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ようこそ死神農場へ!  作者: ととまこ
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35 リズの1日

「……ふぁ~~あぁ……」


 眠い目を擦りながら明るくなった外を見ると、雲一つない青空が広がってました。

 一緒に寝ているサラおねえちゃんはすでに朝食の用意に向かったのか部屋にはいないようです。

 

(今日も頑張ろう!)


 そう思い、元気よく部屋を出ていきます。


「リズ様、おはようございます」


「おはようリズちゃん」


 広間にはサラおねえちゃんとクレアお姉ちゃんが朝食の用意をしていました。

 おはよ~! と挨拶して井戸に顔を洗いに行きます。


「あっ! お兄ちゃんおはよ~!」


 お兄ちゃんが井戸で顔を洗っていたのでチャンスとばかりに抱き着きます。

 お兄ちゃんは照れながらも抱き返してくれるので嬉しいです。

 お兄ちゃんの体はすごくいい匂がします。

 リズはこの匂いが大好きで、ついつい何度も抱き着いてしまうのです。


「あー、リズ。そろそろ離れような」


 お兄ちゃんはそう言うと、リズから離れて居間に行ってしまいました。

 ひじょ~~に残念ですが、お兄ちゃん成分をある程度補充できたので良しとしましょう。

 ニヤニヤしながら顔を洗い、居間に戻ります。




 朝ごはんを食べ終わると、お兄ちゃんとクレアお姉ちゃんは畑に向かいました。

 リズも前は2人の手伝いをしていましたが、今は洋服作りを任されてます。

 機織小屋と名付けられた場所に行き、せっせと洋服を作っています。

 

 エルフ族は洋服を自分で作るので、この仕事はリズに向いてると思いました。

 今着ている下着やシルクで作った緑のワンピースも自分で作ったものです。

 

 といっても、すぐ洋服は出来ません。

 綿花から糸を作りそれを機織機で布にする作業があります。

 そこから型通りに切って、縫合して洋服が出来るのです。

 大量の綿花と格闘するのは大変だけど、お兄ちゃんに着てもらえると思うと頑張れます。




「ふんふ~ん♪♪」



 鼻歌を歌いながら綿花の繊維を櫛で整えていたら、サラおねえちゃんが訪ねてきました。


「サラおねえちゃんどうしたの?」


「リズ様。私たちの服はいつ頃できますか?」


「え、えっと、お兄ちゃんの洋服作ってからだからもう少しかかるかな~」


「アルバート様の服など最後で十分です。まずは女性からが基本ではないでしょうか?」


 うっ! 痛いところをつかれました。

 サラおねえちゃんの言う通りなんだけど、ここは必殺技を使いましょう。


「で、でもぉ、最初はお兄ちゃんに洋服つくってあげたいんだけどぉ~……」


 リズ必殺の甘える声でサラおねえちゃんを誘惑です!

 この声でレティシアお姉ちゃんはいつも「しょうがないなー」とリズのわがままを聞いてくれました。


「ダメです!」


 ぐふっ……サラおねえちゃん強敵です。

 あっ! もしかしたらお母さんから教わった上目遣いをやらなかったのが不味かったのかもしれませんね。

 チラチラとサラおねえちゃんを見上げますが微動だにしません。


「リズ様。10歳の子供が上目遣いをしても効果ありませんよ」


「じゅ、10歳じゃないもん! リズは13歳だもん!!」


「あらそうでしたね。ですが、それで13歳とは驚きです。どうみても10歳程度にしかみえませんが」


 サラおねえちゃんは舐め回すようにリズを見てきます。

 うぅー! リズだってこのペタンコの胸好きじゃないのに!


「こ、これから大きくなるんだから大丈夫なの! もう! サラおねえちゃんなんて嫌い!」


 プイっとサラおねえちゃんから顔を背けます。


「ふふ、すみませんリズ様。そうです、お詫びにいい事を教えましょう」


「えっ! いい事って何!?」


「アルバート様はリズ様のような体型が好みです」


「マ、マジ!? はうぅ……ならこのままでもいい!!」


 ふんふんと鼻息荒くガッツポーズをします。

 ペタンコの胸さんありがとう!!


「良かったですねリズ様。というわけで、私たちの服を先に作ってください」


「うんうん! 作る作る!! 任せてサラおねえちゃん!」


「言質は取りましたからね。では、お願いします」


 綺麗なお辞儀をしてサラおねえちゃんは出ていきました。

 お兄ちゃんの好みと洋服は関係ないと思うけど……まぁ、いっか。



▽▽▽▽▽




 お昼ご飯後も機織り小屋で作業をしていたらいつの間にか夕方になっていました。

 お兄ちゃんの農場は灯りがないので夕方になったら終わりです。

 洋服はまだ出来ませんが体をふくタオルや手ぬぐいは何枚か出来ました。



「ただいま~~!」

 

「リズ様。おかえりなさいませ」


「リズちゃん。おかえりなさい」


 家に帰ると晩御飯を作ってるサラおねえちゃんとクレアお姉ちゃんにお出迎えされました。

 サラおねえちゃんはリズの好きなトマトスープを作っていて、クレアお姉ちゃんは厚く切ったハムを焼いています。

 トマトスープとお肉の焼けるいい匂いでお腹がぐぅ~と鳴ってしまいました。

 

「ふふ。夕飯までもう少し待っていてくださいね」


 クレアお姉ちゃんはリズのお腹の鳴る音を聞いてクスッと笑います。


「う、うん。……リズ、水浴びして来るね」


 ちょっと恥ずかしかったので水浴び場まで早足で向かいました。

 服や下着を脱いで全裸になると、桶に水を入れて頭からかぶります。

 水浴び場の水はぬるま湯程度の温度なので寒さで震えることは無いです。

 手ぬぐいで体をゴシゴシと洗い、体や髪をタオルで拭いた後はオリーブオイルを手足と髪に少量つけて水浴びは完了です。


 居間に戻るとお兄ちゃんが水浴び場に入っていきます。

 反射的に抱き着きたくなりますが、晩御飯まで我慢です!




 ここからはリズにとって戦場です! お兄ちゃんは一緒に寝てくれないので最後の補充ポイントが晩御飯と寝るまでの間です。

 ここからはベッタリくっついて片時も離れないようにしています。


 寝る時は毛先が竹で作られた柔らかい歯ブラシで歯を磨いて、サラおねんちゃんの部屋に行きます。

 寝る前に、レティシアお姉ちゃんと念話で今日あった事や他愛もないお話をしてから寝ます。


 家族と会えないのは少し寂しいですが、リズは元気にこの農場で頑張ってます。

読んでくれてありがとうございますm(__)m

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