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ようこそ死神農場へ!  作者: ととまこ
20/43

20 家具

20話です。

良かったら読んでください^^

「…おい!今日はこの程度しか生えてないのですか!?」


 隊長クレアがチッ、と舌打ちをする。

 いつもより少ない雑草を前にしてご機嫌斜めだ。

 俺としては少ない方が楽できるからいいんだけど、隊長はそうじゃないようだ。


「ふん!まぁ、いいでしょう。明日からもっと頑張るようにしてくださいよ? 私を失望させないでください」


 雑草に頑張れと言ってるあんたも大概だけどな…


「…ク、クレア様?い、一体どうされたのですか!?」


 サラがキャラ変化してる隊長を見て困惑している。


「アルバート様!クレア様はどうされたのですか!?」


「だから言っただろ?見ない方がいいって」


 サンダルが出来て数日経ったある朝食時、サラが「クレア様のお仕事を見させてください」と言って無理やりついてきたのだ。


「雑草取りを前にすると何時もああなるよ」


「そ、そんな……」


 がくっと膝をつき、私のクレア様が…とぶつぶつ呟いてる。

 普段の隊長しか知らないサラにはあれ程の変化をした姿は衝撃だろう。


「……サラ」


 隊長がくるりとサラの方に振り向く。


「は、はい!」


「あなたは其処で見ていなさい。入られると邪魔です」


 いいですね、とキッとサラを睨む隊長。

 ひぃ!と小さな悲鳴を上げたサラはブンブンと首を縦に振っている。


「では、アルさん!始めましょう!!」


 今日の雑草取りも隊長の大活躍で終わった。

 俺は一生、サラのあの怯えた目は忘れないだろう。



▽▽▽▽▽




 日課が終わり、俺は家の西側で皮のなめしを行っていた。

 皮のなめしは俺の仕事になったので時間があるときはなるべく行うようにしている。

 これまで3体ほどなめしを行ったので結構な革が溜まった。

 因みに解体した肉は塩漬け(ハム)で保存している。

 サラに頼んで燻製小屋でも作ってもらおうかと考え中だ。


「アルさーーーん!」


 呼ばれた方を見ると、クレアが俺の部屋の窓から手招きをして家の中を指差した。

 家に来てって意味かな?と思い家に戻った。


 家に戻った俺が見たのは棚だった。

 棚は1m四方で、中板を1枚入れた物だ。

 それがクレアの部屋とサラの部屋の間に設置されてた。

 下に調理器具、上に食器が置いてある。

 食器は今のところコップ3つ、皿と大皿が3皿ずつ、茶碗が3つ。

 すべて木製だ。



 俺は棚を軽く揺らしてみたがグラグラせず頑丈に出来ていた。


「……ふふ、どうですか?」


 振り返るとクレアが立っていた。


「…いや、凄いよ。頑丈に出来てるし、3人で使うなら十分だろ」


「実はまだあるんですよ。…来てください」


 クレアは俺の手を引いて俺の部屋に連れてきた。


「おおー!ベッド出来たのか!?」


 そこにはセミダブルサイズのベッドが置いてあった。

 マットレスはないので木の皮と大量の葉っぱが敷いてある。

 俺はゴロンとベッドに横たわった。

 広くて足を延ばしてもまだ余裕がある。

 はっきり言って快適だ。


「アルさんは男性ですから大きい方がいいと思いました。私とサラは女性ですからシングルサイズにしました」


「これはぐっすり眠れそうだよ。ありがとなクレア」


「ふふ、どういたしまして。といっても、私はサラの指示通り作っただけですけど」


「それでも作ったのはクレアだろ?クレアが作ってくれたんだから大事に使うよ」


 俺はニコッと笑いかけると、クレアも「大事に使ってください」と笑顔で答えてくれた。


「それにしてもホントに広いや。腕伸ばしてもまだ余裕あるし」


 ほら、と両手を広げて大きさをアピールする。

 

 すると何を思ったのかクレアが「えいっ」とベッドに飛びこんできた。

 クレアは俺に腕枕されながら「2人でも平気ですね」と天井を見ながら言ってるが、俺は目の前にあるクレアの横顔にドキドキして答えるどころじゃなかった。

 ゴクリと生唾を飲みクレアの横顔に見惚れていた。


「…アルさん?聞いてま……」


 クレアが俺の方に振り向くとみるみる内に顔を真っ赤に染めた。


「ち、違います。わ、わたしは、そ、その、ベ、ベッド……で……」


 あたふたと焦ったクレアを俺は落ち着かせようとしたが、突然がばっとベッドから飛び起きて俺の部屋から逃げるように出ていった。

 羞恥で真っ赤になってるその顔を手で隠して。


 呆然としてるとサラが部屋に飛び込んできた。


「アルバート様!クレア様に何したんですか!?」


 その顔は憤怒の顔をしていた。


「い、いや、何もしてないよ!」


「嘘ですね!何もしてないのにクレア様があんな顔を真っ赤にするわけないでしょ!!」


 「さぁ、吐きなさい!」とサラは手のひらで俺の顔面を掴んだ。

 ミシミシっと俺の顔が音を立てる。


「つ、潰れる!!サラ!!潰れるから!!」


「問・答・無・用!!」



 俺の絶叫が家の中に響いた……

読んでくれてありがとうございます<(_ _)>

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