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デビとビールとナマハム

リンドブルム近隣の街、クロノ神聖国の辺境領 街の名前はイワシ

そこに私とデビがいた

街のあちこちで戦闘が始まっている

そう、私たちは今オーブ王国侵攻の為の足掛かりとしてこの街に戦争を仕掛けていた

オーブ王国は侮れない

クロノ神聖国とリンドブルムや他の近隣諸国と比べ小国と呼べる国力だけど

潤沢な水資源からくる資金力で装備は整ってるし、オーブ王国の国王は知略に長けた将でなおかつ平民の意見も聞く名君と言われたことから

国民からの人気は高く、兵士からの信頼は厚いし練度も士気も高い

だから、長期戦になると睨んだ私たちはこの街を頂いて

この街を前線基地とし兵士達の休養を取らせるための今回の侵攻だ

この街は大国クロノ神聖国の領地ではあるが辺境に位置してるため

戦力は高くない

ただ、当然クロノ神聖国の庇護に置かれてるため手を出せば

クロノ神聖国を怒らせ、本格的な軍事衝突に発展するのは確実

しかしそんなことは百も招致

ダークはこう言ってた

いずれあいつらとは戦わくなちゃいけねぇんだ、それが今になっただけだ

その為の力も今まで付けてきた、オーブ王国を落とせば確率はさらにあがる

私もそれが夢物語ではないと思う

実際に私は私の生まれ故郷であるユニ王国をリンドブルムによって一晩もせず落ちたのをこの目で見た

私の隣に、デビがやってくる

服や体に返り血がついているが、まったく気にしていない

「レティシアちゃん、戦況は~」

「こちらの優勢よ、後半日・・・いや六時間あれば占領できるわ」

ちなみに、この戦いでは私とデビと私達の配下の軍勢だけでこの街を攻めていた

ダーク曰く、あの小さな街なら将は二人だけで十分だろとのことだった

それに、ダークにしてもダークやクロイツェルのサポートの無しでやれるか見ておきたかった意図もあるのでしょうしね

実際、私とデビだけで余裕だった

辺境領だけあって、兵士の装備も質もやる気もまるで感じられなかった

中には私達の姿を見ただけで逃げ出すものもいた

侵略してる私達が言えた義理ではないが、目の前で瓦礫の下敷きになってる男の子を助けようとせず

行ってしまうのは呆れてものが言えなかった

私は、瓦礫をどかし男の子を助ける、怯える子供に

兵士以外手出しはしないわ、さっさと避難しなさいと声をかける

子供は「ありがとうおねーさん」とお礼を言ってすぐに走っていった

「ていうか、デビには敵の大将の首を取ってこいってお願いしたんだけど」

そして、本来デビは私とは別の所で戦っていて

この街を治めてる領主の首を取ってきて欲しいとお願いしたはずだったんだけど・・・

私は、彼の左手に掴まれてる「それ」を見て察した

「そう相手は・・・降伏しなかったのね」

彼の左手には、敵の領主と思わしき生首が握られていた

カールヘアーだった横髪の髪の毛を無造作に鷲掴みし、切られた首元からは血がぽたぽた流れ白目を向きながらぽっかり開いた口から舌が垂れていた

「そうだよ、なんでもさ・・・民を守り戦で死ぬが我が騎士道!なんてかっこつけてくれちゃってさ~」

「あははっ」

デビ能天気な笑い声が、喧騒に包まれるこの街の空に響く

この悪魔とこれからやっていけるんだろうか・・・

その後すぐに数十人の敵の兵士がやってきた

「いたぞ、敵の将だ!」

「ユニ王国の聖女レティシア・スノー・・・まさか本当にリンドブルムに堕ちのびていたとはな」

私はすぐさま魔法陣を展開、デビは武器を構え舌なめずりする

「魔族め!死ね」

三人の兵士がデビ・ルークに剣で切りかかる

対し、デビは最初に剣で切りかかった兵士の剣を三股に分かれてる両鎌槍と言われる槍の鎌の部分を相手の剣を引っ掛け、魔法で強化され魔族としての圧倒的腕力で相手の剣を宙に飛ばしてしまう

デビは一人目を蹴りで退かせた後

左右から回り込んできた二人の兵士が切りかかる

デビは風の魔法を足に纏わせ、上へ大きくジャンプ

不意を突かれ、空を見上げた右側の兵士へ

そのまま重力に乗せ、槍を兵士のこめかみに突き刺し殺す

そこへ、着地した時の隙を見計らった左側の兵士が切りかかる

デビはその兵士の剣を、尻尾の剣で受け止めていた

一人目の兵士から槍で引っ掛け上へ飛ばした剣を尻尾で巻いて掴んでいたのだった

デビは右側の兵士へ向け左手のひらから黒色の魔力を放出

黒色の魔力は兵士の腹を貫き、無力化する

武器を奪い蹴られて丸腰になった最初の兵士が起き上がり、拳で殴りつけようとしてくる

デビは戦いを楽しむように体を回転させながら、尻尾の剣を投げつける

剣は兵士の片に刺さり、うめき声をあげる

「おわり~」

倒れた兵士に歩いていき

鋭利な刃物の様になってるハート型の尻尾の先端を兵士の心臓めがけ突きさす

一方、レティシアの方にも二人の女性兵士と戦っていた

左右を挟み撃ちにされてる

左は弓矢を構えた兵士、右側はローブを羽織い杖を持ってる恐らく高位の魔術師

左から矢の嵐が、右からは雷の魔法が閃光を走らせながら私にに襲いかかる

「我らの連携攻撃、防御できたものはいない!」

私は、左右に氷の壁を出現させ防御する

矢と雷の魔法が氷の壁に当たり、音を立て軋んでいく

兵士の言ってることも虚勢で言ったわけじゃないらしい

私の氷の壁は次第にピシピシと音を立てながら割れそうになる

この氷の壁は魔法で強化してあるので、火薬が近くで爆発しても耐えられる代物なんだけどね!

