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三度目の正直 ①

ある日、突然叩きつけられた離婚。

でもシルフィーはもう動じない。


これが三度目離婚になるからだ。


自分はそんなに魅力がないのだろうか...


なんて悩んでる時間は彼女にはない。

皇女としての役目は色々と大変なのだ。


そんな仕事に追われるシルフィーは

真実の愛とやらを見つけられるのだろうか?


全3話の短編です。

気に入っていただけたら

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評価をお願いします。

「シルフィー、君との離婚を要求する。」


 そう言うのは私の旦那様のジーク・バーリントンで、この国の王だ。

 隣には可愛らしい女性を伴っている。彼女はどう見ても私よりも年下。どうやら若い子が好みだったようだ。と、冷静に分析する自分がいた。

 その彼女は彼の腕を抱き締めて、私の方を怯えた様子で見ている。


「ジーク様、その方は?」

「彼女は君がダメだと否定した側室にと考えていた子だよ。」

「で、私と離婚してその方と再婚されるのですか?」

「ああ、そうだ。僕のやること全てに口出しをしてくる君みたいなわからず屋とは、さっさと別れたいと思っていたんだ。全く、君は女王として僕を立てることを一切せず、僕を陥れることしかしない。」

「それは…」

「だけど彼女は素晴らしいんだ。僕のやることに口出しはしないし、おしとやかで女性らしい。隣に立つなら彼女みたいな人が良いんだ。なのに、君ときたら側室を置くことを許してくれない。ありえないよ。」


 鼻で笑い冷ややかな視線を向けるジーク様。


「だから、離婚ですか?」

「ああ、そうだ。」

「…分かりました。では、手続きを行いましょう。」

「ああ、すぐにでも行ってくれ。」


 私は準備をするべく机の引き出しを開ける。その間ものんびりとイチャイチャしているジーク様と浮気相手。そんな二人を見て私はため息をついた。


「あの、ジーク様。」

「何だ?準備できたのか?」

「いえ、まだ時間がかかりますので、お部屋に戻られてはいかがですか?これから忙しくなりますでしょ?」

「うん?ああ、そうだな。確かに、これから君の業務を彼女に教えなきゃいけないから。やることは山積みだよ。」

「え?」

「どうしたんだい?そんなアホみたいな顔して。」


 アホはどちらだ。と、言いたかったが飲み込んで、至って冷静に対応する。


「えっとぉ…大変申し上げにくいのですが、出ていくのはジーク様の方ですよ?」

「え?」


 今度はジーク様がアホな顔をする番だった。


「な、な、なにを言ってるんだい?シルフィー」

「何って、貴方、王配なのだから当然ですわよね。」

「えっ…だって、僕は戴冠式をしたよね?」

「いえ、貴方は隣にいただけですわ。王位継承をしたのはわたくしですわよ。もしかして、そんなこともご存知なかったのですか?」

「え?そうなの?」


 アホみたいな声で問いかけるジーク様は、本当に情けない顔をしていた。

 隣にいる少女も事情を理解できないようで戸惑っている。


「今日中には書類を揃えられますので、数日中には出ていってくださいませ。」

「ちょ、ちょっと待って…」


 私が手を鳴らせば、扉の前に控えていた兵士たちがジーク様と浮気相手を強制的に連れ出してくれる。


「…ノアール。」


 静まり返った部屋で私が名前を呼ぶと、何処からともなく現れたのは一人の少年。


「はい、陛下。」

「悪いのだけれど、しばらく忙しくなるわ。」

「御意。」


 あんなのでも象徴としては役に立っていたのだ。私が公務に追われている時は、ジーク様に簡単な会議や行事に参加させていたから。

 だが、これからはそれが出来なくなる。

 まぁ、それ以外は何も出来ない人だったけれど…と、思い返す。言われないと動かず、言ってものんびりしてなかなか行動に移さない。何度言っても同じところでミスをする。ある意味才能だと思うことにしていた。

 なのにまさかこんな形で裏切られるとは、私は心底疲れたとため息が出る。


「はぁ…ねぇ、ノア。ジーク様…もう離婚するのだから敬称も必要ないか…ジークで何回目の離婚?」

「そうだな…婚約解消も含めれば3回目になる。」

「そんなに私って魅力ないかしら…」

「そんなことないよ。ただ、シルフィーに見る目がないだけだ。」

「それって、フォローしてる?」


 ああ。と、頷くノアは昔から私のそばにいる影だ。彼の仕事は私の身を守ることから、王の業務をフォローするまでと多岐にわたる。

 幼い頃から一緒にいるために、私に容赦ない。こうして人がいない時は、昔のように砕けた話しも出来るので、私にとっても良き相談相手だった。


「もう一層のこと、ノアが婿に来てくれない?」

「え?」


 驚いた顔をするノアに、私は手を振った。


「冗談よ。そんな役、任せられないわ。貴方は自由に恋をして結婚して素敵な家庭を作ってちょうだい。」

「そんな時間ないだろ。」

「あら、私、応援するし出来ることなら協力するわよ。なになに、誰か気になる子でもいるの?」

「い、いないよっ!」

「ふーん。」


 何か引っ掛かった私は、ノアの方をニヤニヤと見るが、表情を読まれると思ったのか、ノアは腕で顔を隠してしまった。


「もう用ないなら戻るぞ。」

「えー、つまんないー。」

「…」

「冗談だってば、怒らないでよ。…これからしばらく大変だけどよろしくね。」


 頷くと彼は姿を消した。

 一人になり先程のジークとのやり取りを思い返したら、沸々と怒りが沸いてくる。


「あー!もうっ!離婚ってなれば、またお母様に何て言われるか…」


 考えただけで頭が痛くなった。

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