わがまま令嬢はわが道を進む①
我が儘で自由奔放なレイチェル・ヴァレンスは祖父が国王の公爵令嬢。
なにもかもが思い通りに行く人生を歩んできた。
ある日、婚約者にと彼女が望んだスレイには、既に別の婚約者がいた。
だけど、レイチェルはスレイと幼い頃に約束していたのだ。ただ、それを破られた腹いせに我が儘を通して、婚約破棄をさせスレイとの婚約を約束させる。
我が儘令嬢はわが道を進めるのか?
全7話の短編です。
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我が儘に生きていけるということは素晴らしい!!
公爵家の令嬢として生まれたレイチェルは人生を謳歌していた。
レイチェルは今までなに不自由ない生活を送ってきた。彼女の言葉は絶対で、屋敷内の人間は誰一人として逆らうことが出来なかった。
レイチェルが赤だと言えばそれは赤色に染められ、彼女が白だと言えばそれは白色に染め直される。
そんな彼女が12歳の誕生日のことだった。
「私、彼が良い!!」
そう部屋に響く声に、レイチェルの父であるミオンドは戸惑っていた。そんなオロオロとする姿は情けなく、ヴァレンス家の主人とは到底思えない。
「レイチェル…それは難しいんだ。…分かってくれ。」
レイチェルの機嫌を伺いながらも、そう言葉にしたミオンドに、レイチェルは頬を膨らませる。普段であればそれで父は折れるのだが、今日は違った。
彼は額に浮かぶ冷や汗をハンカチで拭うと、言いにくそうに口を開いた。
「か、彼にはもう婚約者がいるんだよ。それを変えることは出来ないんだ。分かってくれ。」
「嫌よ!そんな婚約、解消させてちょうだい!!それくらい、簡単でしょ!?」
「む、無茶を言わないでくれ」
疲弊しきったミオンドは、今にも倒れそうなくらい顔色が悪い。だがそこへ追い討ちをかけるようにレイチェルは力一杯に叫ぶ。
「嫌だ嫌だ嫌だー!!」
「レイチェル…我慢して…」
「なんで私が我慢しなければならないの?そんなの嫌よ。」
一度言い出したらレイチェルは何があっても折れないのだ。それは父であるミオンドにも痛いほど分かっていた。だから、彼は大きなため息をついた。
「………ふぅ…」
父のため息が聞こえてもレイチェルはお構いなしに、駄々をこね続けている。使用人たちもどうしたものかと落ち着きなく、2人の様子を見守っている。
ハラハラとした空気の中で父の2度目のため息に、レイチェルが父へと視線を戻した。レイチェルのその顔は喜ぶのを堪えているようにも見えた。
「………分かった。何とかしよう。」
「ほんと!?」
「ああ…」
「ありがとう!お父様!!大好きよ!!!」
レイチェルはパァッと花開くような満面の笑みで跳び跳ね喜んで、肩を落とした父親の頬に口づけをする。父はそんな彼女の頭を優しく撫でてから、部屋を出ていった。
その姿は疲弊しきっていて、哀れにさえ思えるような惨めな姿にも見える。そんな主人を見送って、控えていた使用人たちは小さなため息をついていた。
それから間もなく、レイチェルのもとに一通の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは
”婚約に値するかを見極めたい。一月、仮の婚約期間を設けることにする。条件は、その間ヴィッセル家の屋敷に住むこと。必要な教養を学ぶこと。これを絶対とする。気に入らなければこの話しは白紙とする。”
という内容だった。
レイチェルはもちろん父親に抗議したが、こればかりは彼女にもどうすることができなかった。
それから数日後、レイチェルはヴィッセル公爵家へと花嫁修行に向かうことになった。だけど…