9 アルバートの過去
9話です。
アルバートの長い会話があるのでちょっと読みずらいかもですがどうぞ!
サラさんをベットに乗せて振り返るとクレアがジッと俺を見ていた。
「……そうだな。クレアには話してもいいか」
俺はそう言い腰を下ろし、クレアも黙って腰を下ろした。
そして自分の過去を話し始めた……
「俺の父さんは人族で母さんが魔族だ。人族と魔族が愛し合うのは両種族の禁忌中の禁忌と言われてる。 俺たち3人は誰も寄り付かない辺鄙な場所で暮らし、生活するための金は両親が同種族の中に紛れて稼いでいた。(まぁ、家に帰ればそこでイチャイチャしてたが) 俺は学園も行けず両親がいないときは一人過ごしていた。 混血なんてどの学園も受け入れてくれない。 だけど、色々と両親が教えてくれたし苦痛ではなかった。
だが、俺が16の時2人は病気で死んだ。 食料も両親が残してくれた金も付き、俺は生きていくため家を捨て出稼ぎに出た。 見た目は同じだが両方の魔法を使える俺。 魔力感知がある程度出来る者ならそれがわかり、皆に触れまわす。 「あいつは両方の魔法が使えるハーフだ!」とな。 それが分かった後に待ってるのは酷い仕打ちだ。 今まで雇ってくれたものは手のひらを返して俺を追い出し、仕事をくれても奴隷以下の仕事を強要させられる。 それは人族も魔族も同じだった。
そして、ある人族の街で流行り病が広がる。 多くの人が死に、その病の原因を俺のせいにされた。 「混血のアルバートが来ると災いが起きる。あいつは『死神』だ!」 その話は瞬く間に大陸中に広がり、俺は住む場所も仕事も何もかも無くなった。
17の時、失意にあった俺は少女と出会う。 その少女が『死神イシュタ』だ。 イシュタに俺の境遇を話すと、俺に加護を授け【ニルヴァースの森】の中央に連れて行ってくれた。 イシュタはそこで『創造神ニルヴァース』を呼び出し、ニルヴァースは結界を張ってくれた。 『神の涙』が終わる1週間、俺はイシュタとニルヴァースと生活していた。 天上に帰る時、イシュタが護衛としてリビデ君を作ってくれた。
(ニルヴァースは変えてくると言ってたけど、それが何かは未だわからない)
それから俺はリビデ君と暮らしてた。 まぁ、リビデ君は開拓も畑も手伝ってくれなかったけどさ。 半年くらいたったある日、結界内で息絶えてる赤子のダクロウ君を拾い、リビデ君に相談するとライフ姉さんを召喚してくれた。 ライフ姉さんはダクロウ君を生き返らせてくれて、ダクロウ君もここに住む事になった。
それから半年くらいたったかな?ここの生活も安定した頃にクレアが倒れてたんだ」
クレアはずっと黙って俺の過去の話を聞いてくれた。
その顔は驚きなのか困惑なのかわからない微妙な表情をしていた。
「……それでは、この結界は『創造神ニルヴァース』様がお作りなられた物なのですか?」
「そうだな。ニルヴァースの力が働いてるから家の気温とか作物を魔法で作れたり出来るんだ」
そんな事が出来るのは大陸を作った神だけだろう。
結界を作ってくれたニルヴァースは勿論、加護を授けてここに連れてきてくれたイシュタ、ダクロウ君とサラさんを生き返らせてくれたライフ姉さんにはホントに感謝してる。
「なるほど。…アルさん、話してくれてありがとうございます。 私たち人族の愚かな過ちでアルさんを苦しめてしまったこと申し訳なく思っています。 ミッドフォード国王女として謝罪いたします」
クレアは涙を流して俺に謝る。
「いや、クレアのせいじゃないから気にしないでくれ。 俺はここで生活できて満足だし、もう過去の事だと思ってるから。 それにさ、ここに居たからクレアと出会えたんだから」
クレアに笑顔でそう言った。
「……アルさん」
胸に飛び込んできたクレアを俺はギュッと抱きしめた。
▽▽▽▽▽
暫く抱き合っていたが、やがてクレアがスッと離れる。
その顔は赤く染まっているが満面の笑みだ。
「……ところで、一ついいでしょうか」
「ん?何?」
「あの、アルさんとイシュタ様の関係は?」
「……あー、えっと、、俺の嫁さんだ」
クレアがピキッ!と硬直する。
「ア、ア、アアアアアルさん?お、おおおお、お嫁さんって一体……!?」
もはや何言ってるかすらわからないクレアは俺の肩を持って何度も揺する。
ク、クレアさん、身体魔法使ってるから!俺、死んじゃうから!!
そして俺は意識を失った……
読んでくれてありがとうございますm(__)m