欲しい、欲しいって言っていたやつじゃん!ついに買ったんだ!」


 なんて言われたが私は買っていない。いや、これは。


「ううん、彼氏がプレゼントしてくれたの!」


 そうだ、彼氏が私に渡してくれたんだから。これは彼氏からのプレゼントで間違いない。



 しかし、私はそのプレゼントをもらうことにしたものの、彼氏が部屋で浮気相手と推定される人物と会っていたことはほぼ間違いないだろう。それを示す物的証拠のような物がでた時に彼氏への怒りよりも目先の欲が先に出てしまうということはきっと私にとって彼のことは大分優先順位が低いことになっているんだろう。


 元々、倦怠期気味でなんとなくで惰性で付き合っているような状態なのだ。このバックのプレゼント事件は私達の今後の関係を考えるいい機会なのかもしれない。


 どこかファミレスでも喫茶店でもそういうところで話をしたいと思ったが「俺の部屋で話せばよくない?」そんな返信で結局彼の部屋へ。


 彼氏の部屋を訪れ、話を切り出そうとする。


「あ、お前さピアスそんなところに転がしておくなよ。なくしても知らないからな」


 そういう彼氏が指さした先にあるのは、シャ○ルのピアス。わあ、ちゃんとセットで揃ってる。え、これって新作で八万はするやつじゃなかったっけ?


「で、話ってなに?」


「いや、この間買った文庫本忘れてたような気がして」


 そんな心にもないことを話しながら、「転がしておくなよ」と言われたピアスを丁寧にハンカチに包んでバックにしまった。もう少し、この彼氏と付き合っていてもいいのかもしれない。

閲覧ありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
[一言] まぁそんな高額なブランドのバッグやピアスを忘れて帰る人なんて居ないな。居ないよな?笑
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