──*──*──*── カスティガコ帝国
──*──*──*── アスルーイの街
──*──*──*── 宿屋街
──*──*──*── 宿屋
──*──*──*── 宿泊室
椅子に腰を下ろして座ったオレは、テーブルの上に置かれているスイーツ皿の上に並べられているスイーツの1つへ手を伸ばして利き手の指で摘まむ。
口の中へ一口サイズのドーナツを入れて食べていると、ドアの向こう側── 廊下側 ──からバタバタと慌ただしい足音が響いて来た。
此処は宿屋なんだから、もっと静かに階段を駆け上がって、廊下を歩けないのか?
傍迷惑なセラッピド捜査官だなぁ。
なんて心の中で思っても口には出さない。
何でかって?
美味しいスイーツを黙々と食べてるからだよ!
セロフィート
「 ──マオ、紅茶もあります。
喉に詰まらせますよ?
ふふふ… 」
セロは新聞の記事から目を離す事なく心配そうに──いや、呆れているのかも知れないし、笑いを堪えて面白がっているのかも知れないな。
広げられてる新聞の所為でセロの顔が見えないから何とも言えないけど、声色は何時も通り穏やかで優しい。
マオ
「 心配してくれてるのは嬉しいけどさ、そう思うならオレを見て言えよな… 」
セロフィート
「 マオの食べっぷりを見ては記事を読むどころではなくなります 」
マオ
「 はぁぁぁぁぁん!?
どう言う意味だよ!
それぇっ!! 」
──ガチャ、バタァアン!!
?
「 ホームス、居るか! 」
マオ
「 あっ…セラッピド捜査官、御早う! 」
ティーバン・セラッピド
「 ん?
あぁ…ワトスン君も居たんだったね。
御早う 」
うわぁ……オレに対してはついで感が半端ないや。
セラッピド捜査官の眼中に入ってないのは仕方無い事かも知れない。
オレはあくまでもセロッタ・ホームス・シンミンの弟で助手って事になっているからだ。
セラッピド捜査官が用のあるのはあくまでも “ オカルト謎探偵 ” だなんて名高く揶揄されながらも注目されているセロッタ・ホームス・シンミンだ。
助手のオレなんか御呼びじゃない。
何やら切羽詰まっているのか慌てている様子だし、助手のオレに対して気を回す余裕は無いんだろうな。
オレは紅茶が淹れられているティーカップの取っ手を利き手の指で持ち上げるとティーカップを口元へ運んで、紅茶をグイッと口の中へ流し込んで飲み込んだ。
座っていた椅子から腰を浮かせて立ち上がった後で、音を立てずに手早くテーブルの上をササッと片付けた後に清潔な布巾でテーブルの上を拭いた。
客人用の新しいソーサーとティーカップを用意して、テーブルの上に音を鳴らさないように静かに置いたら、マジカ法ほうルのティーポットの取とっ手てを利きき手てで掴つかんで、中なかに入はいっている紅こう茶ちゃをティーカップの中なかへ注そそいだ。
セラッピド捜そう査さ官かんは然さも当とう然ぜんのように空あいた椅イ子スの上うえに腰こしを下おろすと、喉のどが渇かわいていたのか直すぐにティーカップへ手てを伸のばした。
こういう図ずう々ずうしい所ところなんかを見みると「 流石さすがは刑けい事じだな! 」って思おもうよ。
ティーカップの取とっ手てを利きき手てで持もったセラッピド捜そう査さ官かんは、淹いれ立たての紅こう茶ちゃをグイッと一いっ気きに飲のみ干ほすとソーサーの上うえにティーカップを置おいた。
オレは空カラになったティーカップの中なかへマ魔まジカ法ほうルのティーポットの中なかに入はいっている減へらない紅こう茶ちゃを注そそいでやる。
セロフィート
「 御お早はよう御ご座ざいます、ティーバンさん。
今け朝さはま・た・随ずい分ぶんと慌あわてているようですね。
何なにかありました? 」
ティーバン・セラッピド
「 知しらばっくれたような言いい方かたは止よしてくれないか。
今け朝さの新しんアスルーイ聞ぶん・タイムズを読よんでいるなら僕ぼくが来きた察さっしは付しいているんだろう? 」
32歳さいで自じ称しょうが “ 僕ぼく ” って──いや、何なにも言いうまい。
ティーバン・セラッピド
「 記き事じにも掲けい載さいされているように、昨さく夜やも卑ひ劣れつで猥わい褻せつな強ごう姦かん事じ件けんが起おきたんだ! 」
セロフィート
「 そのようですね。
それがどうしました? 」