41 ルリちゃんと遊ぼう!
「ほら、元気出せよクレア。まぁ、いきなり気絶させられたら怒るに決まってるけどさ……」
ガックリと項垂れてるクレアの頭をポンポンと叩いてやる。
「そうですけどぉ……あれだけ言われたらへこみますよぉ……」
朝食時、クレアとサラはリズにこっぴどく説教された。
うがーっと怒るリズに対し、クレアとサラは何度も頭を下げていた。
クレアは罰としてお酒禁止令が出され、リズが言いというまでお酒を飲めなくなった。
「リズも鬼じゃないからそのうち許可してくれるよ。だからそれまで我慢しような」
俺の言葉で少しは元気になったのか、クレアはうんうんと頷いている。
「そうですよね! はぁー、ですけど安心しました。私はアルさんには何もしていないのですよね?」
「あ、ああ。クレアはリズを気絶させてそのまま寝ちゃったよ」
もちろん嘘である。
あの出来事は俺だけの秘密だ。
てか、ありのまま話したらクレアがどうなるかわからんから言えないよな。
「んじゃ、さっさと日課やっちゃおうぜ」
そう言って俺はクレアを連れて畑に向かうのだった。
※ ※ ※ ※
クレア様にワインを飲ませ、あんなことやこんなことをする計画だったのですが失敗しました。
お城の時は上手くいったので油断していたのでしょう、クレア様の手刀に気付かず気絶させられてしまい、起きたら既に朝でした。
朝食の際、リズ様にお叱りを受け、クレア様はお酒が飲めなくなり、私はリズ様が考案されたという、ルリちゃんと遊ぼう!という罰を受けることになりました。
クレア様とアルバート様は畑に向かい、私は機織り小屋の前でリズ様を待っています。
「サラおねえちゃんお待たせ~!」
リズ様がルリ様を連れてやってきました。
ルリちゃんと遊ぼう!が何なのかわかりませんので凄く怖いです。
「リズ様、それで私はどうすればよろしいのですか?」
「ん? ルリちゃんに乗ってくれればいいだけだよ。ルリちゃんはその辺を走ってもらうから落ちないようにしっかり掴んでね」
リズ様はニッコリ笑っていますが、私はさぁーっと顔が青ざめました。
ダークフェンリルの速度に耐えられる人など居ません。
身体魔法を全力で使用したところで焼け石に水です。
「リズ様。すみませんが私は生きて帰れないと思いますので遺書だけでもよろしいでしょうか?」
「そんな全力では走らせないよ~。ちゃ~んと手加減してくれるよ?」
なぜ疑問形なのでしょう。とてつもなく不安です。
「はいはい。乗って乗って。サラおねえちゃんの罰なんだから拒否権はありませんよ~」
ぐいぐいと背中を押され私は覚悟を決めてルリ様に跨ります。
ふかふかの毛と柔らかい肉の感触が気持ちよくずっと乗っていたくなる感覚になりますが騙されてはダメです。
「じゃあ、ルリちゃんご~!!」
それは地獄のような罰でした。
余りの速度に風が凶器となり全身が切り刻まれるような激痛が走ります。
「ぎゃあ~~~~!!」
私は悲鳴を上げながらこの地獄が終わるのを必死に耐えるのでした。
※ ※ ※ ※
遠くからサラの悲鳴が聞こえてきたので俺とクレアはビクッと驚いて手を止めた。
「な、なんでしょう。あの悲鳴は……」
「リズの考えた罰を受けてるんだろうけど大丈夫なのか?」
ルリちゃんと遊ぼう!って聞けば可愛い罰っぽい気がする。
あっ、いや、ダークフェンリルと遊ぶ時点で可愛くないな。
「と、とりあえず、日課続けようぜ。早めに終わらせてサラの様子を見に行こう」
「え、ええ。サラ、どうかご無事で……」
日課を終わらた俺とクレアは機織り小屋の前で倒れてるサラとそれを看病してるリズを見つけた。
サラはぴくぴくと痙攣していてごめんなさいごめんなさいとうわ言のように呟いている。
「やりすぎちゃった!」
てへっと舌を出すリズに、やりすぎだと頭をぽかんと叩く。
「兎に角ベッドまで運ぼう。看病はその後だ」
俺たちは3人は昼も食べずにサラの看病に明け暮れたのだった。
ダクロウ君と遊ぼう!だと耐えられません。
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