でも、こちらにだって策はある・・・!

完全に氷の盾が割れ砕け散る

その瞬間に後方へ氷の床、スケートリンクを作り体勢を低しし靴に熱魔法をかけ温度差で水分を潤滑油とし滑る様に移動する

「後ろに!?」

私はそのまま氷のスケートリンクを滑走しUターン

手に出来た魔力で強化された氷の剣を出現させる

不意を突かれた弓矢の兵士をその滑走の勢いに乗せ切り刻む

「よくもリリを!」

相方をやられ激昂した女性魔術師が炎の魔法を出そうする渦を巻き熱で蜃気楼が発生する

その瞬間、女性魔術師の背中に鋭利な刃物のような物が数個刺さる

「馬鹿・・・な!?どこから・・・?」

タネは簡単

砕け散っ氷の盾の鋭利な欠片を風の魔法で操作して兵士の背後へ回り込ませ攻撃した

私は、女性魔術師へ近づき右手彼女の手を掴み凍らせていく

炎の魔法ごと、炎の魔法は弱点だけどこの程度なら凍らせられる

左手で彼女の胸に手を当て

その心臓を凍らせる

兵士達との戦いは、私達の勝ちで終わる


しばらくして、街は完全に制圧された

占領した街の後処理や事務処理を終えて一息ついて木陰の草むらに腰かけ休憩をとってる時

隣にデビがやってきて同じように座る

髪が水に濡れてしなびれていた

それにいつの間にか、服や体の返り血が無くなっていた

恐らく、水でも浴びてきたのだろう

「初めてのお使いお疲れ様、レティシアちゃん」

両手には、木の樽で出来たコップにビールが入った飲み物を持っていた

子供のお使い扱いじゃないんだけど・・・

「ありがとう」

私はデビから差し出されたビールを受け取り

二人で一気に飲み干す

シュワとした泡とキンキンに冷やされた水分がのど越しに流れる

美味い!

「ぷはっ!」

人目があるかもしれないというのに、少しばかしお上品でないげっぷが出てしまう

「ラム酒やワインの方が好きだけど、たまにはこういうのもいいわね」

ふと私はデビに聞いてみた

「デビ、あなたはどうやってダークと出会ったの?」

本来魔族という存在はそのほとんどが人間と敵対していて

ましてや人間が仲間や友人として仲良くしてるのは世界中の魔族に関する書物を漁っても類を見ない

「俺の秘密、知りたい?」

私の言葉を聞いたデビは、目を細め笑っていた

デビは私の肩にくっつくように傍による

ダークと出会った時の事を話す


デビが出会ったのは約三年前、ダークが魔族に支配されたという村に足を運んだ時だった

この時のデビは、魔族の力を駆使し刹那的に快楽的に生きて

村を一つ程度を自分の支配下に置き、家畜を扱うように人間から精気を吸い取ったり

殺したり遊んでいた

だが、そんな「魔族として」の当たり前の日常に飽き飽きしていた

そこへダークがやってきた

彼は、デビに勝負を挑み丸一日戦い続けた

夜になりお互い疲れて、休憩をしようと互いに提案し

休むことになった

その時、ダークはデビにこう言った

強ぇなお前、デビ・ルークっていうんだっか

よし!デビ・ルーク・・・俺の仲間になれ!

こんなしょぼい村一つ支配して満足してねぇで、もっとでかいことしようぜ

そう言うと、ダークは馬車から荷物を取り出す

干した肉とビールだった

腹が減っただろ?おごりだ食え、肉を食えば友達になれるってどっかの海賊が言ってたけな

二人は丁度、そのとき今の私とデビと同じような木陰の下で座っていたらしい

人間を家畜程度にしか見てなかったデビにとっては、ダークはとても刺激的だった

ダークなら、退屈な日常を変えてくれると思った

魔族と人間という存在だけど仲良くなれる


・・・と

デビはそう語った

それが、ダークとデビの出会いだったのか・・・

木の樽のコップを見る、まだビールが少し残ってる

それを見て私は気づく

「ひょっとして、私の歓迎会?」

「あったり~、まあ今お肉はないけどね」

・・・デビなりに私を気遣ってくれたのだろう

「でも生ハムならあるよ、食べる?」

そう言うとデビが生ハムを差し出してきた

私はそれを受け取る

「貰うわ、干した硬い肉は好みじゃないの」

二人で生ハムをハムハムと頬張る

うん、弾力があって柔らかくてちょうどいい塩加減ね

ちょっと熱くなってきた、何故かしら・・・?

「ところで、なんか体が熱いわね・・・今日は平均気温高くないのに」

「というか胸もお腹当たりも熱い・・・」

お酒アルコールの火照りのそれとは違う感じ

その時、私は察した

「・・・」

デビを白い目で見る

「でび~あなた、これに変なもの入れたでしょ」

ビールか生ハムに変な物(多分媚薬とか)が入っていて、それを飲まされた

体の火照りもそれが原因よ、絶対に

「え、なんのことかな~」

口笛を吹きしらばくれるデビ

「熱いんだったら、冷ましてあげよっか~♪」

思いついたように「そう言うとデビは私の頬を両手でぷにぷにしながらキスしようとしてくる

「お断りよ!」

私はデビを両手で突き飛ばし、その場をダッシュで後にする

後で媚薬の解毒剤を大量に買うことになった

あの悪魔を信じるんじゃなかった・・・

心の中でそう後悔した私だった

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