18 木綿
18話です。
目を覚ますとダクロウ君に寄りかかっていた。
何時もの感触だが、昨日の夜はイシュタが用意したベッドに横になってたはず。
俺は畑近くに設置してある井戸で顔を洗うと、前の家に向かった。
「……やっぱ何もないか」
あれは夢だったのでは?と思ってしまうが、あの唇と体の感触を俺ははっきり覚えてる。
俺の腕の中で喘ぐイシュタに我慢できず狂ったように何度も求めてしまった。
イシュタはその度喜んで受け入れてくれたから嫌われてはいないと思うけど、若干不安だ。
「起きてるって言ったのに寝るなんて俺はバカだな」
自分の不甲斐なさに呆れてくる。
イシュタが帰るまでなぜ起きていれなかったのか。
畜生と唇を噛んで俯いていると肩を叩かれた。
振り返るとリビデ君が居てリビデ君は首を横に振った。
それだけでイシュタが魔法で俺を眠らせたんだと理解した。
今日の俺に負担が掛かるのは嫌だったんだと。
「……たく、神様なのに優しすぎだよおまえは」
俺はコツンとリビデ君の頭を殴って家に戻った。
▽▽▽▽▽
「木綿?何それ?」
日課を終わらせ、前に建っていた建物を更地にした後、サラに「木綿は作れますか?」と質問された。
「木綿は綿とも綿とも言います。木綿は畑で作るのでアルバート様なら出来るんじゃないかと思いました。」
「畑で作れるなら作るけど、綿って布団に入ってるやつだよね。 ここには布団すらないんだから作っても意味ないんじゃないの?」
「綿は糸に出来ます。まぁ、綿打ちとか糸巻きとか工程があるのですがそれの説明は今は省きます。 糸を機織機で何重も重ねると布が作れます」
「……なるほど!布が出来れば服も作れるって事だな?」
「その通りです。綿は伸びにくく丈夫ですし、吸湿性があって肌触りもよいので下着等にも向いてます。 縮みやすいという欠点もありますがそれは些細なことでしょう?」
俺は頷いた。
縮むのを気にするより、下着や服が出来る方が大きい。
「何処に作るかはアルバート様にお任せしますので好きな場所に作ってください。私はベッドを作り終わったら機織機の製造に入ります」
では、とサラは家に帰っていった。
相変わらずの高性能ぶりを発揮するメイドサラ。
きっと機織機の使い方まで知ってるんだろうなこの人は。
俺は凛として歩くサラの後姿に手を合わせて拝んでいた。
木綿は先ほど更地にした場所(前の家、トイレ、食糧庫)に作ることにした。
1つ試してみたら芽が出て来たので15m四方に木綿を作って、木綿畑と名付けた。
畑なので雑草取りあるんじゃ?とも思ったが結論としては雑草は出なかった。
雑草が出る条件はいまいちはっきりしていないが、もしかしたら食べ物の場合だけ雑草が出るのかもしれない。
取り敢えず、秋の収穫がまた楽しみになったのは間違いない。
ありがとうございますm(__)m




