8 生命神ライフ
8話投稿です。
良かったら読んでくださいm(__)m
「愛する人だと!イシュタの方が先に見つけて貰っただけじゃん!!」
女性はリビデ君の肩に手を置きがくがくと揺さぶってる。
シルバーアーマーの鎧がガシャガシャと音を立てる。
「しかもアルちゃんから愛してるとか言われてるしさ!私にだって言ってほしいのに!!」
女性は一層強くリビデ君を揺らす。
おいおい、リビデ君が壊れちゃうぞ。
「……もしもーし、ライフ姉さーん。イシュタの思念もう切れてるよー」
はっと我に返った女性、いや、ライフ姉さんは俺の方に振り返りコホンと咳ばらいを一つ。
「……久しぶりねアルちゃん。ようやくイシュタの加護捨てる気になったのね!」
と満面の笑みを浮かべた。
「あ、いや、加護は捨てる気はないけどさ。えっと、今日はライフ姉さんにお願いがあってイシュタに呼んでもらったんだ」
ちっと舌打ちをするライフ姉さん。
いや、仮にも神なんだからもう少しちゃんとしてよ。
「ふーん。まぁ、いいや。んで?お願いって何?知ってると思うけど強制召喚だから余り時間ないよ」
今回は神殿での正規召喚ではなくイシュタに頼んでの強制召喚だ。
なので、ライフ姉さんは少しの時間しかここには留まれない。
まぁ、例え正規召喚でも長くは留まれないんだけどな。
俺は本題に入るべくクレアの方を向く。
「今日は俺じゃなくてこのクレアがライフ姉さんに用があるんだ。ほら、クレア……」
ぽかーんと俺たちのやり取りを見ていたクレアをライフ姉さんの前に立たせる。
クレアは慌てて平伏し、、
「……は、初めまして『生命神ライフ』様。私、ミッドフォード国の「挨拶は無用です。早く願いを言いなさい」……」
ライフ姉さんは冷たい声でクレアを一蹴する。
さっきまでの笑顔とは反対にどうでもいいような顔でクレアを見ている。
「……は、はい。申し訳ありません。ライフ様にお願いしたいのはそこに居るサラを生き帰らせて欲しいのです」
クレアにそう言われてライフ姉さんは一瞬だけサラさんをみた。
「無理ね。死ぬのは自然の摂理。諦めなさい」
バッサリとクレアの願いを拒否した。
平伏していたクレアは顔を上げ絶望した顔でライフ姉さんを見ている。
「……ですが…そうですね。あなたの命の半分を彼女に渡すなら生き返らせてあげましょう」
そう言われてクレアは黙って俯いてしまった。
クレアの事だからその要件を飲むだろう。
だが、それでは流石にクレアが可哀そうだ。
まぁ、イシュタに拗ねられるけどしょうがないか。
「…………30秒……」
「「え!?」」
「……ライフ姉さん、ハグ30秒でどうだ?」
ライフ姉さんはプルプルと体を震わせている。
「さ、30秒!?あの『ダークフェンリル』の時は10秒だったのに!?その3倍!アルちゃん!!その条件でオッケーよ!!!」
さあっ!とライフ姉さんはハアハアと涎を垂らしたまま両手を広げた。
俺は一瞬躊躇したが、ライフ姉さんをギュッと抱きしめた。
「んー!アルちゃんの匂いだよー!!最高だよー!!!」
ライフ姉さんは何度もクンクンと鼻を鳴らし、俺の背中を何度も撫でたり、首筋にかぷっと歯を立てたり、チューチューと吸ったりしている。
ライフ姉さんの柔らかい肌とその胸の感触を受けるので、ハッキリ言って気持ちがいい。
俺はドキドキと心臓を落ち着かせるのに必死だった。
「ふふふふ。アルちゃんドキドキしてるね。あんな貧乳イシュタより私の方がいいでしょ?」
「…………くっ!……」
耐えろ俺!イシュタの『頭なでなで3時間の刑』を受けるわけにはいかない!!
クレアはそんな俺たちの抱擁を真っ赤な顔でただただ見ていた。
▽▽▽▽▽
「…………はい!30秒立ったよね」
俺は慌ててライフ姉さんを引きはがした。
ちぇーっと露骨に残念がるライフ姉さんだが、俺は耐えきった安心感でホッとしてる。
「……もうちょっとアルちゃん堪能したかったけどしょうがないね。んじゃ……」
ライフ姉さんはパチンと指を鳴らすとサラさんがぼんやりと光り出した。
「これで少し経てば彼女は目を覚ますはずだよ」
「…ライフ姉さん、ありがとな」
「アルちゃんのハグが貰えるなら何でもお願い聞くよ」
ライフ姉さん、自分の能力のバーゲンセールしないで。
「あはは。嬉しいけどライフ姉さんに迷惑かかるからなるべく辞めておくよ」
本音はハグしてイシュタに拗ねられるのが面倒なだけだが。
「んー、相変わらず優しいねアルちゃんは。じゃあ、そろそろ時間だから戻るね」
「ああ。じゃあな」
「……あ、有り難うございますライフ様!こ、このご恩は一生忘れません!」
ライフ姉さんはスーッと消えていった。
残された俺たちはサラさんを抱えて家に戻るのだった。
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