36 畑の拡張と畑の移動①
収穫から10日ほど経った俺の農場では、胡椒、オリーブオイルに続き、砂糖、小麦粉、そして3人の下着と服が出来た。
下着は見てないから(当たり前だ!)どういったものかわからないが、服は白いワンピースみたいだ。
俺のはまだ出来ていないらしいのでのんびり待つとしよう。
でもさ、せめて下着くらい作ってくれても良くない?
とまぁ、調味料が出来たり服が出来たりと、少しづつ色んなことが出来てくると、もっともっとと欲が出てきてしまう。
そこで、昼食後に作って欲しいものを聞いたら、リズは木綿の増加と麻、サラは香辛料とハーブ関係、クレアはお茶の葉と果物をお願いされたので、俺は3人のリクエストに応えるべく畑を作り始めた。
この際、雑草ありとなしに分けてしまおうと思い、木綿畑の南側にあった小麦畑を木綿畑に、大豆畑を麻畑に作り直した。
次にクレアの欲しがってる茶畑をサトウキビ畑の西側に作り、サラの香辛料とハーブは調味料畑で作ることにした。
調味料畑と最初に作った木綿畑、果樹園は15m四方だったので、20mに統一させ、これから何かの畑を作る場合は20m四方を基準とすることに決めた。
サラに指定されたハーブと香辛料を作ってる時に、雑草もはえてしまうのでは?と少し心配になったが、まぁ、その時はその時で考えよう。
調味料畑を作り終わったころには日没になっていたので慌てて家に帰った。
「アルさん。何時もより帰りが遅かったですけど、無理させてしまいましたか?」
夕飯時、クレアが心配げな表情で聞いてくる。
「あはは、俺が聞いたんだから気にしないでいいよ。まぁ、さすがに1日じゃ終わらなかったから明日もやるようだけどさ」
「……あまり無理はしないでください」
「ありがとう。クレアは優しいね」
俺は安心させるように軽く微笑むと、クレアもそれがわかったのか可愛い笑みを浮かべてくれた。
「……アルさん」
クレアはこてんと肩に頭を乗せてきた。
非常に嬉しいがご飯食べれないんだけど?
「クレアおねえちゃん! お兄ちゃんがご飯食べづらそうだから離れて離れて!!」
クレアの反対側で俺にべったりくっついてるリズがしっしっと手を振る。
いや、お前が言うなよ。
「えっと、2人ともさ、食べづらいからもうちょっと離れてくれるかな?」
「アルさんは疲れていますから私が食べさせてあげます」
なんでそうなるの!?
「ぐぬぬ! お兄ちゃん! リズも食べさせてあげるね!」
おーーい! リズも何言ってんだよ。
「……アルさん。はい、あ~んしてください」
一口サイズに切り分けた肉をフォークで刺し、俺に差し出してくる。
そんな顔を赤くするならやらなければいいのに……
「あ、あ~ん」
モグモグと口を動かすがハッキリ言って味なんてわからん。
めっちゃ恥ずかしいわこれ。
「お、美味しいですか?」
「……う、うん。美味しいです」
「ね~、お兄ちゃん。リズはイチゴを食べさせてあげるね」
そう言ったリズは綺麗にイチゴのヘタを取り俺の口に持ってきたのでぱくっと食べた。
「あぁん。もぉ、お兄ちゃん。リズの指はイチゴじゃないから食べちゃダメだよぉ~」
普段言わない甘えた声で話すリズは、俺が口付けてしまった指を好色そうな目で見つめている。
その声と顔に、俺はドキリとしてしまう。
「リズちゃんずるい……そうですよね。アルさんに食べて頂くのですからフォークなど使ってはいけませんでした」
クレアは肉を摘まむと勢い良く俺の口の中に突っ込んだ。
「むぐぅっ!? ふ、ふれあ……まだイチゴたべおわってない」
涙目で抗議するが、当の本人はうっとりと自分の指を直視していてまるで聞いていない。
「むむむ! さぁ、お兄ちゃん。次はブドウだよ~」
「んんーーーーー!!!!」
この地獄のような夕飯はしばらく続いたのであった……




