7 召喚魔法?
7話投稿です。
よかったら読んでくださいm(__)m
「…………死んでる、ですか…?」
俺は黙って頷いた。
クレアの顔色が蒼くなるのを感じる。
「……サラさんはクレアを逃がした後、自害したようだ」
反逆者の脱走を手引きしたとなればただでは済まされない。
きっとサラさんは捕まって惨い仕打ちを受けるのを恐れて死を選んだのだろう。
「……そ、そんな…」
クレアは金縛りにあったように全身が硬直している。
「…クレアが辛いのにこんなこと言うのは酷い奴だと思うが、転移させるか?」
俺の転移魔法は例え死人でも可能だ。
死んだサラさんを見せるのはクレアにとって苦痛しかないだろうが。
「…………お、お願いします…じ、自分の目で見てみないと、気が済みません…」
「……わかった」
俺はベットの前に立つと目を閉じてサラさんをイメージする。
「……転移魔法!」
そう言うと眩い光が部屋を覆い、光が収まるとベットの上にメイド服を着た女性が横たわっている。
彼女はまるで眠っているように見えたが、その顔は真っ白で体は冷たくなっていた。
「……サ、サラ…うあああぁああぁああぁああぁ」
クレアはサラさんに抱き着き大声で泣いている。
俺はクレアの鳴き声を聞きながら家を出た。
ガウ?
外に出るとリビデ君とダクロウ君が居て、ダクロウ君は心配そうに俺を見ている。
「……わかってるよダクロウ君。ライフ呼ぶけどリビデ君いいかな?」
ダクロウ君の頭を撫でながらリビデ君に確認するとリビデ君は頷いた。
リビデ君の許可をもらった俺は家に戻り、泣きじゃくるクレアに、、
「……クレア。ライフ召喚するからサラさんを外に出してもいいかな?」
クレアは真っ赤にはらした目で俺を見ている。
「クレアの言いたいことはわかってる。神を召喚するなんて出来ないと思ってるんだろ?」
「……は、はい。……上級神である『生命神ライフ』様なら死人を生き返らせることが出来ると聞いたことがあります。で、ですが、神を召喚するには神脈が流れている場所と膨大な魔力が必要とされています」
この大陸には水脈、地脈の他に神脈というものが存在する。
神脈が強い場所に神殿を建て、そこで神の加護をもらったり神を召喚したりする。
加護をもらうことは簡単なのでそこは割愛するが、問題は召喚の方だ。
神をこの大陸に降臨させるには数百人分の魔力が必要なのだ。
「……例えアルさんがイシュタ様の加護を授かって召喚魔法の力があったとしても、上級神を降臨させることは出来ないはずです」
クレアの言うことは最もだ。
下級神なら召喚出来るだろうが上級神は無理だ。
「まぁ、そこは俺を信じてくれとしか言えない」
俺はクレアに笑いかけた。
「……わかりました。アルさんを信じます」
クレアも小さく笑った。
サラさんを抱えて外にでるとリビデ君とダクロウ君が待っていた。
家から1mほど歩き、サラさんを横たえると俺はリビデ君を見る。
「……んじゃ、リビデ君。いや、イシュタ。ライフ姉さん呼んで」
そう言って暫くたつと「ふぎゃ!」と空から女性が落ちてきた。
落ちてきた女性は「いててて」と尻を擦っている。
「……こら!イシュタ!殴るなんてひどいじゃない!!」
女性は飛び上がりリビデ君に向かって叫んだ。
―アルに会えるんだからこれくらい当然。変なことしたら殺す―
頭の中に声が聞こえる。
リビデ君を通じてイシュタとは会話が出来る。
ただ、イシュタの魔力消費の負担が大きいのと、死神としての仕事があるので普段は自重している。
「イシュタ、面倒掛けて済まない」
俺はリビデ君に向かって謝った。
―アルの頼みなら平気。いつでも言って―
「そか。ありがとな」
―アルはイシュタの愛する人だから―
「ああ。俺も愛してるよ」
―……うん。アルともっと話したい…けど…時間…だから…また…ね―
それ以降イシュタの声は聞こえなくなった。
心の中でお礼を言うとさっき空から落ちてきた女性を見る。
歳は27くらいだろう。
腰まで伸びた銀髪。
見惚れるほどの美しい顔に銀色の目。
細身の体なのにその豊満な胸は見る者を魅了する。
間違いなく、目も覚めるような美人だ。
「……久しぶり。ライフ姉さん」
その女性は上級神『生命神ライフ』だった。
最後まで読んでくれてありがとうございます。
評価してくださった方ありがとうございます!
少しでも楽しんでくれた方ブックマークと評価お願いしますm(__)m