オレの名前は【 マオ・ユーグナル 】だけど、現在は「 マオ・ワトスン・シンミン 」と名乗っている。
巷をザワザワとザワつかせている「 セロッタ・ホームス・シンミン 」という謎探偵を名乗っている【 セロフィート・シンミン 】の助手をしている16歳だ。
オレとセロが滞在中の≪ カスティガコ帝国 ≫では、15歳を迎えた子供は翌月の1日に近所の教会へ足を運んで、毎月執り行われている〈 成人の儀式 〉に参会して〈 成人の祝福 〉を受ける事が義務付けられている。
神職者から〈 成人の祝福 〉受けると、晴れて成人と認められて大人の仲間入りが叶うわけだ。
オレとセロは各国を転々と自由気儘に旅している旅行者だから、≪ カスティガコ帝国 ≫の教会で〈 成人の儀式 〉には参会していない。
だけど、オレは背が低くて見た目も幼くて童顔の所為もあってか誰からも “ 成人している ” と思われない。
そんな事もあって、悲しいかな≪ カスティガコ帝国 ≫へ入国してから直ぐに教会で〈 成人の儀式 〉に参会させてもらって〈 成人の祝福 〉を受けさせてもらった。
それから約1年が経っているから、≪ カスティガコ帝国 ≫ではオレの年齢は16歳なんだ。
普通って、【 ◯探偵 】と言えば、 “ 名 ” とか “ 迷 ” が良く使われるみたいだけど、セロの場合は “ 名 ” でもなければ、 “ 迷 ” でもなくて、 “ 謎 ” が使われている。
何故かと言うと、セロの捜査方法が “ 謎過ぎる ” からだ。
謎過ぎるのに百発百中で、凄腕の敏腕刑事達が苦渋の末に大腸を切る思いで御手上げした難事件や未解決事件を解決させてしまうもんだから、 “ 謎探偵 ” だなんて言われるようになってしまったわけで…。
抑何で自称吟遊大詩人のセロが、謎探偵なんかをしているのかと言うと、宿泊していた宿屋で買った新聞に掲載されていた記事にオレが興味を持っちゃったのが切っ掛けになったんだと思う。
時効を向かえる未解決事件の真犯人を時効前にセロが見付け出して、真犯人である確固たる証拠を持参して警察署へ連行した事で、時効目前だった未解決事件はあっさりと解決した。
真犯人本人が自身で処分してしまったであろう証拠品を幾つも出されて、真犯人だと否定の出来ない決定的な証拠を突き付けられて何の言い逃れも出来ないまま真犯人は刑務所へ連行されて行った。
まるでドナドナって言う歌詞に書かれている売られてしまう食用の子牛みたいな切ない光景だったけど、見送る後ろ姿の相手は悪質なゲスい殺人犯だったからなぁ……。
セロは未解決事件を担当していた刑事に「 セロッタ・ホームス・シンミン 」だと名乗った。
その序でにオレは「 マオ・ワトスン・シンミン 」だと紹介されたわけだ。
セロは〈 テフの源みなもと 〉で過か去こに無なくなってしまった証しょう拠こ品ひんを当とう時じの状じょう態たいのまま構こう成せいしてしまえるから、犯はん人にんは過か去こに犯おかした卑ひ劣れつな犯はん行こうの罪つみからは逃にげられない。
セロのターゲットになったら、刑けい務む所しょ行いきは避さけられない。
過か去こに存そん在ざいしていた物もの,現げん在ざい存そん在ざいしている物ものをセロが〈 テ原げん質しつフの源みなもと 〉で構こう成せいする事ことが出で来きる事ことは誰だれにも言いえないトップシークレットだ。
だから、証しょう拠こ品ひんも証しょう拠こ資し料りょうも直すぐに用よう意いする事ことが可か能のうなんだ。