セロは捜査官のように靴底を磨り減らして歩き回りながら捜査をする必要もない。
捜査で得られた情報の裏付けだって、資料の捏造だってセロには御手の物だ。
事件の真犯人が判明しているのに、証拠を入手する事が出来なくて真犯人を逮捕する事が出来ないのなら、証拠を作ってしまえば良い。
セロは見付け出した犯人達へ「 “ 四知の法 ” って知ってます? “ 天知る ” から逃げ切れませんでしたね。御愁傷様です 」なんて言葉を笑顔で贈っている。
刑事達に対しても「 ワタシは “ 四知の法 ” を駆使して事件を解決に導いてます 」なんて最もらしい事を言って誤魔化している。
セロが【 四知の法捜査 】をしてるなんて嘘っぱちだ。
だけども、【 四知の法捜査 】で誤魔化すのは好都合な事だったりする。
“ 四知の法 ” の3つは実際に刑事が事件を解決させる為に実行している事だからだ。
“ 地知る ” は現場検証に該当するし、 “ 他知る ” は事情聴取が該当するし、 “ 我知る ” は犯人自身でポロッちゃう事に該当する。
世間一般的に理解されていないのが、 “ 天知る ” だ。
この “ 天知る ” をセロは「 超能力を使い捜査してます 」とも言っている。
そんな事もあってか、セロは影で「 オカルト謎探偵 」だなんて言われていたりもする。
事情を知らない人からしたら、「 オカルト謎探偵 」なんて揶揄されても仕方無いと思う。
だってさ、超能力だよ!?
「 もっと他に無かったのかよ?! 」って思う。
大体、「 探偵なんだから捜査じゃなくて調査だろ! 」って思うかも知れないけど、偉業を成し遂げたセロは警察署からの半強制的なプッシュで未解決事件を担当している刑事── 未解決事件捜査官 ──のティーバン・セラッピド( 31 )と組まされる事になって、一時的にだけど未解決事件捜査官として未解決事件に関わる事になった。
時効寸前の事件を解決させたセロにタダ働きさせて利用するだけ利用して、難事件や未解決事件を解決させて楽して警察の手柄にしようとしてるんだろうけど、セロはタダ働きをする気なんて欠片もなかった。
セロは1件の事件を解決させる事が出来たら、警察に報酬を支払わせる交渉をして、了承させた。
発生してから1年物の事件の報酬額は約10万Irで、発生してから50年物の事件の報酬額は約500万Irだ。
埃を被っている古い事件であればある程、警察から支払われる報酬額は高いわけだ。
そんなわけで、約1年間でセロはかなりの金額を稼いでいる。
非現実的な事を色々とやらかしまくるデタラメな探偵が居て良いんだろうか……。
今更なんだけどな〜〜。
そんなわけで、今日もセロ── セロッタ・ホームス・シンミン ──と組まされたティーバン・セラッピド( 32 )がセロに解決して欲しい事件の資料を持参して、セロとオレが滞在している宿屋へやって来た。
鴨が具材と出し汁の入った大鍋を担いで来たわけだ。
宿泊室の窓から、馬車を降りたセラッピド捜査官の姿が見えたからセロに教えた。
セロは椅子に座って、紅茶を飲みながら朝食後に買った新聞を読んでいる。
オレも椅子に腰を下ろして座る事にした。