22 床板張り
22話です。
良かったらどうぞ!
オリーブの木を作った次の日の朝。
俺は雑草取りをクレアにお願いして、小麦畑を作っていた。
昨日は顔面ズキズキで作る気力が無かったのだ。
「……ふぅ、これでよしっと」
小麦畑は木綿畑を南に10mほど行った場所に作った。
小麦は使い道も多いだろうと思い20m四方に作ってみた。
まぁ、小麦畑も木綿畑も必要になれば拡張するだけなのだが。
「んじゃ、クレアの所に行くか」
もう雑草取り終わってるだろうなと思いながらクレアの待つ畑に急ぐのだった。
▽▽▽▽▽
「……ふぅ。日課の後のお水はやはり凄く美味しいですね」
クレアは美味しそうにこくこくと喉を鳴らし水を飲んでいる。
畑の日課の順番は、雑草取り⇒休憩⇒クレアが水撒き、俺が虫取りで行われている。
「だな。まさに仕事の後の一杯って感じだ」
俺も水を飲みながら、日課が終わった畑をクレアと見る。
綺麗になった畑を見るのはいつも楽しい。
「ふふ、そうですね。早く自分が育てたメロンを食べてみたいです」
クレアもそうなのだろう、ニコニコしながら畑を眺めてる。
「あはは。収穫はまだ先だけど、取ったら一番先にクレアが食べなよ」
「宜しいのですか!?」
クレアは嬉しそうに俺を見る。
「もちろん。ここはもうクレアの畑でもあるんだから、作った人が一番最初に食べる権利があるのは当然だろ」
「アルさん…ありがとうございます」
「ああ…。さて、家に帰ろうか」
今日の日課も平和に終わった。
家の前には加工された木材が積まれていた。
「何これ?」
「サラが用意したのでしょうけど何に使うのですかね?」
「あっ、2人とも帰ってきましたね」
サラは家から出てきた。
「昼食を食べたら二人には床板張りを手伝ってもらいます」
サラは積まれてる木材をポンポンと叩いた。
「ですが、まずは昼食にしましょう。話はそれからします」
サラは家の中に入っていったので俺とクレアも後に続いた。
昼食を食べ終わり食後の休憩をしていると燻製小屋の事を思い出した。
「サラ、床板張りの前に頼みがあるんだがいいか?」
「なんですか?また顔面クローをされたいのですか?」
サラが手を広げて俺の顔に近づけてくる。
「それはもう嫌だ!しかも2日続けてだぞ!?3日連続してたまるか!!」
俺はサラの迫りくる手を叩き落とす。
チッと手のひらを擦るサラ。
そんなやり取りを何故か羨ましそうに見ているクレア。
「……アルさん。私もサラの顔面クローとやらをしてみたいです」
クレアが手のひらを広げて俺に近づける。
待ってクレアさん!あなたの身体魔法でやられたら間違いなく潰れるから!!
「ダメダメ!クレアはそんな事覚えなくていいから!」
全力拒否する俺を見てクレアはしゅんとする。
そんなクレアを見ると罪悪感が湧いてくるがこれだけは譲れない。
「クレア様には後でやり方だけ教えますから」
おい!ヤメロ!!
「では、後で教えてくださいねサラ」
どうやら交渉成立してしまったようだ。
クレアのは絶対受けないようにしないとな……
「で?頼みたい事ってなんですか?」
「……あ、ああ、燻製小屋を考えてるんだけど作れるか?」
燻製が出来ればスモークハムやベーコンが出来る。
サラは「ふむ…」と少し考えて。
「そうですね。ハムだけでは味が単調になってしまいますから燻製小屋を作るのには賛成です。ですが、機織機の製造もありますからすぐという訳には行きません」
そうだった。
サラは機織機の製造もしてるんだった。
「でしたら、私とアルさんで作りましょう。サラは加工だけしてくれればいいのではないでしょうか?」
名案です!とクレアが満足そうに頷く。
確かに、加工さえしてくれれば組み立てるのは俺とクレアでも出来るはず。
「では、私は時間を見て加工しておくので2人にお願いします」
「すまんが頼む」
「いえ、大丈夫です。それでは、床板張りの指示をしますね……」
床板張りはそう難しい事ではなかった。
まずサラが床に合わせて加工した木材を持ってくる。
俺がその木材をはめ込む。
クレアは身体魔法を使って、家具が邪魔にならないように移動させたり持ち上げたりする。
床板張りを終えた頃には夕方になってた。
トイレ、井戸、水浴び場は床板を張らず、サラが作ったサンダルを置いた。
その他の部屋にはすべて板を張ったので玄関前で靴を脱ぐことが決まった。
「今まで土の上だったので逆に変な感じがしますね」
クレアがくすっと微笑みながら床板の感触を楽しんでいた。
「俺はもっと長い間土だったから違和感だらけだ」
あはは、と笑いながら俺も木の感触を楽しむ。
「喜んでくれて光栄です。さて、ではアルバート様は夕飯の支度をお願いします」
「ん?別にいいけどなんで?」
「私はクレア様に顔面クローを教えますので。さぁ、クレア様、私の部屋に行きましょう」
サラはニヤっと邪悪な笑みを浮かべ、クレアを部屋に連れていった。
あいつ、止める間もなく連れていきやがった。
いや、大丈夫!クレアを怒らせなければいいんだ!
俺は再度固く誓って夕飯の準備を始めた。
「……で、そうですクレア様。それで相手の顔面にですね…」
怖い会話が聞こえてくる…
俺は聞こえないふりをして夕飯の準備をする。
「…そのまま力を込めて握れば大丈夫です」
「……えっと、こうでしょうか?」
「い、痛いです!!クレア様!!潰れちゃいます!!顔面潰れちゃいます!!!」
どうやら最初の犠牲者はサラの様だ。
俺はざまあみろと機嫌よく夕飯の支度をするのだった。
読んでくれてありがとうございますm(__)m




