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はじめに


「紐なしバンジーを飛んだら、パンジーの花畑に弾んだんだ」

 僕が作文の面白さに気づいたころ運命のように知り合ったある賭博士は僕に向かってそう言った。僕が闇に降りた天才アカギに出会うのずっと後のことだったから、それをある種の慰謝として受け取ることが可能であった。死ねば助かるなんて最終手段にして、楽な気持ちで気軽にのびのび書こう、と。

 しかし、やはり何かを書くという段になると、どうしても力んでしまう。僕は楽しんで読んでもらいたいのだ。絵について何かが書けたのなら、楽書きについても何か書けるはずだ。

 8年間、僕は力まない、無構えの構えの憧れを持ち続けた。8を横にすると無限大()、永い歳月だ。

 もちろん、あきらめたらそこで試合終了だよ。それは安西先生の言葉で、はらたいらさんに三千点、それは他力本願寺の言葉だ。

 僕は上、中、下の三段構えを捨てて、無構えの構えを志した。おかげで、僕の目の前で世界名作劇場が再上映して、愛すべき人たちが僕の心の琴線を通り過ぎていった。トム・ソーヤはペンキ塗りをした。ハック・フィンは靴紐をほどいた。ジュリア・ペンデルトンはホットドッグを大きな口を開けてパクついた。アアミンガアド・セント・ジョンは流暢なフランス語で挨拶した。・・・・・そして自分たちの物語の世界に帰っていった。僕はその間ずっとメガネザルのように小さな光も見逃すまいとじっと見ていた。そんな風にして、僕は茂じいと呼ばれる年になっていた。

 今、くだらなさの中にも思惟の実を混ぜて書こうと思う。

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