この視点の主でもある被害者女性は多分この後、誰かに殺害されるわけだから “ 被害者女性 ” と呼んでるわけなんだけども……、壁に映し出されている映像を見る限りでは “ 被害者女性 ” と言うよりも “ 加害者女性 ” の方が何故だか妙にしっくりして止まない。
だってさ──、謎の白い粉── ヤバい粉なのかは調べてみないと分からないんだけども ──を入れたコーヒーを友人女性へ飲ませた後にだよ、友人女性の室内で無断物色を始め出すし、あまつさえ下着を手に取ってクンカクンカと匂いを嗅ぐ変態っぷりを発揮してくれているわけだ。
怪しさ全開トリプルMAXレボリューション祭りなんじゃないかな?
室内の物色をする様子だけじゃなくて、下着を漁る手付きも初めて感がしない。
手慣れている感じに見て取れる様子からすると、実は常習犯だったりするんじゃないだろうか。
コーヒーを飲み干した後、そのままベッドの中へ戻った友人女性の安否も気になるし…。
これって……本当は【 加害者なのに被害者になっちゃったパターン事件 】の可能性も有るのかも?!
オレの心の中は今、妙にザワザワしている!!
そんな事は横に置いとくとしてだ、被害者女性は下着を手に持ってはクンカクンカと匂いを嗅ぐ仕草を何度も繰り返していた。
いや、犬かよ!?
一寸──どころじゃない気もするけど、幾らなんでも下着の匂いを嗅ぎ過ぎじゃないかな?!
女の人って、同性の洗濯済みの下着の匂いを躊躇もせずに嗅いだりするもんなの?!
あっ──被害者女性が友人女性の下着を何枚か掴むと鞄の中から出したっぽい袋の中へ入れた!?
オレは女が女の下着を盗む瞬間を目撃してしまった……。
ユリユリ合っている相手の下着を当然のように拝借するって事は、女性同士のカップルには良くある事──なのか??
何はともあれ、オレは被害者女性の視点を通して、決して見てはいけない──、多分明かされる事は無いであろう秘密の光景を見てしまった事になるわけで……。
何と言ったらいいんだか……。
友人女性の下着を数枚拝借した被害者女性は、下着を入れた袋を鞄の中に入れると立ち上がった。
どうやら室内の物色は止めたみたいだ。
被害者女性はまるで何事も無かったかの様に友人女性の家を出た。
被害者女性は手首に付けている時計を見て時間を確認してから歩き出した。
被害者女性が何処へ向かって歩いているのかは分からない。
暫くは被害者女性が1人で歩く映像が続いた。
オレは一旦映像を止めて、一休みをする事にした。
中々ショッキングな映像が続いた所為なのか、どっと疲れに襲われた感じがした。
これって未だ続くんだよなぁ?
映像で見た時計の針は夕暮れ時の17時を過ぎていた。
オレの繊細な硝子のハートが持たないよ…。
誰でも良いからか書き起こし作業を変わってくれぇ〜〜〜〜……。
誰にも交代してもらえないから、気を取り直して被害者女性の視点による映像を見る事にした。
人気の無い場所へ入った被害者女性は、壁に凭れて待っている人物に向かって左手を上げて振ったみたいだ。
被害者女性の利き手は左手なのかな??
腕時計も右手首に付けていたし…。