17 アルバートとイシュタ ②
17話です。
短いですがどうぞ!
私は今、心から愛しているアルに抱かれてる。
目の前にいるアルは気持ちよさそうに寝息を立ててる。
アルは何度も何度も私を愛してくれたし、私が帰るまで起きてるとも言ってくれたけど、アルにもやる事があるのは知ってるから魔法で眠らせた。
私は死神……
死を運ぶ私は大陸に住む生物すべてに興味などない。
ゆえに感情など皆無だ。
だけどあの日、アルに出会った。
アルは酷い仕打ちをしてきた人族も魔族も恨まない優しい心の持ち主だった。
忌み嫌われてる私にも「俺の本物だな」と笑顔でそう言った。
私はアルに興味が湧き、加護を授け、【ニルヴァースの森】に連れていった。
森で暮らす事に不安はないのかと尋ねると「これで誰にも迷惑かからないだろ?」と優しく笑っただけ。
神の涙の期間、アルの色々な顔を見た。
喜んだ顔、照れた顔、悔しそうな顔、様々な顔を見て幾たびに、今まで感情が無かった私にも変化があらわれた。
アルと一緒にいると体が温かくなっていく。
天上に帰ってからもアルの事が頭から離れず、何度も会いに行った。
魔力消費が辛かったけど、アルに会いたい一心で堪え続けた。
でもある日、神の涙のとき以外来るなと言われた。
なぜ?と思ったけど、アルは私の事を心配して言ってくれたのがわかって嬉しくなった。
神すら純粋に気遣う優しいアル。
その時には、私はすでにアルを愛していたのだ。
「……んっ……」
アルの唇がもごもごと動く。
あの唇が私の唇と触れ合ったと思うと顔が熱くなる。
目を瞑り、アルの唇にキスをする。
「アル…あなたを、愛してる」
私はするりとアルの拘束から逃れた。
もうすぐ夜が明け、この夢のような時間は終わる。
パチンと指を鳴らすとアルはスーッと消えていった。
神の私はずっと傍にはいられない。
神の私が子をなせるのかもわからない。
アルは「それでもいい」と言ってくれたから私は幸せだ。
(また、会いに行く)
そう固く思った瞬間に私の体は消えていった……
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